9月9日(米国時間)にサンフランシスコでAppleのスペシャルイベントが開催される。右に掲載した写真はその会場となる「Yerba Buena Center for the Arts」の様子だ。この写真、実は9月6日の夕方に撮影したもので、気の早い話だがすでに会場設営の準備が進んでおり、「It's only rock and roll, but we like it.」の招待状にあった人物のシルエットが入り口側の全面に浮き出ていた。3日も前から……という気はするが、米国では7日の月曜日が祝日(Labor Day)のため、作業を前倒しで進めていたのかもしれない。
さて、開始を目前に控えた今回のスペシャルイベントだが、新しいiPodを購入しようと考えているユーザーの中には、どのような新製品が登場するのかいろいろと思いを巡らせている人もいるだろう。この時期に行われるAppleのイベントでは、iPodやiTunesなど音楽関連の話題が中心となるのは恒例だが、例によってMacファンサイトやアナリストらがいかにも“ありそう”な、あるいは完全にネタ化したものまでさまざまな新製品予想を打ち立て、発表に向けて盛り上がっている。ここではそれらの予想の一部を紹介していこう。
予想で最も多いのはこの2つのカテゴリの製品の新モデルだ。内容としては、新モデルにはカメラとGPSを搭載してくるのではないかというもの。GPSについては不明だが、第3世代のtouchと第5世代のnanoではカメラ内蔵という話は早くから伝わっており、すでにリーク情報の一部でtouch用のケースの背面にカメラ用の穴を見かけたという目撃例がある。また最もホットな製品カテゴリなため、何かしらの製品が出てくるのは確実だろう。
新型iPod touchとnanoに続いて確度が高い話題はiTunesの最新版「iTunes 9」だ。去年9月のスペシャルイベントで紹介されたiTunes 8では「Genius」という新機能を引っさげてきたが、今回のiTunes 9では何が新機能として登場するのだろうか。1つ目玉機能としてウワサされているのがSNSやほかのサービスとの連携で、米国でも人気の「Facebook」やインターネットラジオサイトの「Last.fm」などが挙げられている。こうしたサービスをiTunesから利用する、あるいはSNS側から利用できる仕組みが提供されるのではないかとみられる。
新製品に関してさまざまなウワサが飛び出しているが、ここ1、2週間の間に急速に話題が増えつつあるのがApple TVだ。Apple TVについてはビジネスの成否について毎回議論が交わされることになるが、Appleとしては同社のライフスタイル提案のうえで必要不可欠な要素なのだろう。
今回の発表会ではアップデートが施された新版が登場する――AppleはiTunes Storeのさらなる強化を進めており、iTunes 9、そしてApple TVとのセットで新サービスを全面プッシュしてくるのではないかとの予想だ。iTunes Storeの強化については、ビデオクリップやライナーノーツ、各種のプレミアコンテンツをセットでアルバムとともに販売する「Cocktail」というサービスの準備をAppleが大手レコード会社4社と進めていることを英Financial Timesが報じており、これとリンクしてくる可能性がある。
10型サイズのタブレットデバイスをAppleが開発していることは今年の5月くらいから多くのメディアが報じていたが、少なくともこの9月のイベントで登場することはなさそうだ。タブレット製品については「米Verizon Wirelessとサービス契約の交渉を進めている」「Cocktailとセットで提供される」「いわゆるMacやiPhoneとは異なるタイプのもので、音楽やマルチメディアを中心としたエンターテイメント製品」といった情報が出ている。「米Apple CEOのSteve Jobs氏が6月に復帰してから、それまで作られていた製品計画がいちど後退せざるを得なかった」と米Wall Street Journalが報じているなど、事前交渉やブラッシュアップの部分で苦戦していることがうかがえる。現状では2009年末から2010年初頭という説が濃厚だ。期待の大きいデバイスだけに、じっくり練っていただきたい。
音楽中心のイベントということもあり、新製品が登場する可能性は低い。だが恒例の「One more thing...」には期待したいところだ。
旧iPodユーザーには悲しいお知らせだが、9月9日にclassicの“死亡宣言”が出されるのではないかというウワサが高まっている。人気としてはnanoやtouchには及ばないものの、大容量iPodを好むユーザーは依然としており、この日の発表に注目したい。もしこうした宣言が出されるのであれば、最後の在庫を手に入れるべくショップに駆け込むユーザーが多数出現するだろう。
今回のスペシャルイベントの最大の目玉は、米AppleのCEO、スティーブ・ジョブズ氏(Steve Jobs)ことジョブズ氏本人だ(失礼!)。少なくとも2008年10月に米Apple本社で開催されたスペシャルイベント以降に同氏を見かけたメディア関係者や一般ユーザーはほとんどいないとみられ、今年6月の本業復帰以降に本社前の横断歩道を歩いていた様子がスクープ写真として掲載されるなど、ほとんどツチノコやネッシーのようなUMAの扱いになってしまっているのが現状だ。
同氏の健康状態に関するウワサ1つで株価が1割や2割も軽く上下する米Apple。投資家らは同氏の最新動向にやきもきしているだろう。そして何より、数多くのファンがここでの登場に期待を膨らませている。どんな新製品より、スティーブ・ジョブズその人の登場がファンにとっての一番のプレゼントかもしれない。
PC USERではイベントの速報とそれに続く詳報で現地リポートを掲載していく予定なので、楽しみにしていてほしい。
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