ここからは定番ベンチマークテストの結果を見てみよう。Windows 7標準のWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアは右に示した通りだ。標準状態で測定したものだが、スコアからすると、Intel HD Graphicsが使われていると思われる。
そのほかのテストは、NVIDIAコントロールパネルでそれぞれプログラムごとにIntel HD GraphicsとGeForce 310Mを指定し、2通りを実行してみた。ちなみに、各種ベンチマークテストをインストールしただけの状態では、3DMark06のみがGeForce 310Mを利用する設定となっており、ほかはすべてIntel HD Graphicsを利用する設定だった
PCMark05のスコアは、どちらのグラフィックス機能でもほとんど変わらなかった。もっとも、OSが64ビット版のため、PCMark Suitesの総合スコアは得られず、Graphics SuitesもWMV Video Playbackのテストでどうしてもフリーズしてしまうため、グラフィックス機能にあまり関係がない部分のテストしか実行できていない点は付け加えておく。
PCMarkVantageでは、MemoriesとGamingでGeForce 310M利用時のスコアがよい一方、TV and MoviesではIntel HD Graphicsのほうが上回った。そして総合テストのPCMark Suitesでは、GeForce 310Mのほうが約7.5%よいという結果になっている。
3DMark06、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3、STREET FIGHTER IV Benchmarkなど、3Dゲーム系のテストでははっきりとした差がついた。STREET FIGHTER IV Benchmarkにおいては、Intel HD Graphicsでは見た目にもカクカクしてゲームにならないのに対し、GeForce 310Mではたまにカクッと動きがぎこちなくなる程度で、ほぼスムースな動きで楽しめた。このような比較的描画負荷の高いゲームのプレイ時は、Optimusが特に有効だろう。
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。テストした試作機では無線LANがうまく接続できなかったため、有線LANで常時接続し、BBenchの設定をデフォルトの「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」とした。電源プランはデフォルトの「Power4Gear_Entertainment」(バッテリー駆動時のディスプレイ輝度80%)をそのまま利用している。
BBenchの結果は382分(6時間22分)で、バッテリー残量が5%になって休止状態へ移行した。公称値には及ばないまでも優秀なバッテリー駆動時間だ。有線LANでの接続とはいえ、液晶ディスプレイの輝度が80%と高めであることを考えれば、立派といえる。
騒音や発熱の処理も優秀だ。低負荷時の騒音をチェックしてみたところ、静かな部屋では、ファンが発するわずかな風切り音と、たまにHDDのアクセス音が聞こえる程度で、ほかにエアコンや家庭用ゲーム機などが動作しているような環境ではほとんど分からない。高負荷時にはファンの回転音がそれなりに大きくなるものの、ファンの音がはっきり認識できる程度で、うるさいというレベルにはならない。
パームレストのクールさも特筆できるレベルだ。室温が約24度の環境で、PCMark05と3DMark06を続けて実行した後でも、パームレストの表面温度は32〜32.5度と低かった。キーボードは意識して触るとそれなりに熱を感じるが、パームレストほど手との接触面が大きくないためか、実用上ほとんど気にならないと思われる。ただし、底面は左側が40度と少し熱くなったので、夏場はヒザの上などで長時間使わないほうがよいだろう。
U30Jcの価格は9万9800円となっており、グラフィックスの自動切り替え機能をはじめ、スペック面を考慮すると、買い得感がある。
常に携帯するには少し大きくて重いものの、性能、機能、バッテリー駆動時間、入力環境や静音性などを含めた使い勝手は良好だ。エンターテインメント面ではBlu-ray Discドライブを搭載していない点が少し物足りないが、あえて欠点を見つけてもその程度だろう。パフォーマンスと持ち運びのしやすさを両立したノートPCとして、完成度は高い。
ビジネスにもホビーにも対応できるが、特に持ち運べるサイズのPCでもゲームや動画再生を快適に楽しみたいというユーザーにとっては、注目に値する製品だ。
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