Windows 7は、こうしたWindows Vistaの経験を踏まえてリリースされる。カーネルも含めたWindows Vistaのコードをベースにしているのはもちろんのこと、Windows Vistaでうまくいかなかった経験、そこから得られた反省を踏まえて登場するはずだ。
が、だからといって、Windows XPへ先祖返りすることはない。すでにマイクロソフトやサードパーティは、Windows Vista(WDF/.Net Framework、DirectX 10以降)へ多大な投資を行っている。あくまでもベースになるのはWindows Vistaだ。
Windows Vistaが登場してまもなく3年になろうとしている。問題の1つであった互換性については、アプリケーション側での対応が進んでいる。それぞれの最新版にアップデートすることで、Windows Vistaでも問題なく動作するだろう。Vista対応ができない企業内アプリケーション向けには、マイクロソフトはWindows XPの仮想環境まで用意している。Windows Vistaがリリースされた当時に問題になった、ハードウェアオーバーレイを用いたアナログテレビチューナーが、Windows 7になって利用可能になるわけではないが、アナログ放送そのものが終息へのカウントダウンを刻んでいる現状では、もはや大きな問題とは思えない。実のところ互換性の問題については、時間が解決してしまった。
要求するハードウェアリソースの問題については、マイクロソフト自身が見直した旨の発言を行っており、16GバイトのSSDで問題なく利用可能だと言う。メモリの使用量も、画面のダブルバッファリングを止めるなど、削減に努めたとする。その一方で、Netbookのスペックも向上しており、もはや4Gバイトや8GバイトのSSDを用いたシステムなど売られていない。何より、Netbook用のSKUとしてWindows 7 Starterまで用意する以上、Windows Vistaのようなことはないはずだ(機能を限定したStarterがどれくらい快適に利用できるかは、また別の問題だが)。
完成度の問題にしても、Windows 7のRC版はおおむね好評を博している。2009年1月にβ版がリリースされ、そこから半年足らずでRC版がリリースされたことも、Windows Vistaよりも開発が順調に進んでいることをうかがわせる。SSDのサポート、DirectX 11の実装など、RC版でも実現していない部分は見受けられるが、Windows Vistaのような「Service Pack 1待ち」といった事態にはならないだろう。Windows 7はいわばWindows Vista Second Editionである以上、Windows Vistaのリリース時よりは完成度が高くて当然なのだ。
こうした部分に加え、Windows 7で注目されるのは、ユーザーインタフェースにおける基本方針が変更されたことだ。Windows 2000の後、Windows XP、そしてWindows Vistaと、Windowsのユーザーインタフェースは、おせっかいさを増す方向で進んできた。それはタスクトレイに表示されるBalloon Tipsであり、UACの警告だったりしたわけだが、これらもWindows 7では軽減される。
個人的には、内部を変更した以上、互換性が100%でないのは当たり前だと思っているし、新しいOSがハードウェアの進歩を反映して重くなるのもやむを得ないことだと理解している。それでも我慢がならなかったのは、互換性でも重いことでもなく、Windows Vistaのユーザーインタフェースがあまりにも煩わしいことだった。そこが見直されるということが、Windows 7に対して期待感を持つ最大の根拠となっている。
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