PC USER Pro

PC依存からクラウドとモバイルにシフトするために必要なこと:PDC10(3/3 ページ)

» 2010年10月29日 17時56分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

クラウドコンピューティングがMicrosoftを救う日

 最近よく聞くようになった「クラウドコンピューティング」というキーワードだが、ビジネスの現場では非常に重要な意味を持つこの技術は、サーバからクライアントまで大量のマシンを抱える企業にとって、メンテナンスや運用の労力、構築や維持にかかる膨大なコスト、そして、定期的なシステム更新や処理能力増加への対応など、悩ましい問題を一括して解決する可能性を持っている。

 PDC10の基調講演では、米Microsoftサーバ&ツールビジネス部門担当プレジデントのボブ・マグリア氏が1994年に登場したWindows NT 3.1(NT 3.1)を振り返りつつ、MicrosoftとサーバOS、そして、同社のクラウドOSであるWindows Azureの役割について説明した。

 Windows NT(そして、Windows Server)は、PCを中心としたネットワークのトップに存在してそれらを統括する、ある意味で「クライアント/サーバ時代の申し子」ともいえるOSだ。だが、時代は変わり、企業システムはクライアント/サーバという枠組みを超えてインターネットの世界へ拡大している。こうして、外部に拡大した企業のシステムとネットワークは、必要なリソースやサービスを適時インターネットの先にあるサーバの集合体から必要なものだけを引っぱってくるようになり、これが現代のクラウドコンピューティング構想へつながっている。

 マグリア氏は、Windows Azureを「こうした世界にあるデータセンターのリソースを効率的に運用すべく開発されたOS」と表現し、単に特定マシンやサーバの集合体を管理するだけではない点を強調する。

 クラウドコンピューティングにおける最大のメリットの1つは、システム構築や運用から解放され、ユーザーがアプリケーションの開発や利用に集中できる点にある。システム運用を内部で行わなければいけなかった時代は、サーバマシンの選定からセットアップ、システム開発、運用/管理までをすべて自前で行わなければならず、企業にとって重荷だった。だが、クラウドコンピューティングの場合、こうした手間はサービスを提供する企業が担うため、ユーザーはシステム開発やアプリケーションの選定に専念できる。クライアント/サーバの運営で面倒なパッチ処理やアプリケーションのアップグレードも、バックエンドで可能なため、ユーザー側で意識する必要がない点もメリットだ。

 「必要なリソースを必要なときに借りる」というのがクラウドコンピューティングならではの概念だ。会計の月次処理バッチや膨大な科学技術計算のジョブをクラウド側のリソースに託すことで、従来よりも低コストで処理を行える。なぜなら、従来までであれば、最大負荷に対応できる性能をもったシステムを導入しなければならず、それだけにコストが高くついていた。この場合、最大負荷がかかるとき以外はシステムリソースが余った状態となるため、せっかくの高い性能も無駄になる。「必要なときに必要なだけ借りる」というアイデアは、こうした環境でコストを有効に活用できる。

 基調講演では、アニメーション制作会社のPixarが開発したレンダリングエンジン「RenderMan」を使った、バックエンドでの3DレンダリングシステムにWindows Azureのクラウドリソースを活用する事例が紹介されている。

アニメーション映画で有名なPixarが開発したレンダリングソフト「RenderMan」だが、こうしたアニメ映画の制作に必要なレンダリング処理をクラウド側に一括してジョブとして投げることで、巨大なサーバファームを自社内に構築せずとも必要なときに必要なリソースだけを利用できるようになる。これもクラウドコンピューティングのメリットだ

 いまはまだ、WindowsやOfficeの売上規模に追いつかなくても、こうした新しい技術への取り組みはMicrosoftの将来にとって大きな礎となるだろう。そう遠くない未来、オジー氏のいう「ポストPC時代」がやってきたその日、危機に直面した同社の救世主となるのは、Windows Phone 7をはじめとする新デバイスでの成果と、クラウドコンピューティングを想定した新しい技術かもしれない。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月27日 更新
  1. GeForce RTX 5080は30万円超えの空気感――GPU高騰の裏で見つけた7割引の水冷パーツと8万円台の小型PC (2026年09月26日)
  2. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  3. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  4. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  5. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  6. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  7. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  8. “AIスマホ”としての個性がより鮮明に 望遠カメラ刷新&AI処理が飛躍した「Pixel 11 Pro」 の実力とベンチマーク結果を検証 (2026年09月24日)
  9. AnthropicがAIモデル「Claude Opus 5.5」を発表/OpenAIもAIモデル「GPT-6 Sol」「GPT-6 Luna」を投入 (2026年09月27日)
  10. 増えすぎたリモコンを1台に集約できる「SwitchBot 学習リモコン」がセールで14%オフの5990円に (2026年09月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー