国内PCベンダーでは最も安価なデュアルコアCULVノートPC「FMV-BIBLO LOOX C/E50」を試すCULVノート列伝(1/3 ページ)

» 2009年11月11日 11時11分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

いよいよ国内PCベンダーからもCULV版CPU搭載ノートPCが登場

新シリーズの「FMV-BIBLO LOOX C」

 富士通の「FMV-BIBLO LOOX C」は、2009年の冬モデルから同社のモバイルノートPCラインアップに加わった新シリーズだ。いわゆるCULV(コンシューマー向け超低電圧版)版CPU搭載ノートPC(以下、CULVノートPC)であり、同社のラインアップの中では「FMV-BIBLO R」(従来のFMV-BIBLO LOOX Rシリーズ)とNetbookの「FMV-BIBLO LOOX M」の中間に位置する低価格な薄型軽量モバイルノートPCである。CULVノートPCはこの2009年末に向けての業界全体のトレンドとして大いに注目されるジャンルだけに、大手の一角である富士通の製品がどのような仕上がりとなっているのか、実に気になるところだ。

 CPUにインテルのAtomを搭載した低価格なNetbookは、デザイン性に優れた小型軽量のボディや手ごろな価格がモバイルPCの潜在的な需要を掘り起こし、2008年から2009年の前半にかけて大ブレイクした。しかし、Netbookの性能はおしなべて低く、画面サイズも小さいモデルが多い。Webブラウズやメールだけなら十分だが、PCとしていろいろな用途に使おうとすると性能面や機能面で不満が出てくるのは否めない。

Netbook以上、ハイエンドモバイルPC以下を担うCULVノートPC

 インテルのCULV版CPUは、そういったNetbookの性能や機能では物足りないというユーザー層を狙った、リーズナブルな薄型軽量ノートPC向けのプラットフォームだ。先に紹介したようにCULVとは「Comsumer Ultra Low Voltage」の略で、「Comsumer」の意味するところは、「安い(安くて個人ユーザーにも買いやすい)」と解釈して差し支えないだろう。Netbookで掘り起こされたモバイルPCへの潜在需要に注目し、従来「省電力」という付加価値から高価な値付けがされてきた超低電圧版CPUを戦略的な低価格で提供することで、個人ユーザーでも手が出やすい価格のモバイルノートPCの登場を促し、さらなる市場拡大につなげようというのが、CULV版CPUを投入したインテルの狙いだ。

 インテルでは「Netbook」に対抗し、CULVを採用した製品群の総称として「モバイル・サブノート PC」という呼称を提案しているが、現状では市場に浸透しているとは言い難く、単に「CULVノート」という呼び方が一般的だろう。

 CULVノートPCは2009年の夏ごろから台湾メーカーなどから少しずつ登場してきており、PC USERでも何度か取り上げているが、10月22日に登場したWindows 7の一般発売と前後するタイミングで、国内大手を含めた多数のPCメーカーからWindows 7をプリインストールしたCULVノートPCの発表が相次いでおり(下の過去記事を参照)、いよいよ本格展開といえる様相を呈してきている。

 Netbookのスペックはどの製品も似通っているが、それはインテルやマイクロソフトがNetbook向けのハードウェアやOS供給を行う対象に条件をつけているためだ。CULVノートPCにそういった制限はないため、CULV版CPUを搭載しているからといって、必ずしも同じような仕様の製品になるとは限らない。ただ、CULV版CPUの最大の魅力である「省電力(低発熱)」「安い」というメリットをストレートに生かそうとすれば、仕様が似てくるのもまた必然である。結果的にNetbookよりも少し上の価格帯(6万円以上10万円以下)で、Netbookよりも少し大きめの薄型ボディを備えたシンプルな製品が多くなっている。ここで取り上げるFMV-BIBLO LOOX Cもその1つだ。

3色のカラーバリエーションで展開されるLOOX Cシリーズ。左からマリンブルー、シャイニーブラック、ルビーレッド


美しい光沢塗装で仕上げられたスリムボディ

メモリスロットやHDDには底面からアクセスできる

 FMV-BIBLO LOOX Cシリーズの店頭販売モデルは、CPUにCULV版Core 2 Duo SU9400(1.4GHz/2次キャッシュ3Mバイト)を採用した上位モデル「LOOX C/E70」とCULV版Celeron SU2300(1.2GHz/2次キャッシュ1Mバイト)を搭載した下位モデル「LOOX C/E50」の2種類があり、それぞれ3色のボディカラーが用意されている。さらに下位モデルにはOffice Personal 2007(SP2)モデルも用意される。プリインストールOSは、すべて32ビット版Windows 7 Home Premiumだ。今回は下位モデル(Officeなし)のマリンブルー「FMV-BIBLO LOOX C/E50L」を評価機とした。

 ボディのサイズは、285(幅)×209(奥行き)×26.4〜30.2(厚さ)ミリと、ほぼA4ジャストサイズのフットプリントで、一般的なNetbookより一回り大きい。同社のNetbookであるFMV-BIBLO LOOX Mシリーズと比べると、幅で27ミリ、奥行きで20ミリ大きいが、厚みは最薄部で2.6ミリ、最厚部で3.6ミリ薄い。また、重量は約1.6キロと、LOOX Mの約1.2キロから400グラムほど重くなっている。

 もっとも、標準バッテリーでの公称駆動時間はLOOX Mの約3.6時間に対して約6.2時間(上位モデルのC/E70は約9.2時間)と長くなっている。これだけの駆動時間が確保できているなら、約1.6キロの重量もモバイルPCとしては許容範囲だろう。背面に搭載するリチウムイオンバッテリーは54ワットアワー(11.1ボルト/5200mAh)だ。ACアダプタはオーソドックスな直方体で、2ピンの電源ケーブルが分離するタイプ。実測サイズは44(幅)×107(奥行き)×30(厚さ)ミリ、重量はケーブルを含めて約295グラムで、これらはLOOX MやFMV-BIBLO Rシリーズとも共通だ。持ち運びが困難なほどではないが、他社の1.5キロ以下クラスのモバイルノートPCに付属するACアダプタと比べると少し大きめである。

 ボディは底面手前側を少し絞ったシンプルなフォルムで、両側面の端子類の並びも実用重視でデザイン的にはあっさりした印象を受けるが、天面やパームレストの仕上げは非常に美しい。カラーバリエーションは、マリンブルー、シャイニーブラック、ルビーレッドの3色が用意されている。評価機のマリンブルーでは天面とパームレストに深みのあるメタリックブルーを透明感のある光沢仕様で仕上げており、名前の通り南国の透き通った海を連想させる。天面にあしらった、さりげないミラーシンボルもアクセントとして効果的だ。

 また、開発段階で液晶ガラス押し試験、天面からの一点加圧試験(約35キロf)などを実施するなど、堅牢性にも配慮した設計となっている。実際に手に持った感触もカッチリとしていて剛性感は十分である。

3色とも透明感のある液晶ディスプレイ天面に仕上がっている
評価機のマリンブルー。手の脂や指紋は目立ちやすい
富士通のシンボルマークが左下に配置される

富士通

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