VAIO Wは「インターネットがメインの使い方となるPCである」という考え方から、一般的なNetbookで採用する1024×600ドットのディスプレイより表示領域が広く、より快適にブラウザを利用できる、1366×768ドット表示に対応する10.1型ワイド液晶ディスプレイを採用した。これは、今まで解像度の低さがNetbook購入の足かせになっていたユーザーに対しても、魅力を訴求できる大きなポイントの1つといえる。
ちなみにターゲットは「幅広い年齢層のユーザー」とそれこそかなり広いが、“スイーツ”といった単語が出てくることからも、女性層や若年層を軸にしたライトユーザーを大いに想定することが伺え、本体そのものはPCリテラシーがそこそこ高いユーザーや、業務でノートPCを利用するユーザーはおそらくほとんど想定していない。そういったユーザーにはWiMAXモジュールの選択も可能になった「VAIO type P」や「VAIO type Z」、あるいはほかの“よりとんがった”シリーズが向いているためだ。
ただ、この手のユーザーに対しても購買行動を起こさせる手段を用意してあるのが、いわゆる“VAIOらしい”ところなのだろう。それは「ギフト」用途。こうすると、想定ターゲットはどこまでも広くできる。
VAIO Wは、6万円以下で購入できるNetbookならではの価格とともに、ギフトとして贈っても違和感がない「大切な人に贈る」ことも想定したパッケージで販売する。箱を開けるとデザインタッチパッドに採用した柄を描いた“凝った”内箱(ACアダプタや取扱説明書などが入っている)があり、それを外すと白い布に包まれた本体が現れる──といった仕掛けだ。VAIOオーナーメードモデル向けのメッセージ刻印サービスも、ギフト用となると利用ニーズがより高まると予想される。ディスプレイベゼルの左上へ1行30文字まで、「HAPPY BIRTHDAY」や「15TH ANNIVERSARY」といった記念日向けも含めたのオリジナルメッセージを刻印可能。通常の刻印カラーに加えて、黒、赤、緑のカラーを選択できるようになっている。
ライトユーザー層を中心に拡大するNetbookは2009年現在、ノートPC市場の3割を占めるほど成長した。この背景には、モバイルPCが一家に1台から「1人1台」という時代に確実に移行していることを示し、それは「自分用のPCがほしい」という若年層のニーズも多分に含まれる。
ソニーマーケティングのITビジネス部門ITマーケティング部 伊原論部長は、このタイミングで満を持してNetbookを投入する理由に「現在の市場背景を考え、NetbookはVAIOとしても大きなビジネスチャンスの1つだと改めて認識した。また、この市場の中でも“VAIOらしさ”を十分に発揮できる余地があると判断したことが、Netbook市場への参入を決めた理由だ」と述べる。
そこには、機能や価格が横並び傾向にあるNetbookにおいても、“VAIOらしさ”のユーザー価値は十分なアドバンテージとなるという狙いが伺える。価格帯は押さえながら、解像度や画面サイズ、より高速な超低電圧版のCPU、長時間駆動のバッテリーなどを備え、一般的なNetbookのプラスαを売りにする、いわゆる“Netbookキラー”と呼ばれるPCも多数登場しつつあるが、それらとは違うアプローチでNetbook市場に参入するVAIO Wシリーズも、Netbookを投入する他社にとっては驚異となる“キラー”な特徴を秘めていると言えるだろう。
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