というわけで、ParallelsとFusion、どちらの仮想環境を選んでも、3Dゲームを除くWindowsアプリケーションの大半が利用可能で、甲乙つけがたい。あえて両者の違いを探せば、Parallelsの方が細かな部分に対する配慮が勝っている印象だ。例えば、Windows Vistaを仮想環境で実行し、アプリケーションをコヒーレンスモードで表示した場合、サイドバーガジェットの背景としてMacのデスクトップが透けて見える。同じことをFusionでやると、サイドバーガジェットの下はWindowsデスクトップの壁紙が表示される。表示として自然なのはParallelsの方だ。
また、Windowsタスクバーの表示位置にデフォルトの下を選んだ時、ParallelsはMac OS XのDockの上に、Dockと表示が重ならないよう配置することができる。もちろん、いずれの環境においても、タスクバーの表示/非表示、サイドバーガジェットの表示/非表示はユーザーが選択可能だ。
逆にFusionが優れているのはハードウェアのスケーラビリティという点。Parallelsの仮想環境が1CPU環境なのに対し、Fusionは1CPUと2CPUを選択することができる。現時点で、仮想環境で2CPUをサポートする直接的なメリットはすぐには思いつかないが、クアッドコアCPUが当たり前になり、マルチスレッド対応のアプリケーションが増えてくれば、性能面でのアドバンテージとなるかもしれない。
また、x64モードをサポートしたCPU(Core 2 DuoもしくはMac ProのXeon)であれば、64ビット版のゲストOSを利用できるのもFusionならではの特徴だ。こちらもコンシューマー向けのMacではメモリ搭載量が限られていることもあり、現状では64ビット版OSを利用するメリットをなかなか見つけにくいのだが、64ビット版のWindows Vistaは、32ビット版よりもセキュリティが強化されているという特徴がある。

コヒーレントモード(Parallels)とユニティモード(Fusion)によるWindowsアプリケーション(メモ帳、Windows Media Player)の実行画面。左がParallelsで、タスクバーがDockの上に表示されている(デフォルト)ほか、サイドバーの背景がMac OS Xの壁紙(Aurora)になっている。右のFusionでは、タスクバーは非表示がデフォルト(設定により表示可)だ。サイドバーの背景がWindowsの壁紙になっているParallelsとFusion、Mac OS X上で人気の仮想化ソフトウェアは、いずれもよくできており、どちらを選んでも大失敗、ということはないと思う。まさかそんなユーザーはいないとは思うが、1台のMacに両方をインストールして、両方からBoot Campパーティションを仮想ドライブとして利用することはできない点には注意してほしい(これをやるとまず間違いなくBoot CampパーティションのWindowsが壊れる)。
ParallelsとFusionの選択より、むしろ重要なのはWindows XPとWindows Vista、どちらを選ぶかかもしれない。Windows XPを利用する主なメリットは、32GバイトまでのパーティションであればBoot CampパーティションをFAT32でフォーマットできることと、少ない搭載メモリで動作すること。Windows Vistaを利用するメリットは色々言っても最新のWindowsであることと、付属のIMEが標準で英数キーによりオン/オフできることくらいだろうか。
仮想環境は、その分だけ確実にメモリを消費する。多くのMacが1〜2Gバイト程度のメモリを搭載しているとすれば、快適な動作に最低1Gバイト、できれば2Gバイトとも言われるWindows Vistaは使いにくい。現状ではWindows XPの方がベターな選択かもしれない。
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