キーボードは主要キーのキーピッチが実測で縦15.5×横14ミリ、最上段のファンクションキーなどのピッチは同じく実測で縦12.5×横11.5ミリと、10型クラスの液晶ディスプレイを搭載したNetbookに比べると少し小さい。
ただし、キーレイアウトについては半角/全角キーが最上段にある程度で、操作性を阻害するような配列のクセは見られない。個人差は多少あるだろうが、慣れればタッチタイプは可能なレベルといえる。
キーのスイッチはやや反発が強めで、カチャカチャと音が鳴るのは少し気になるが、キートップには軽くくぼみが付いていて指が置きやすく、ユニットの固定もしっかりしており、タッチ感はおおむね良好だ。
2ボタン式のタッチパッドは少しホームポジションからずれたボディ中央に配置されている。左右のクリックボタンは一体成型されており、カチカチと少し軽い音がするが、スイッチの位置が少し高めに配置されているためか使用感はよい。
タッチパッドにはシナプティクスのドライバが導入されており、2本指での縦横スクロールや、ページ/画像送りに使える「3本指ではじく」などのマルチタッチジェスチャー機能が利用できる。


2本指での縦横スクロールや2本指の開閉でズームを行う「つまみズーム」、1本の指を軸にしてもう1本の指で弧を描くようになぞることで画像などを回転させる「回転」、ページ送りや画像送りに使える「3本指ではじく」といった機能が標準で有効となっている。ユーティリティで設定することにより、タッチパッドのコーナーのタッピングや3本指のタッピングにアプリケーションの起動を割り当てる機能なども利用できるベンチマークテストの結果は下記に掲載している。Atom Z520とUS15WというミニノートPCでおなじみの基本システムのため、SSDの性能がカギとなるが、WindowsエクスペリエンスやPCMark05のHDDスコアを見ると、5400rpmの2.5インチHDDとほぼ同レベルかわずかに下といったところだ。評価機に搭載しているSSDがサンディスクの「pSSD-P2」なので妥当なスコアだろう。
このSSDは廉価版ながら不揮発性メモリのキャッシュを搭載していることでレスポンスの低下を防ぐ構造になっているのが特徴だが、CrystalDiskMark 2.2(ひよひよ氏作)の結果にもそれは現れている。ランダムライト4Kバイトは廉価版としては高速なほうだが、ほかのライト性能やシーケンシャルリードはHDDより遅い。全体的にも特にパフォーマンス面でSSDの高速性は感じられず、ごく普通のAtom Z520システムのスコアだ。
実際の使用感としては、Webアクセスなどがワンテンポ遅い印象はあるが、少し慣れれば特にストレスというほどではない。ただ、アプリケーションのインストール時などは待たされる印象が大きい。
バッテリーの駆動時間はBBench 1.01(海人氏作)でテストした。ASUS独自の省電力技術であるSuper Hybrid Engineは無効にして、電源プランはOS標準の「バランス」、液晶ディスプレイの輝度は40%で測定している。20秒間隔でキーストローク、120秒間隔でWeb巡回を行う設定でテストしたところ、駆動時間は4時間32分でバッテリー残量が6%だった。モバイルPCとして実用的な駆動時間といえる。
発熱や静音性は優秀だ。ボディの温度については、動画観賞などで長時間利用し続けていても表面が高熱を帯びることはなく、底面中央付近がじんわりと温まる程度だった。室温20度の環境でPCMark05を実行した直後のボディ表面温度は、キーボード左が32度、キーボード右が31度、パームレスト左が30度、パームレスト右が28度、底面左が38度、底面右が35度と放熱性が高い(いずれも各部の最高温度)。
静音性に関してはファンレス設計かつSSDを搭載したモデルなので、低負荷時、高負荷時ともほぼ無音だった。テスト時の室温が20度と低いことを割り引いても、優秀な熱設計といえる。
Eee PC T91MTの価格は5万9800円、店頭での実売価格は5万円台半ばから後半となっている(2010年2月26日現在)。Netbook系のAtom Z520搭載機にしては割高に思えるかもしれないが、小型軽量ノートPCとして十分な実用性を持っていることに加えて、マルチタッチ機能やワンセグチューナーなどを装備しており、バッテリー駆動時間や放熱性、静音性も問題がない。
非力なハードウェアに少々機能を盛り込みすぎている印象はあるが、パフォーマンス面を割り切れるのであれば問題はなく、モバイルマシンでWindows 7のタッチ操作を楽しみたいユーザーにとって、買い得感は高いといえる。
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