ソニーが考えるNetbook市場、「VAIO W」の勝算は(2/2 ページ)

» 2009年07月08日 01時44分 公開
[岩城俊介,ITmedia]
前のページへ 1|2       

「幅広い年齢層のユーザー」がターゲットである理由

photo 「ギフト用」としても違和感がない、凝ったパッケージで販売する

 VAIO Wは「インターネットがメインの使い方となるPCである」という考え方から、一般的なNetbookで採用する1024×600ドットのディスプレイより表示領域が広く、より快適にブラウザを利用できる、1366×768ドット表示に対応する10.1型ワイド液晶ディスプレイを採用した。これは、今まで解像度の低さがNetbook購入の足かせになっていたユーザーに対しても、魅力を訴求できる大きなポイントの1つといえる。

 ちなみにターゲットは「幅広い年齢層のユーザー」とそれこそかなり広いが、“スイーツ”といった単語が出てくることからも、女性層や若年層を軸にしたライトユーザーを大いに想定することが伺え、本体そのものはPCリテラシーがそこそこ高いユーザーや、業務でノートPCを利用するユーザーはおそらくほとんど想定していない。そういったユーザーにはWiMAXモジュールの選択も可能になった「VAIO type P」「VAIO type Z」、あるいはほかの“よりとんがった”シリーズが向いているためだ。


photo VAIOオーナーメードモデルは、メッセージ刻印サービスも利用できる。VAIO Wから刻印の色も選択できるようになった

 ただ、この手のユーザーに対しても購買行動を起こさせる手段を用意してあるのが、いわゆる“VAIOらしい”ところなのだろう。それは「ギフト」用途。こうすると、想定ターゲットはどこまでも広くできる。

 VAIO Wは、6万円以下で購入できるNetbookならではの価格とともに、ギフトとして贈っても違和感がない「大切な人に贈る」ことも想定したパッケージで販売する。箱を開けるとデザインタッチパッドに採用した柄を描いた“凝った”内箱(ACアダプタや取扱説明書などが入っている)があり、それを外すと白い布に包まれた本体が現れる──といった仕掛けだ。VAIOオーナーメードモデル向けのメッセージ刻印サービスも、ギフト用となると利用ニーズがより高まると予想される。ディスプレイベゼルの左上へ1行30文字まで、「HAPPY BIRTHDAY」や「15TH ANNIVERSARY」といった記念日向けも含めたのオリジナルメッセージを刻印可能。通常の刻印カラーに加えて、黒、赤、緑のカラーを選択できるようになっている。


市場参入は、「VAIOらしさ」を十分に発揮できる余地があるから

photo ソニーマーケティング ITマーケティング部の伊原論部長

 ライトユーザー層を中心に拡大するNetbookは2009年現在、ノートPC市場の3割を占めるほど成長した。この背景には、モバイルPCが一家に1台から「1人1台」という時代に確実に移行していることを示し、それは「自分用のPCがほしい」という若年層のニーズも多分に含まれる。

 ソニーマーケティングのITビジネス部門ITマーケティング部 伊原論部長は、このタイミングで満を持してNetbookを投入する理由に「現在の市場背景を考え、NetbookはVAIOとしても大きなビジネスチャンスの1つだと改めて認識した。また、この市場の中でも“VAIOらしさ”を十分に発揮できる余地があると判断したことが、Netbook市場への参入を決めた理由だ」と述べる。

 そこには、機能や価格が横並び傾向にあるNetbookにおいても、“VAIOらしさ”のユーザー価値は十分なアドバンテージとなるという狙いが伺える。価格帯は押さえながら、解像度や画面サイズ、より高速な超低電圧版のCPU、長時間駆動のバッテリーなどを備え、一般的なNetbookのプラスαを売りにする、いわゆる“Netbookキラー”と呼ばれるPCも多数登場しつつあるが、それらとは違うアプローチでNetbook市場に参入するVAIO Wシリーズも、Netbookを投入する他社にとっては驚異となる“キラー”な特徴を秘めていると言えるだろう。


photophotophoto VAIO Wのホワイト。隣接するキーとキーの間を離し、格子状のパネルをはめ込んだ、キーピッチ16.5ミリのアイソレーションキーボードと独特の柄を施したタッチパッド、触感を向上させるための(ゴルフボールのような)ディンプル加工を施したパームレストを備える。カラーリングに合わせたキャリングポーチとUSB光学式マウスを含むアクセサリーキット(4980円)も用意する
photophotophoto ピンク(左、中)とブラウン(右)。天板は半つや消しでさらりとした手触りの塗装が施される
photophotophoto バッテリーは3セルの標準バッテリーと6セルの長時間バッテリー(バッテリーパックL)を用意する。長時間バッテリー装着時はキーボードにやや角度が付く仕様となる
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  5. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー