あの天才ハッカーが愛したPCはどう進化したか?――「HP TouchSmart tx2」“響き”から“うたかた”へ(3/3 ページ)

» 2009年03月04日 11時50分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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基本的な入力環境は従来モデルを継承

しっかりした作りのキーボードと、パームレストとシームレスにつながったタッチパッドを備えている

 キーボードは主要キーが縦/横ともに約19ミリのキーピッチを確保し、レイアウトも比較的素直だ。ただ、半角/全角キーなど左右の端でかなり小さいキー(横サイズが実測11.5ミリ)があるほか、最上段にあるファンクションキー、最下段のカーソルキー(縦サイズが実測6.5ミリ)などもかなり小さい。キーストロークは約2.5ミリ確保され、しっかりした素材のキートップ中央にはくぼみもつけられており、タッチ感は上々。タイプ時にキーボードユニットがたわむような感触もない。

 ポインティングデバイスとしては、表面をディンプル加工し、パームレストとデザインを一体化したタッチパッドを装備する。シナプティックスのドライバにより上下のスクロールを可能としており、上下のスクロール用の領域もディンプル加工により物理的に区別されている。タッチパッドはホームポジション直下ではなくボディ中央に配置されているため、慣れるまでに多少時間がかかるかもしれない。タッチパッドの奥には、タッチパッド機能のオン/オフを切り替えるスイッチも用意されている。

 ワンタッチボタンは液晶ディスプレイのフレーム右側に3つまとめられている。上からWindowsモビリティセンターの起動、「HP MediaSmart」の起動、そして押すたびに画面表示が90度回転する「画面表示切り替え」が割り当てられている。従来からボタンの配置や内容が整理されているため、タブレットスタイルで手で持つときに誤って押してしまうということもあまりないだろう。画面上部にはオンラインチャットなどに便利なWebカメラとデジタルステレオマイクを内蔵する。

 また、本体の電源オン/オフやCD/DVD再生の操作が可能な赤外線カードリモコンも標準で付属しており、これはExpressCardスロット内に収納しておくことができる。

液晶ディスプレイのフレーム右側に3つのワンタッチボタンを備えている(写真=左)。画面の上部には、30万画素のWebカメラとデジタルステレオマイクがある(写真=中央)。付属のペンと赤外線カードリモコン(写真=右)

Vista搭載PCとして十分なパフォーマンス

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 評価機のスペックは、直販モデルの最小構成で、CPUがAthlon X2 QL-62(2.0GHz)、メモリが1Gバイト(1Gバイト×1)、HDDが160Gバイト、プリインストールOSはWindows Vista Home Premium(SP1)という内容だ。この構成でベンチマークテストを実施した。Windows標準のエクスペリエンスインデックスの結果は左に示した通りだ。スペック的には先代機よりもダウンしており、しかも評価機ではメモリ容量が1Gバイトしかないことが影響してか、スコアは全体的に先代機を下回る結果となった。

 PCMark05、3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3の結果も同様で、先代機からワンランクダウンという結果だ。それでもスコア的にはWindows Vistaを動作させるに十分で、カジュアルなゲームタイトルなども快適に遊べるレベルにあるが、体感的には1Gバイトのメモリ容量がネックとなって、1つ1つの操作にモタつきを感じ、かなり苦痛だった。量販店モデルなら標準で2Gバイトのメモリが搭載されているので問題ないが、直販モデルの購入の際も、BTOで2Gバイト以上のメモリを選択することをおすすめしたい。

左から、PCMark05、3DMark06、FF XIベンチ3の結果

 バッテリーの駆動時間は海人氏作のBBench1.01で行い、無線LAN(IEEE802.11g)で常時接続しつつ、90秒間隔でWeb巡回(10サイト)、10秒間隔でキーストロークを行う設定でテストした。電源プランはデフォルトの「HP推奨」をベースとして、バッテリー駆動時のディスプレイの輝度が40%になるようにカスタマイズしたプランを使い、駆動時間は2時間47分だった。公称値にはおよばないが、約53ワットアワーというバッテリー容量からすれば妥当なところだろう。

 ボディの熱に関しては、季節のせいもあるのか、あるいはCPUがTDP25ワットのAthlon X2 QL-62であるためなのか、先代機ほどホットな印象はない。室温24度の環境で一連のベンチマークテストを連続して実行した後に放射温度計で測定したボディの温度は、最も熱くなる底面右奥の排気口付近では46度まで上昇するものの、底面のほかの部分は最大でも36度程度とそれほど高熱にはならなかった。また、表面で一番熱を持つのはHDDが収納される右パームレストの辺りで、36度と少し暖かい程度で収まっている。キーボードは右下部分が最大34度程度、そのほかは30度前後と、特に不快な印象はなかった。

 一方で、放熱用のファンはちょっとした負荷にも敏感に反応し、最近のノートPCとしてはかなり騒音が大きい部類に入るだろう。暗騒音32dBの環境で本体から10センチ(背面の排気口からは30センチ程度)の距離に騒音計を置いて測定したところ、アイドル時は35〜40dB、通常負荷時は42〜43dB前後、さらに3Dグラフィックス系や複数処理同時実行系のベンチマークテストでは44〜45dB程度まで騒音レベルが上がった。

タブレットPC入門機としておすすめ

 HP TouchSmart tx2 Notebook PCは画面の視認性が向上したことや、また発熱面でも常識的な範囲内に収まっていることから、通常のノートPCとしても使いやすさが増している。タブレット機能に興味があるユーザーには従来機以上におすすめできる製品になったし、また、より幅広いユーザーに受け入れられる製品になった。

 評価機のスペックでHP Directplusの直販価格は9万9750円となっている。PCの値崩れが激しい昨今では強烈なインパクトがある価格ではないものの、タッチパネル搭載の高機能なノートPCとしてはなかなかコストパフォーマンスが高い。また、同社ではたびたびお買い得なキャンペーンを実施しているので、定期的にアクセスしてみると思わぬお買い得で入手できるチャンスが出てくるかもしれない。

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