レビュー
» 2010年02月12日 15時00分 公開

開発チームに誕生秘話を聞く:「LOOX U」は、なぜスーツのポケットに入るのか? (2/4)

[前橋豪,ITmedia]

あえてカタチから入った理由

―― 新モデルは外装も大きく変わっていますね。底面も含めて、ここまで見栄えに配慮したLOOXは初めてじゃないでしょうか?

益山 サイズと重量だけでなく、見た目も高級な手帳といったところを狙った結果ですね。手帳の表紙と裏表紙のように、PCの天面と底面が同じようにキレイに見えるデザインを心がけました。FMV-BIBLOシリーズのノートPCは通常、底面に耐熱フェルトを貼り付けてありますが、今回は底面から余計なものを省き、スッキリした外観にできました。

 最初のビジュアルイメージは、アンティークの書物やクロームのトリムを回したレザーの小物などでしたが、これらも実際のデザインに生かされています。

 閉じた状態でボディを横から見ると、書籍のページが丸くえぐれているのと同じように、液晶ディスプレイとキーボードの接触面はネガティブなアールを描いています。このデザインにより、液晶ディスプレイを開く場合に指がかかりやすくしました。

 また、ディスプレイ側と本体側の両方にクロームのトリムを回し、レザーの小物っぽい雰囲気も出しています。このトリムを2本入れるのは結構大変で、設計の担当者にがんばってもらった部分です。

フラットな天面は、ロゴを小さく入れたシンプルなデザインだ
底面にも余計なシールや突起などは一切なく、スッキリと仕上がっている
側面は液晶ディスプレイとキーボードの接触面がえぐれたデザインになっている

―― ボディ全体が光沢仕上げというのも非常に目立つデザインですね。

益山 従来のLOOX Uは、どちらかというとビジネス寄りのセカンドPCであり、プロフェッショナルなツールといった感覚のデザインでした。今回はより幅広いお客様に使ってもらうことを念頭に置き、カジュアルでコンシューマーに向いたデザインへと方向転換しています。

 特に天面と底面にはUVコートを施すことで、耐摩耗性を高めつつ、エレガントな光沢感を出しています。同時にキーボードや液晶ディスプレイの周囲も光沢仕上げとし、開けたときの印象や、プレミア感にもこだわりました。

 価格が店頭モデルで10万円近辺とNetbookより高価なので、高級でスマートに見えるような渋いカラーを3色選んでいるのも特徴です。

 「モカブラック」は単なるブラックではなく、少しブラウンが入っていたり、「ルビーレッド」はキャンディコートと呼ぶ3重コートをかけていたりします。また、「ヴィンテージゴールド」は通常より大きなラメを入れて、光が反射するとフワッと色が浮き出てくるようにするなど、少しずつ作り込んだカラーを採用しました。

―― カラーバリエーションといえば、「A BATHING APE」とのコラボモデルには意表を突かれました。これはどういった経緯で生まれたのでしょうか?

益山 デザイナーとしては、いつもは組めないようなところとコラボレーションしたいという思いはありました。確かに、富士通製PCとAPEのターゲットは大きく違いますし、イメージも結びつかないと思います。

 ただ、今回のモデルはものすごく小さく、軽く、見た目にもプレミア感がある製品に仕上がったので、あえてチャレンジしています。幸いなことに、販売推進部門がアクティブに動いてくれたので、新たなユーザー層が見込めて、誰も思いつかないようなブランドを探してもらいました。

 先方に新しいLOOX Uを持っていったところ、興味を持っていただき、このカタチのPCならコラボモデルも展開できるとのことでした。おそらく、前のLOOX Uを同じように持っていっても、コラボモデルは実現できなかったでしょう。

店頭モデルの3色(モカブラック、ヴィンテージゴールド、ルビーレッド)と、A BATHING APEとのコラボモデルが採用する限定カラー(GREEN CAMO、BLACK CAMO)。APEモデルは直販サイトのWEB MARTで購入でき、2010年2月28日までの期間限定で販売される

―― デザインの話を聞くと、スーツを着たビジネスマンだけでなく、女性や若者もターゲットとしているようですが、コアなユーザー層はどういった人を想定しているのでしょうか?

小中 従来のLOOX Uと同様に、ユーザー層は30〜40代の男性が中心になるでしょう。ですが、今回のLOOX Uであれば、女性やより若い層も取り込んでいけると思います。

益山 実際、ルビーレッドとヴィンテージゴールドは女性層を狙ったカラーバリエーションです。特にヴィンテージゴールドは完全に女性向けのカラーといえます。モカブラウンはどちらかというと、男性向けです。

飯島 今回は店頭モデルの3色に加えて、APEモデルを展開することで、30代未満のもう少し若い層もカバーできると思っています。ちなみにAPEモデルでは、通常より天面の仕上げに手間が少しかかっています。曲面まで印刷が入っているのがポイントで、迷彩柄をインクジェット印刷した上に、クリアコートをのせることで、光沢感を出しています。

益山 LOOX Uを選んでもらえたなら、本当にジャケットの内ポケットやカバンに入れて持ち歩いて、プレゼンではスッと出してスマートに使ってほしいですね。使っている人の知性が5ポイントくらい上がって見えるようにデザインしたつもりです。ぜひLOOX Uで「俺はイケてるビジネスマンだ!」とアピールしてください。

液晶の視認性と入力環境も強化

―― 液晶ディスプレイのスペックは従来機と同じですが、視野角が広く、視認性が向上しているように思えます。

小中 使っている液晶パネルは同じものですが、液晶パネルとタッチパネル用のガラスをボンディングしたことで、バックライトの光がガラスに乱反射して視認性が低下するのを抑えることができました。これにより、特に視野角が広くなり、どの角度から画面を見ても、表示が白っぽくなりにくくなりました。

小林 新しいLOOX Uだけを使っていると分からないと思いますが、蛍光灯下で新旧モデルを並べて見比べると、視認性の向上が確認できます。ぜひ手に取って、Windows タッチも使える快適なフルブラウジングをこの液晶ディスプレイで楽しんでほしいですね。

―― 1280×800ドット表示の5.6型ワイド液晶ディスプレイは非常に高精細ですが、ドットピッチが通常よりかなり狭くなります。画面サイズの大型化は検討しましたか?

小林 確かに、開発中は画面の大型化も検討しましたが、実は画面サイズを大きくするための余分なスペースはありません。液晶ディスプレイの左右にはタッチセンサー式のワンタッチボタンがあり、右上にはWebカメラ、さらに外側には無線LANとWiMAXのアンテナが詰め込まれています。

小中 超小型のモバイルPCとしては、ワイヤレス通信のアンテナ部をかなり大きくしています。モバイルPCを名乗るからには、アンテナも含めてトータルの性能が大事なので、この部分にはこだわりました。

内部構造を把握するためのスケルトンモデル。液晶ディスプレイのフレーム部に大きめのアンテナが配置されているのが分かる

75キーで構成されるキーボードは日本語配列だが、かな刻印が省かれている。キーピッチは約16ミリ、キーストロークは約1.2ミリだ

―― その一方で、キーボードは大型化され、従来モデルより入力しやすくなりました。使い勝手で工夫した点があれば、教えてください。

益山 キーボードを大型化したことで、レイアウトもキーピッチも改善しました。キー数は68キーから75キーに増やし、主要キーのキーピッチは約14.7ミリから約16ミリに広げています。

小林 モバイルPCのキーボードはボディサイズの影響を大きく受けるので、まだ使い勝手を突き詰められていないところもありますが、キーピッチが広がったぶん、入力しやすくなったと思います。キーの端に段差を付けたチョコレート型キートップによって、キーの端を押した場合に隣接するキーを間違って押しにくい構造にしているのも特徴です。

飯島 LOOX Uはお客様が立った状態で使うことも想定しています。そのため、両手で握って操作するときも入力しやすいキーボードサイズ、使いやすいようなキーレイアウトにしています。使い勝手については、キーボードの下の板金を0.3ミリ程度から0.5ミリに厚くして、タッチを改善しました。キーストロークは約1.2ミリと浅くなっていますが、使い心地はよくなっているはずです。

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