東芝が放つ“ネットノート”の実力は?――「dynabook MX」を比較CULVノート列伝(1/2 ページ)

» 2009年11月19日 19時49分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]
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国内ノートPC専業メーカーが放つCULVノート

13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載した上位モデル「dynabook MX/43KWH」

 東芝が2009年秋冬モデルとして投入した「dynabook MX」シリーズは、CPUにインテルの超低電圧版CPUを採用する、いわゆるCULVノートPCにカテゴライズされる新モデルだ。2008年からノートPC市場を席巻しているNetbookに代わり、性能やバッテリー駆動時間、よりよい使い勝手をめざしたCULVノートPCは、ASUSTeKやAcer、MSIといった台湾勢を皮切りに各社から登場しているが、東芝のdynabook MXシリーズは国内のノートPC専業メーカーが放つCULVノートPCとしても注目度の高い製品の1つだろう。

 同社はCULVノートPCのカテゴリを“ネットノート”と呼び、Atomを採用する「dynabook UX」よりも一回り大きな、13.3型ワイド液晶を搭載する「dynabook MX/43KWH」でCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)を、11.6型ワイドの「dynabook MX/33K」でCeleron 743(1.3GHz)を採用している。さっそく評価していこう。

CULV版CPU搭載ノートPCのレビュー記事


おなじみのIMDデザインで高級感を演出

11.6型ワイド液晶搭載「dynabook MX/33K」

 上位モデルのdynabook MX/43KWHと、下位モデルのdynabook MX/33Kは、液晶ディスプレイのサイズこそ異なるものの、ボディデザインはほぼ共通化されている。曲線を基調としたボディラインが本体前方へ向かって船底形に薄くなるシルエットや、光の加減で繊細な陰影を描くつややかなボディは、Nissha IMD(成型同時加飾転写工法)を採用するdynabook/Qosmioシリーズに共通するデザインだ。

 天面のグラデーションパターンはパームレストも同様で、よく見るとタッチパッドの入力エリアまできちんと描かれている。また、ボトムケースのフチを銀色で囲い、クリックボタンと前面インジケータの回りにつなげるなど、コストパフォーマンスで語られることの多いCULVノートPCながら、デザインにも気を使っているのが分かる。なお、下位モデルのMX/33Kには、上位と同じリュクスホワイトのカラーリングに加えて、アイアンレッドとプレシャスブラックのカラーバリエーションも用意されている。

光沢感のあるボディが特徴の1つ。左が13.3型ワイドのMX/43KWH(リュクスホワイト)、右が11.6型ワイドのMX/33KRD(アイアンレッド)で、デザインは統一されている。11.6型の下位モデルには3色のカラーバリエーションがある

 ボディサイズは、MX/43KWHが約323(幅)×223(奥行)×22.2〜34.2(高さ)ミリ。重量は標準バッテリー装着時で約1.76キロ(実測値では1.71キロ)あり、積極的にモバイルPCとして使うにはやや重い印象を受ける。一方、MX/33Kのサイズは約286(幅)×211(奥行)×24.9〜34.2(高さ)ミリでMX/43KWHに比べ一回り小さい。ただしこちらも重量は約1.58キロ(実測値1.52キロ)と、11.6型液晶搭載ノートPCとしてみれば特別軽量というわけでもない。

 もっとも、実際に数日間持ち歩いて利用してみたところ、(個人差はあるだろうが)1.7キロは日常的に持ち運びができる重さで、ラウンドフォルムのボディもカバンにすっと収納できるのが好印象だった。なお、両モデルで共通化されているACアダプタは、実測値で44(幅)×106(奥行き)×29(高さ)ミリとやや大きく、電源ケーブル込みで約320グラムもある。これはもう少し小型軽量のものにしてほしかった。

底面カバー内に2基のメモリスロットがある。PC3-6400対応(DDR3-800)のデュアルチャネルに対応し、MX/43KWH(写真=左)が最大8Gバイト、MX/33K(写真=右)が最大4Gバイトまで増設できる

左がMX/43KWH、右がMX/33K。バッテリーの容量とACアダプタのサイズは同一だ。電源ケーブル込みで約320グラムはやや重い

デュアルコアのCore 2 Duoか、シングルコアのCeleronか

 dynabook MXシリーズは、液晶サイズ以外に基本スペックでも差別化されている。上位モデルのMX/43KWHは、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)とIntel GS45 Expressを組み合わせたシステムだが、下位のMX/33KはシングルコアのCeleron 743(1.3GHz)とIntel GS40 Expressの組み合わせだ。次ページのベンチマークテストで触れるが、Core 2 Duo SU9400(1.4GHz)とCeleron 743(1.30GHz)の性能差は気になるところだろう。なお、メモリはともに2Gバイトで、HDD容量も250Gバイトとなっている。

CPU-Z 1.52.2の画面。左がMX/43KWH、右がMX/33K

 インタフェースは共通で、3基のUSB 2.0とHDMI出力、アナログRGB出力、メモリカードスロット(SD/SDHC/MMC/xD/MS/MS PRO対応)、ヘッドフォン出力とマイク入力、有線LANを備える。ただし、端子のレイアウトはMX/43KWHとMX/33Kで若干異なっており、ボディサイズの関係からか、MX/33Kではメモリカードスロットが左側面に移動している。アクセスしやすい右側面手前にメモリカードスロットを配置するMX/43KWHのほうがやや使いやすいかもしれない。

 もっとも、基本的には着脱頻度の高い端子を本体前方側に並べ、アナログRGBや有線LANを後方に置くなど、よく考えられた配置と言える。なお、液晶フレーム上部に31万画素のWebカメラを備え、ネットワーク機能としてIEEE802.11b/g/nの無線LANと有線LAN(100BASE-TX)を搭載している。

本体左側面。左がMX/43KWH、右がMX/33K

右側面。左がMX/43KWH、右がMX/33K。メモリカードスロットの配置が異なるが端子の構成は同じ

液晶ディスプレイと入力環境をチェック

 ディスプレイには、消費電力の低いLEDバックライト液晶を採用し、13.3型ワイド/11.6型ワイドともにアスペクト比16:9の1366×768ドット表示に対応する。これはCULVノートPCでは標準的な解像度で、1024×600ドットのNetbookに比べるとやはりデスクトップが広く、使い勝手はいい。パネルの明るさも十分なレベルで、視野角の狭さも画面に正対して使うのが前提になるノートPCであれば問題のない範囲だ。なお、11.6型ワイドのMX/33Kは、MX/43KWHに比べてドットピッチが狭くなるが、実際に試用した印象では文字が小さすぎるといったこともなく、快適に利用できた。一方、光沢処理を施したパネルはコントラストが高く静止画の見栄えがいい半面、やはり映り込みが避けられない。日中の窓際などでは場所を変えるなどの工夫が必要だろう。

1366×768ドット表示に対応するLEDバックライト液晶を搭載する。左が13.3型ワイドのMX/43KWH、右が11.6型ワイドのMX/33K

 キーボードは、MX/43KWHが日本語87キーを採用する一方、MX/33Kは左Fnキーと右Ctrlキーを省いた日本語85キーになっている。また、キーストロークはMX/43KWHの1.7ミリに対して1.6ミリと若干浅い。もっとも、試用してみた印象ではこれらの数値上の差はほとんどないと感じた。主要キーのキーピッチは19ミリで統一されており、カーソルキーも周囲のキーから独立されているなど、両モデルともにタイピングしやすい。打鍵感も底を打つ感じが小気味よく、かなり強めにタイプしてもキーボードユニットがたわむことはなかった。ただ、広めのキー(特にスペースキー)などはカチャカチャとやや耳障りな音を立てるのは少し気になった。

日本語87キーボードのMX/43KWH(写真=左)、日本語85キーボードのMX/33K(写真=右)。主要キーのピッチはともに19ミリでそろえられている

 タッチパッドは標準的な2ボタン式で、パッドの入力エリアはパームレストと一体化し、デザインパターンが入力エリアにも描かれている。パッドエリアは実測値で、MX/43KWHが80(幅)×38(奥行き)ミリ、MX/33Kが75(幅)×37(奥行き)ミリと、ボディサイズに合わせて幅のサイズがやや異なる。一般的なNetbookに比べるといずれも十分な広さを持っており入力しやすい。一体型のクリックボタンはやや固めだが、しっかりとしたクリック感がある。

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