国内メーカー各社が続々と投入している2010年PC春モデルの中でも、とりわけ注目度の高いミニノートPCといえば、富士通の“Real Pocket size PC”こと、新型「FMV-BIBLO LOOX U」だろう。
前モデルからAtom Zベースのアーキテクチャを継承しつつ、ジャケットの内ポケットにも入る約495グラムの小型軽量ボディに、マルチタッチ対応の5.6型WXGA(1280×800ドット)ディスプレイ、本体幅ギリギリまで敷き詰めたキーボード、両手持ちで使いやすい場所に配置したポインティングデバイスを備え、デザインも360度こだわるなど、見どころ満載の1台だ。
PC USERでは既に試作機でその変更点をチェックしたが、今回は製品版同様の店頭モデルと直販モデルを入手できたので、試作機でテストできなかったパフォーマンスや静音性、放熱性といった部分も含め、総合的な実力に迫っていきたい。
テストに使用したのは、Atom Z 520(1.33GHz)と30GバイトSSDを搭載した店頭販売向けカタログモデル「U/G90」、Atom Z 550(2.0GHz)と62GバイトSSDを備えた直販専用カスタムメイドモデル「U/G90N」の2台だ。カスタムメイドモデルは富士通の直販サイト「WEB MART」から購入でき、CPUグレード、SSD容量、OSなどを選べるが、今回はカタログモデルとの差を見たいので、ハイエンドの構成とした。
ボディカラーはU/G90がルビーレッド、U/G90NがBAPE CAMO BLACKだ。BAPE CAMO BLACKは、若年層を中心に人気があるブランド「A BATHING APE」とのコラボレーションモデル専用カラーとなっており、2010年2月28日までの期間限定で販売中だ。そのほかの仕様は2台とも変わらない。
今回テストした「FMV-BIBLO LOOX U」の仕様 | |||
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製品名 | U/G90 | U/G90N | |
販路 | カタログモデル | カスタムメイドモデル | |
ボディカラー | ルビーレッド | BAPE CAMO BLACK | |
OS | 32ビット版Windows 7 Home Premium | ||
CPU | Atom Z520(1.33GHz) | Atom Z550(2.0GHz) | |
メインメモリ | 2Gバイトオンボード(PC2-4200) | ||
チップセット | Intel System Controller Hub(SCH) US15W | ||
液晶ディスプレイ | 5.6型ワイド(1280×800ドット) | ||
データストレージ | 30Gバイト | 62Gバイト | |
WiMAX | IEEE802.16e-2005(最大受信13Mbps/送信3Mbps) | ||
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n(最大受信300Mbps/送信速度150Mbps) | ||
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR準拠 | ||
バッテリー | 内蔵バッテリパック(7.2ボルト 1800mAh)/約4時間駆動 | ||
保証サービス | 1年間保証 | 3年間保証 | |
本体サイズ | 204(幅)×106.5(奥行き)×23.8(高さ)ミリ | ||
重量(公称値) | 約495グラム | ||
重量(実測値) | 約485グラム | 約484グラム | |
販売価格 | 実売10万円前後 | 13万4800円 | |
まずは、パフォーマンステストの結果から見ていこう。Windows 7標準のシステム評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスと、総合ベンチマークテストのPCMark05およびCrystalMark 2004R3(ひよひよ氏作)の各スコアを下に示した。なお、各テストはACアダプタを接続した状態で実施している。
CPUやグラフィックスのスコアは、Atom ZとIntel SCH US15Wを採用したシステムとして標準的な結果となっており、CPUクロックの差によるスコアの優劣も予想通りだ。2台ともシステム全体の性能バランスは、SSDが突出しているため、HDDのスコアが最も良好な結果となった。
総合ベンチマークテストで良好な成績だったSSDの性能を詳しくチェックするため、PCMark05のHDD関連テストとCrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)も実行した。2台が内蔵するSerial ATA SSDは同じシリーズの容量が違うモデルなので、パフォーマンスに差はほとんどない。SSD自体のスペックはいずれもリード速度が180Mバイト/秒、ライト速度が70Mバイト/秒となっている。
テスト結果を見ると、チップセット接続時におけるUltra ATA変換のボトルネックにより、Serial ATA SSDのパフォーマンスが最大限発揮できていないことが分かる。しかし、スコアが落ち込みがちなランダムライトの性能も安定しており、ミニノートPCのデータストレージとしては十分高速といえる。
LOOX Uの用途とは少し外れるが、3Dグラフィックス性能を評価するテストの3DMark05とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も実行した。LOOX Uのグラフィックス機能はほかのAtom Z搭載機と同様、Intel SCH US15Wチップセットに統合されたグラフィックスコアのIntel GMA 500を採用するため、低いスコアにとどまっている。
システム全体のパフォーマンスが分かったところで、次のページでは実際にWindows 7の起動や終了にかかる時間を測定する。
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