“よく似た周辺機器”が、なぜ出てくるの牧ノブユキの「ワークアラウンド」(2/2 ページ)

» 2010年05月25日 10時30分 公開
[牧ノブユキ,ITmedia]
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流通ルートを拡大するために策をろうする海外ベンダー

 ここで紹介した例では、X社とA社は最初に独占契約を交わすが、海外ベンダーのX社にすれば、日本における販売数を増やして単価を引き下げれば自社の利益がアップするわけで、表面では最初の独占契約を守りつつも、水面下では契約違反ギリギリの動きをすることも少なくない。中には信じられない方法で流通ルートを広げようと画策することもある。

 例えば、X社はA社と独占契約を結んでいる以上、B社をはじめとするほかの国内メーカーから製品を流通させることができない。そこで、表向きは別会社である海外メーカーのY社に製品を買い取らせ、別の商社を介して国内のバルク市場に製品を流したりする。見た目はノーブランド品だが中身はまったく同じ製品だ。極端な例では、A社が行う品質検査でハネられてX社に返品された製品が、ノーブランド品に姿を変えて流通する場合“も”ある。

したたかなX社は、Y社を迂回して日本のバルク商社に同じ製品を出荷して日本で流通させる

 A社からすると、「同じ製品が日本で出回ってるじゃないか! ふざけるな! 出荷をやめさせろ!」ということになるが、「いやいや、あれは別の国に向けて卸した製品がなぜか日本に入ってしまったんですよ」とか、「実はY社が製造したのをウチが買っているので口を挟めないんです」とか、もっとひどい場合になると「Y社の製品自体がコピーなのでどうしようもないです。訴えてもいいですけどお金かかりますね」とか、いろいろと言い訳を繰り出してくる。

 特に、海外ベンダーX社とA社の付き合いが始まったばかりでほかの製品の取引がない場合に、このようなトラブルが発生しやすい。とはいえ、付き合いが長く、すでに同じことをやって取引停止になった“間柄”でも、窓口の担当者が変わると似たやり取りが繰り返される場合もある。両社でもめているうちに別の製品の商談が出てきてうやむやになってしまうことも少なくない。

 もっとも、A社がしたたかであれば、これを交渉材料に原価を下げさせる場合もある。あるPC周辺機器メーカーの企画担当氏は、自分で企画して海外ベンダーに作らせた製品の「パクリ品」がその海外ベンダーによって作られたトラブルで、その模倣品をオリジナルの後継として仕入れ、その分、価格を下げさせるというウルトラCに出た。製品の違法コピーを交渉材料にして、もとの製品よりも高い利益率を確保したのだ。海外ベンダーと渡り合うには、そのくらいのしたたかさが必要ということだろう。

オリジナルボディで海賊版を防止、したつもりが裏ワザで反撃

 今回紹介したような、海外ベンダーの違法コピー行為に対する抑止力として有効なのが、ボディをA社向けオリジナルに変更するという方法だ(ボディ部材の供給はA社がX社に対して行う)。もし、こうした製品がバルクで流通すれば、製造を担当したX社もさすがに反論できない。自社開発のオリジナルボディを採用していれば、独占契約の変更で、B社に製品が卸されるようになっても差別化はできるし、X社が用意していたボディが日本人の感性に合わないダサいデザインでも、問題ない。

 ただ、こうしてA社にボディデザイン料と金型代を負担させた製品を、A社の目の届かない別の国に売る、という大胆な海外ベンダーがいるのも事実だ。最近はネットで検索すれば別の国で販売されている製品をチェックするのは容易だし、X社の競合であるメーカーがこれらを発見してA社に密告することもできるので、この種の海賊版は(水面下でどうかは知らないが)少なくなっている。

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