ベンチマークテストに使用した機材は、Radeon HD 5870で測定と同様とし、比較データも同じものを流用している。
テストシステム構成 | |
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CPU | Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz) |
マザーボード | MSI X58 Pro |
チップセット | Intel X58 Express |
メモリ | DDR3-1333(GeIL GV33GB1333C9TC 1GB×3/9-9-9-24) |
HDD | WD3200AAJS-B4A(320GB/7200rpm/8MB) |
OS | Windows Vista Ultimate(SP1) 32ビット版 |
Radeon HD 5850はRadeon HD 5870の下位モデルとなるが、3DMark06のスコアで両者の開きを見ると解像度が1024×768ドット設定で約600、1920×1200ドット設定で約1100の開きがある。高解像度でベンチマークテスト結果の差が大きくなるという傾向だ。なお、高画質設定の場合にも同様の傾向が確認されることから、統合型シェーダーユニット数などのスペックダウンが高解像度、高画質環境におけるベンチマークテストの結果に影響を与えているようだ。
また、3DMark Vantageの測定結果を見ると、PerformanceではGeForce GTX 285を下回るが、Extremeでは逆転する。先ほどRadeon HD 5850の傾向として高解像度、高画質環境が弱いと指摘したが、それでも、GeForce GTX 285よりは強力ということになる。これ以外の多くの測定結果においても、Radeon HD 5850はミドルレンジGPUながら、GeForce GTX 285とRadeon HD 4890を上回っているのが確認できた。
FPSゲームタイトルを用いたベンチマークテストでは、Radeon HD 5870のように、すべてのテストでパーフェクトとはいかない。GeForce系に適したタイトル、Radeon系に適したタイトルというものがあり、GeForce系に適したタイトルにおいてGeForce GTX 285がRadeon HD 5850を上回る結果となっている。
なお、消費電力に関してはアイドル時はRadeon HD 5870と同様で低い値を示している。さらに、ピーク時はRadeon HD 5870よりも17ワット低い値となるなど、省電力性能は向上している。
Radeon HD 5850は、Radeon HD 5870の下位モデルということもあり、性能はある程度予想されていたとおりといえる。一部のゲームベンチマークテストでGeForce GTX 285を超えられない結果となり、パーフェクトだったRadeon HD 5870と比べればインパクトは弱いかもしれない(ただし、ミドルレンジGPUであることは、十分に考慮しなければならない)。とはいえ、ほとんどのテストでGeForce GTX 285を上回っているので、性能は十分だろう。消費電力が少なく、カードサイズが短いので取り回しが容易なことも、Radeon HD 5850のメリットに挙げられる。
価格は300ドル以下とされているが、国内では4万円前後で出荷される可能性が高い(なお、週末に出荷されたRadeon HD 5850搭載グラフィックスカードの実売価格は3万円台半ばが主流のようだ)。ユーザーの注目を集めているのに出荷量がわずかとなっているRadeon HD 5870と同様に、まずは、出荷量がどの程度となるのかが注目される。出荷が安定し、価格が300ドルに近づいてきたとき、Radeon HD 5850は最強のミドルレンジGPUとなるだろう。
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