3月16日(米国時間)からβ版の提供が開始された「Internet Explorer 9」(以下、IE9)だが(配布サイトはこちら)、同じ日に米国のラスベガスで開催された「MIX10」で、MicrosoftはこのIE9の特徴を「パフォーマンス」と「標準への準拠」という面で訴求している。この記事では、MIX10で行われたパフォーマンスデモを紹介しながら、IE9の概要や特徴、そして標準対応など、IE9にまつわる数々の疑問をチェックしていく。
パフォーマンスの指標として最近注目されているのが、WebKitが配布する「SunSpider」ベンチマークテストだ。JavaScriptの実行速度を測定するこのテストでは、Operaシリーズ、Google Chromeシリーズ、Safariシリーズという高速性を特徴とするWebブラウザがトップ3を占め、それをMozilla Firefoxシリーズが追いかけている。ある意味、IEシリーズはスピード競争から置いていかれているのが現状だ。IEシリーズは、標準準拠の指標となるベンチマークテストとして用いられる「Acid3」のスコアでも最も低い結果を出している。
このように、IEシリーズは、スピードと標準準拠の両面で、競合するWebブラウザに大きく水を空けられている状態だ。この現状を打破するのが開発中のIE9に課せられた役割になる。
米MicrosoftでIEチームを率いるゼネラルマネージャのディーン・ハチャモビッチ氏は、MIX10の2日目に行われたキーノートスピーチで、最近注目されている次世代HTML標準の「HTML5」への準拠を見据えたうえで、パフォーマンス面でIE9をどのように強化していくか、そして現状の達成度について報告した。
HTML5時代を意識したIE9でセールスポイントの1つとなるのが「GPU-Powered HTML5」と呼ばれるハードウェアアクセラレーションを使ったレンダリングの高速化だ。実行には最新バージョンのDirectXが必須となるが、レンダリング処理をDirectXを介してそのままGPUに投げるため、強力なGPUを持つユーザーほど高速描画の恩恵を受けることができる。またマルチコアCPUを利用している場合、処理を各コアに分散して実行可能なため、例えば、HTML5の<VIDEO>タグを利用したHD動画再生などでもコマ落ちすることなく、スムーズにできるようになる。
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