次のXbenchは、Mac OS上のベンチマークテストの定番とでも言えるものだ。CPUとメモリだけでなく、HDDやグラフィックスなどI/O関連のテストも含まれる。
このテストの結果が意外だったのは、トータルスコアで新MacBookが、初代を下回ったことだ。結果をよく見ると、ほとんどスコアが変わらないHDDを除き、実は多くのテストで新MacBookが初代機の成績を大きく上回っている。それにもかかわらずトータルスコアで新MacBookが負けてしまうのは、3DグラフィックスAPIであるOpenGLテストのスコアがケタ違いに悪く、これに足を引っ張られているからだ。

Xbench 1.3のテスト結果。ほとんどのスコアで新MacBookが上回るものの、OpenGL Testのスコアは初代MacBookの231.5に対して25.87と非常に悪い(画面=左)。実際にテスト中の画面を見ていても遅いのが分かるほどだった(画面=右)実際、テストの様子を見ていても、このOpenGLのテストに限っては、はっきりと肉眼で分かるくらい新MacBookは遅い。このテストだけでは、新MacBookのOpenGLに問題があるのか、それともテストとの相性が悪いのか(あるいは精度に変更があったのか)を断じることはできないが、とても気になるデータではある。
最後のテストは、Boot Campで起動したWindows XP環境で実施したPCMark05だ。Windows用ベンチマークテストの定番の1つであるこのテストの結果を見る限り、新MacBookのハードウェアは順当に性能が引き上げられているように思われる。
XbenchのQuartz Graphics Testのスコア、PCMark05のGraphicsのスコアを見ても、グラフィックスハードウェアそのものの性能で新MacBookが初代に大きく見劣りしているとは考えにくい。おそらくXbenchにおいてOpenGLのスコアが良くないのは、ドライバの問題なのではないかと思う。
不思議なのは、新MacBookのグラフィックス機能(チップセット内蔵のGMA X3100)が、前モデルからの継続で、新規採用されたものではないことだ。通常、こうした場合、ドライバは枯れていることが多く、こうした問題は生じにくい(残念ながら筆者は前モデルをじっくりと触る機会を持たなかった)。
確かに、OpenGLを使った3DグラフィックスアプリケーションがMacBookに占める比重は大きくない。本格的な3Dグラフィックスをやりたければ、Mac Proでも使うのが順当なところだろう。おそらく筆者が日常的にMacBookを利用するうえで、これが大きな障害になるとも思いにくい。だが、そうではあっても、初代の10分の1程度のパフォーマンスしか得られていないというのは、明らかな問題(あるいは障害)だろう。ドライバ更新による問題の解消が望まれるところだ。
ポータブルタイプのPCにとって、バッテリー駆動時間とファンのノイズは性能以上に気になる点だ。従来(MacBook Air以前)は、軽いワークロードでのバッテリー駆動時間を仕様に示していたため、時にユーザーから「実態とかけ離れている」という批判があった。初代MacBookのバッテリー駆動時間は公称5時間だったと記憶するが、これだけ持たせるのは経験上至難のワザ(というか、ほぼ不可能)であった。
仕様による新MacBookのバッテリー駆動時間は公称4.5時間。一般に消費電力が下がったとされる45ナノプロセスのプロセッサに変更して、バッテリー駆動時間はかえって短くなった格好だ。だが、これはMacBook AirからAppleがバッテリー駆動時間を算定する基準となるワークロードを、無線LAN接続を前提とした、より現実的なシナリオに変更したことが影響している。したがって、バッテリー駆動時間は向上しこそすれ、悪くはなっていないハズだ(まだ購入して日が浅いため、バッテリー駆動時間を確認するには至っていないが)。
ただ、このバッテリー駆動時間について、日本人と米国人、特に米国人のアップルユーザーとは大分感覚が違うのではないか、とも思っている。長らくWindowsユーザーだった筆者は、マイクロソフトやインテルなど、PC業界のイベントを取材してきた。この数年、米国で開かれるMac関連のイベントを取材して驚くのは、とにかくイベント会場のそこら中にテーブルタップが用意され、参加者がみなACアダプタを接続していることだ。PC業界のイベントでもACアダプタを利用している参加者がいないわけではないが、これほど目立たない。そもそも、会場にそれほど多くのコンセントが用意されていないから、ACアダプタを持参するよりスペアバッテリを持参するユーザーのほうが多いのではないかと思う。PowerPC時代からの伝統、大容量バッテリーオプションの欠如など、理由はいろいろ考えられるのだが、興味深い相違点だ。
さて、残るファンノイズだが、基本的に従来モデルと変わらないようだ。ようだ、となるのは冬場で、ファンが回る機会が少ないからだが、あるいは45ナノプロセスになってファンが回りにくくなった、ということもあるのかもしれない。少なくとも、ベンチマークテストを実行したり、動画の再生を行う程度では、ファンがけたたましい音をたてる、ということはなかった。ようやく冬も終わり、次第に暖かくなってきたが、夏場にはたしてどうなるのか、注目している。
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