これがデルの新しい主力ノートPCだ――「Inspiron 15R」実力診断ヘアラインがたまらない(3/3 ページ)

» 2010年06月23日 11時40分 公開
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テンキー付きのキーボードとマルチタッチ対応タッチパッドを装備

キーボードはテンキー付きだ

 キーボードは最近採用例が増えてきたテンキー搭載タイプだ。主要キーで約19ミリのキーピッチを確保している。キーを強めに押すと、キーボードユニット中央付近が少したわむが、通常は使っていて気になるほどではない。キートップがふらつくことはなく、適度な反発があるので、長文の入力も十分こなせるだろう。押下時の音もかなり静かだ。

 一方、4段配列のテンキーは横方向のキーピッチが約15ミリに狭まっているので、指が太いユーザーなどは少し押しにくいかもしれない。

 全体的なキー配列に無理はないが、最上段のF1〜F12キーは、音量調整/消音、輝度調整、映像や音声の再生、タッチパッドのオン/オフ、ワイヤレス通信のオン/オフ、外部映像出力などのショートカットキーが割り当てられており、F1〜F12キーとして使うにはFnキーと同時押しする必要がある。

 通常のF1〜F12キーとして使うには、BIOSセットアップでキーアサインを入れ替えることが可能だ。F1〜F12キーを利用したショートカット操作を常用しているユーザーは、キーアサインを入れ替えて使うほうがいいだろう。

2ボタン式のタッチパッドを採用

 テンキーを搭載する関係で、キーボードのホームポジションは通常より左寄りになるが、タッチパッドはホームポジションより少し右寄りに配置されている。タッチパッドのサイズは90(横)×49(縦)ミリと大きく、サラサラとした手触りで滑りがよい。左右のクリックボタンにはパームレストと同様のヘアライン加工が施されており、デザインによくなじんでいる。左右のクリックボタンは押した際に少しふらつくが、サイズが大きく、ストロークが適度にあり、軽い力で押せるので指に負担がかかりにくい。押下時の音が小さいこともあり、使い勝手は良好だ。

 タッチパッドのドライバは、シナプティクス製(V7.2)を採用。2本指のスライドによる縦横スクロール、2本指の開閉で画像やWebページを拡大/縮小する「つまみズーム」、指で素早くはじいて慣性でカーソルを動かす「モーメンタム」といったジェスチャー操作が可能だ。タッチパッドのサイズが大きめなので、2本指での操作も無理がない。

シナプティクス製(V7.2)のドライバでは、2本指を使ったスクロールや拡大/縮小、モーメンタムといった操作をサポートする

各種ベンチマークテストの結果は?

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 主要なベンチマークテストも実施してみた。Windows 7に用意されたWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアは右に示した通りだ。CPUに内蔵されたグラフィックス機能のIntel HD Graphicsを利用していることから、グラフィックスのサブスコアが4.6と一番低い結果になったが、メモリとプライマリハードディスクは5.9、プロセッサは6.7とエントリークラスを超えるスコアが得られた。

 総合的なパフォーマンスを評価するPCMark Vantage(x64)とPCMark05、グラフィックス性能をチェックする3DMark06とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も試したが、傾向はWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアと変わらない。

 本格的な3Dゲームをプレイするのは難しいが、オフィススイートや画像編集、動画コンテンツの視聴など、さまざまな用途を快適にこなせるパフォーマンスを備えている。デルの場合、ゲーム用途のPCが欲しいならば、専用に作られたAlienwareのラインアップを検討するのがいいだろう。

PCMark Vantage x64(1024×768)のスコア
PCMark05のスコア

3DMark06(1280×768)のスコア
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のスコア

 バッテリー駆動時間のテストはBBench 1.01(海人氏作)を用いた。無線LAN(11g)で常時接続、電源プランは初期設定のままで、BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」「10秒間隔でのキーストローク」としている。

 テスト結果は3時間22分経過したところでバッテリー残量が5%となり、休止状態へ移行した。このテストでは最大約4時間2分という公称値には届かなかったが、家庭内で移動しながら短時間バッテリー駆動する程度ならば、まったく問題はない。

 騒音と発熱も抑えられている。今回は室温25〜26度の部屋で長時間使用したが、アイドル時や低負荷時はファンの回転音がかなり抑えられており、空調の効いた部屋では気にならず、この状態ではボディの発熱もほとんど感じない。

 3DMark06のデモを1時間実施し続けて高い負荷をかけてみたところ、ファンの回転が高速化して風切り音が大きくなり、左側面の排気口から温まった空気が吹き出すが、高周波音などの異音がしないため、耳障りではない。

 高負荷時におけるボディの表面温度はパームレストの左手側が33度、パームレストの右手側が27.2度〜35度、キーボードの左が36.2度、キーボードの右が34.8度、タッチパッドが37.6度まで上昇したが、パームレストに置いた左手がほんのり温かく感じる程度だ。パームレストの右手側はタッチパッド付近が温まりやすいが、キーボード使用時に右手を置く場所はクールで、左手を置く場所のほうが温かく感じる。

 底面の温度を調べてみても、排気口付近のごく一部のみ40.6度と40度をオーバーしたが、左側は37.4度、右側は36.2度におさまっていた。

“洗練”が実感できるデルの新スタンダードノート

 今回Inspiron 15Rを使ってみて感じたのは、世代を重ねることでの洗練だ。ボディデザインをはじめ、基本スペックやインタフェースの構成、ディスプレイの視認性、キーボードとタッチパッドの使い勝手、静音性と放熱性に至るまで、手堅くまとまっている。

 数年前のエントリーノートPCで見られたような「安いから仕方ない」といった妥協をユーザーに強いることがなく、目立った弱点がない。記事中では細かい不満点も挙げたが、8万円以下から購入できることを考えれば、買い得感はかなり高いといえる。

 15型クラスの液晶ディスプレイと光学ドライブを内蔵したノートPCは、最も台数が出る売れ筋モデルだけあって、多数の製品が販売されているが、シンプルで使いやすいCore i搭載ノートPCが欲しいならば、有力な選択肢の1つだろう。

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