夏モデルが出そろった日本ヒューレット・パッカード(HP)の個人向けPC「HP Pavilion」シリーズ。その多くが春モデルの性能強化にとどまった中で、新たに投入されたのが「HP Pavilion Notebook PC dv3000/CT」だ。同社製PCでおなじみとなる、デザインを加えたフィルムに樹脂を流し込み、そのデザインを転写させる「HP Imprint」技術を使った光沢感あふれるボディは健在で、新たに「VM Finish」と呼ばれる真空圧着を用いた金属加工処理を施すことで、金属的な質感を打ち出しているのが特徴だ。本機ではこれまでのパームレスト面および液晶ディスプレイの天面部分に加え、左右の両側面にまでHP Imprintを施し、見た目の質感を高めている。
従来機と同様、ZEN-Designと名付けられたデザインパターンを採用しているが、本機では「grid」という格子状のパターンを液晶ディスプレイの天面とパームレスト面に取り入れている。これまで採用されてきた「samon」(砂紋)、「shizuku」(雫)、「hibiki」(響き)、「mebae」(芽生え)、「ibuki」(息吹き)などは曲線を使った大胆なパターンが印象的だったが、今回は一転して細かい格子状の規則的な模様になった。離れてみると無地に見えるが、近づくと細かいパターンが見えるという案配だ。


ZEN-Designの新パターン「grid」を液晶ディスプレイ天面とパームレスト面に採用する(写真=左と中央)。目をこらさないとデザインに気がつかないほど細かい格子パターンを採用している。本機から液晶ディスプレイ天面のロゴが光るようになった(写真=右)日本HP、新ZEN-design“grid”採用の小型ノート「dv3000/CT」
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外観に目がいきがちな本機だが、PCのスペックも充実している。
基幹となるチップセットはIntel PM965 Expressで、CPUは45ナノメートルプロセスルールの新型Core 2 Duo、無線LANはIntel Wireless WiFi Link 4965AGN(IEEE802.11a/b/g/n準拠)と、いわゆるCentrinoプラットフォームを採用する。またGPUにNVIDIA GeForce 8400M GS(ローカルメモリは256Mバイト)を内蔵しており、低価格PCにありがちな性能面の不満を感じない。
CPUはCore 2 Duo T9300(2.5GHz/2次キャッシュ6Mバイト)と同T8100(2.1GHz/2次キャッシュ3Mバイト)から、メモリはDDR2 1Gバイトまたは2Gバイト、HDDが120Gバイトまたは250Gバイト(5400rpm)とBTOの選択肢こそ少ないが、基本スペックは上々だ。なお、液晶ディスプレイは13.3インチワイドで、画面解像度は1280×800ドットとなる。

13.3インチワイドの光沢液晶ディスプレイを採用する(写真=左)。低反射処理はされているが、画面への映り込みは目立つ。キーボードは19ミリの正方ピッチで、キーストロークは2.5ミリとなる。Enterキーの右側にキーがあったり、カーソルキー部分でキーの詰め込みがやや気になる。タッチパッドはホームポジション直下ではなく、ボディの左右中央にあるので慣れるまでは違和感を覚えるかもしれない。なお、本機からLEDランプが従来の青から白に変更された注目は、これまで搭載しながら対応機器が日本国内ではリリースされていなかった独自拡張ポート「Expansion Port」がなくなり、HDMI(Ver.1.2a準拠)とeSATAポート(USBポートと兼用)を標準で実装している点だ。動画などの大容量データをやりとりする際、従来のUSB 2.0経由ではもどかしく感じる場合もままあったが、eSATA経由なら高速なデータのやりとりが可能になる。細かいところでは、同社のビジネスPCに採用されている衝撃保護システム「HP 3Dドライブガード」を備え、HDD内のデータを衝撃から守ってくれるのも見逃せない。
ボディサイズは320(幅)×228(奥行き)×32.7(厚さ)ミリ、重量は4セルバッテリー装着時で約2.1キロとなるが、DVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブを付属のウエイトセーバーに換装すれば約2キロまで軽量化が行える。ちなみに、バッテリー駆動時間は4セルで約2.1時間、6セルで約3.5時間だ。

左側面にはアナログRGB出力、排気口、USB 2.0、eSATAポート(USBポート兼用)、HDMI端子、ExpressCardスロット(54非対応)、SDメモリーカード(SDHC対応)/メモリースティックPRO/xDピクチャーカード/MMC対応のメモリカードスロットが並ぶ(写真=左)。右側面は着脱式のDVDスーパーマルチドライブ、USB 2.0、ギガビット対応有線LAN、FAXモデム、DC入力端子がある(写真=右)標準でギガビット対応の有線LANやBluetooth機能を搭載し、Webカメラや指紋認証ユニットを内蔵するなど、機能面でも充実していながら、最小構成価格で10万9200円とコストパフォーマンスは高い。せっかくGPUを内蔵し、HDMI端子を装備しているのだから、BD-ROM対応の光学ドライブをBTOで選べるとうれしいのだが、このあたりはHP Pavilion Notebook PC dv6800/CTや同dv9800/CTといった上位機との差別化のために、あえてBTOメニューから省かれているのだろう。
ともあれ、本機の使い勝手や性能面については、詳細なレビュー記事を後日お届けする予定だ。楽しみにしてほしい。


DVDスーパーマルチドライブを付属のウエイトセーバーに交換することで、約140グラムの軽量化が可能だ(写真=左)。ExpressCardスロットに収納可能なHPモバイルリモートコントローラが標準で付属する。2基のメモリスロットやHDDベイには底面から簡単にアクセスできる(写真=中央)。バッテリーの形状は6セルと4セルで共通だが、BTOでは標準の6セルのほか6セル+4セルという選択肢しか用意されていない(4セル単体では選べない)。電源ケーブルは3ピンタイプだ。液晶ディスプレイ上部にWebカメラを標準で内蔵している(写真=右)
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