10月13日に富士通から発表された「FMV-BIBLO LOOX C」シリーズは、低価格なNetbookと20万円を超える高価なモバイルPCとの間を埋めるべく投入されたCULV(Consumer Ultra Low Voltage)プラットフォームを採用した新モデルだ。主なスペックなどはこちらの記事(→“ポストNetbook”を目指す低価格スリムノートPC──「FMV-BIBLO LOOX C」)に譲り、ここでは実機をじっくりチェックしよう。なお、試作機での評価となったためベンチマークテストが行えなかったほか、細かいところで実際の製品とは異なる可能性があるので注意してほしい。
さて、インテルからリリースされたCULVプロセッサ搭載の低価格ミニノートPCは、これまで日本エイサーの 「Aspire Timeline」やMSIの「X-Slim X400」「X340 Super」、ASUSTeKの「U20A」といった台湾ベンダー勢が先行していたが、レノボの「IdeaPad U350」、Windows 7の登場に合わせてソニーの「VAIO T」下位モデル、東芝の「dynabook MX」と相次いで新顔が登場している。
以前は20万円を超える高価なモバイルPCを中心に採用されていた超低電圧版CPUを、戦略的な価格設定を行いつつ低価格帯へもラインアップして、Netbook以上のパフォーマンスを備えた手ごろな価格の製品の登場を促すのがCULVの意義だ。最近、インテルはCULV搭載ノートPCを「モバイル・サブノート PC」と呼び、同様に東芝も「ネットノート」と定義し、Netbookのような名称の定着を図っている。2008年から破竹の進撃を続けていたNetbookも、さすがに陰りが見え始めており、“ポストNetbook”として各PCベンダーが取り組んでいるのが、このCULV搭載ノートPCというわけだ。
FMV-BIBLO LOOX Cシリーズの主なスペック | ||
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モデル | C/E70 | C/E50 |
CPU | Core 2 Duo SU9400(1.4GHz) | Celeron SU2300(1.2GHz) |
2次キャッシュ | 3Mバイト | 1Mバイト |
チップセット | Intel GS45 Express | |
メモリ | 2Gバイト(DDR2 SDRAM) | |
メモリースロット | 200ピンSO-DIMM×2(空き×1) | |
HDD | 320Gバイト(5400rpm) | |
液晶ディスプレイ | 11.6型ワイド光沢 | |
画面解像度 | 1366×768ドット | |
グラフィックス | Intel GMA 4500MHD(チップセット内蔵) | |
無線LAN | IEEE802.11b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | |
有線LAN | 100BASE-T/10BASE-T対応 | |
メモリカードスロット | SDHC対応SDメモリーカード/メモリースティックスロット | |
Webカメラ | ○ | |
スピーカー | 内蔵ステレオ | |
バッテリー | 11.1ボルト 5200mAh | |
バッテリー駆動時間 | 約9.2時間 | 約6.2時間 |
ボディサイズ | 285(幅)×209(奥行き)×26.4〜30.2(高さ)ミリ | |
カラーバリエーション | ルビーレッド、マリンブルー、シャイニーブラック | |
重量 | 約1.6キロ(内蔵バッテリパックL装着時) | |
OS | 32ビット版Windows 7 Home Premium | |
発売予定日 | 10月29日 | 10月22日 |
実売価格 | 10万5000円前後 | 8万5000円前後 |
※C/E50には、Office Personal 2007(SP2)をプリインストールしたモデルも実売10万5000円前後でラインアップされている |
このLOOX Cは超低電圧版CPUとして上位モデル「C/E70」にCore 2 Duo SU9400(1.4GHz/2次キャッシュ3Mバイト)、下位モデルの「C/E50」にCeleron SU2300(1.2GHz/2次キャッシュ1Mバイト)を搭載している。いずれもデュアルコアCPUであり、Netbook以上の高い性能を獲得しながら、バッテリー駆動時間の公称値は上位モデルで約9.2時間、下位モデルは約6.2時間とNetbookを上回っているのがポイントだ。
加えて、光沢タイプの液晶ディスプレイは11.6型で1366×768ドット表示と広く、FMV-BIBLOシリーズでA4フルサイズの「FMV-BIBLO NW」や「FMV-BIBLO NF」と同じ解像度を備えている。Netbookでは1024×600ドットや1024×576ドットといった手狭な画面解像度の製品が大半を占めており、この点でも明らかに使い勝手は増している。同様にキーボードも本機は19ミリのキーピッチを備え、タッチパッドも一般的な2ボタン仕様とそつがない。縮小ピッチや不規則なキー配列が見られることもあるNetbookに対し、入力環境でも本機は上回っているわけだ。
LEDバックライトを採用したスーパーファイン液晶は光沢タイプゆえ、画面への映り込みは避けられないが、適度な明るさがあり、輝度は8段階に切り替えられる。アイコンは多少小さめに表示されるが、「VAIO P」のように極端なサイズではなく、画面サイズとのバランスは良好だ。
一方、主要キーで19ミリピッチを実現したキーボードは、Enterキー周辺で14ミリ以下のキーピッチとなっている部分があるものの、不規則な配列は見られず、ほかのノートPCからの移行も比較的スムーズに行えるだろう。キーの底辺は17.5(横)×17(縦)ミリだが、キートップは15(横)×16(縦)ミリと2段階になっているので、キーとキーの間が開いており、ミスタイプをしにくいのも好印象だ。ただ、キーストロークが約1.8ミリと浅めで、強くキーを押すとカチャカチャという音がするのは好みが別れるだろう。入力音は製品版で改めて確認したいところだ。
タッチパッドはサイズが61(横)×30.5(縦)ミリあり、シナプティクス製の多機能ドライバが導入されている。多彩なカスタマイズが行えるので不満は感じないが、標準状態ではスクロール機能などを含めてオフになっているので、ユーザー自身で設定を変更する必要がある。なお、パームレストの奥行きは50ミリある。
LOOX Cを手に取ると、約1.6キロという重量が手にずっしりとくるが、ボディサイズは285(幅)×209(奥行き)×26.4〜30.2(厚さ)ミリと、底面積はA4サイズを下回り、比較的スリムなのでカバンへの収納性は悪くない。ただ、ACアダプタは44(幅)×107(奥行き)×30(厚さ)ミリと大柄で、電源ケーブル込みの重量が約295グラムとこちらの携帯性はいまひとつだ。もっとも、バッテリー容量は11.1ボルト 5200mAhあり、公称の駆動時間もCore 2 Duo搭載の上位モデルで約9.2時間、Celeron搭載の下位モデルでも約6.2時間あるので、目くじらを立てるほどではない。FMV-BIBLO Rのように、直販の「WEB MART」で小型のスティック型ACアダプタを選べるとよかった。
一般的なNetbookと異なり、メモリスロットを2基備えることで、ユーザーレベルでメモリを追加可能なのもうれしいところだ(メーカーの保証はなくなってしまうが)。本機は標準で2GバイトのDDR2 SDRAMモジュールが1枚装着済みで、最大4Gバイトまで増設できる。メモリスロットやHDDベイは底面から簡単にアクセスできるので、2.5インチのSerial ATA HDD(標準で320Gバイトを搭載)も換装が容易に行える。
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