東芝は10月13日、Windows 7発売後の秋冬商戦をにらんだdynabook/Qosmioシリーズの新モデルを発表した。秋冬モデルとして投入される全10シリーズのラインアップのうち、新機種は1つ。それが「dynabook MX」シリーズだ。CPUにAtomを採用する従来のNetbookは、低価格かつ持ち運び安いコンパクトなボディが受けてPC市場を席巻したが、一方でシステム性能が低く、画面の解像度が低いといった欠点もある。東芝のNetbookには「dynabook UX」が現行モデルとしてラインアップされているが、ユーザー調査の結果から、不満としてバッテリー駆動時間や画面サイズ、CPU性能などが挙げられたという。そこで同社は、Netbookの利用法として一般的な情報の受動的な閲覧だけでなく、自ら情報を加工して積極的に発信していくユーザー層に対して、より性能が高く長時間駆動が行えるdynabook MXを新たに「ネットノート」の呼称で提案している。台湾メーカー各社がNetbookの次の製品として積極的に展開している“CULVノート”のカテゴリと見ていいだろう。
dynabook MXは、13.3型ワイドの「MX/43KWH」と、11.6型ワイド液晶を搭載する「MX/33K」の2つのラインが存在する(MX/33Kは、カラーバリエーションによって型番の末尾にWH(リュクスホワイト)/BL(プレシャスブラック)/RD(アイアンレッド)の文字が付加される)。試作機を入手したので早速写真を中心に紹介していこう。
dynabook MX/43KWHは、CPUに超低電圧版のCore 2 Duo SU9400(1.4GHz)を採用した1スピンドルノートPCだ。省電力性能に優れるLEDバックライトの13.3型ワイド液晶は、解像度が1366×768ドットとNetbookより大きく広い。画面サイズにあわせてキーボードも広く、主要キーを19ミリピッチでそろえた日本語87キーが並ぶ。キーストロークも1.7ミリとノートPCとしては十分だ。
ボディデザインは、同社おなじみの「成型同時加飾転写」(IMD)を採用し、かすかに浮かび上がる粒状の模様が光りの加減で美しいグラデーションを描く。また、エッジを落とした船底形のフォルムは、実際のサイズ以上にボディの薄さを演出している(ちなみに本体サイズは約323(幅)×223(奥行)×22.2〜34.2(高さ)ミリで、標準バッテリー搭載時の重量は約1.76キロ)。また、クリックボタンの手前に並ぶインジケータは、シルバーの素材で囲み、アクセントにしている。

1366×768ドット表示に対応する13.3型ワイド液晶ディスプレイを搭載する。液晶上部には31万画素Webカメラを内蔵する(写真=左)。キーボードは日本語87キーで、カーソルキーを独立させるなど余裕がある(写真=右)
本体左側面/右側面。インタフェースは、左側面にUSB 2.0、HDMI出力、アナログRGB出力、右側面には手前からメモリカードスロット(SD/SDHC/MMC/xD/MS/MS PRO対応)、ヘッドフォン出力とマイク入力、2基のUSB 2.0、有線LANが並ぶ
ACアダプタは標準的なサイズでモバイル用途向けに小さいということはないようだ(写真=左)。HDDとメモリスロットには背面から簡単にアクセスできる。写真では2枚のモジュールが装着されているが、標準では2Gバイトのモジュールが1枚挿さり、1基のスロットが空きになっている(写真=右)一方、1366×768ドット表示に対応した11.6型ワイド液晶を搭載する「MX/33K」は、CPUに超低電圧版のCeleron 743(1.3GHz)を搭載する。メモリは2Gバイト、HDDは250Gバイトだ。IEEE802.11b/g/n(nはドラフト)準拠の無線LANや、約1.58キロの重量(標準バッテリー搭載時)など、スペック面ではデルが投入した「Inspiron 11z」に似ている(ただし、MX/33Kのグラフィックス機能はIntel GS40 Express内蔵のGMA 4500Mを利用する)。MX/33Kの本体サイズは、約286(幅)×211(奥行き)×24.9〜34.2(高さ)ミリ、標準バッテリーで約9.5時間の駆動が可能だ。
キーボードは19ミリピッチを確保した日本語85キーで、ストロークは1.6ミリと、MX/43KWHに比べてわずかに浅い。また、右CTRLキーや左FNキーは省かれている。「成型同時加飾転写」のつややかな質感やエッジのきいたフォルムなど、ボディデザインはMX/43KWHと共通だが、インタフェース回りのレイアウトは異なり、左側面にUSB 2.0とHDMI出力、メモリカードスロット(SD/SDHC/MMC/xD/MS/MS PRO対応)、アナログRGBを並べ、右側面に音声入出力、USB 2.0×2、有線LANと、メモリカードスロットが左側面に移動している。

成型同時加飾転写工法を採用したボディ。パームレスト手前のインジケータをシルバーメッキで囲いアクセントにしている点もMX/43KWHと同様だ。タッチパッドをよく見ると、ピクセルパターンがきちんと中までデザインされているのが分かる
ACアダプターは標準的なサイズ。充電は電源オン時で約10時間、オフ時で約5.0時間以上かかる(写真=左)。メモリとHDDには底面からアクセスできる。出荷状態ではメモリスロットのうち1基が空きになっている(写真=右)以上、今回見てきたのは量産前の試作機だったため、ベンチマークテストや詳細な使用感の評価は行えなかったものの、CULVノートのカテゴリにまた1台期待できる新モデルが登場した。このクラスのノートPCはNetbookの次に市場を掘り起こす製品として今後も注目を集めそうだ。
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