“光”がもたらすハイエンドモバイル革命――新型「VAIO Z」を徹底攻略する(前編)このノートPCは事件だ(5/6 ページ)

» 2011年07月07日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

光でつながるドッキングステーション「Power Media Dock」

新型VAIO Zを象徴する新デバイス、Power Media Dock。光学ドライブの違う2モデルを用意する

 新型VAIO Z専用ドッキングステーションのPower Media Dockには、光学ドライブとしてDVDスーパーマルチドライブを内蔵するモデルと、Blu-ray Discドライブを内蔵するモデルの2種類が用意されている。

 標準仕様モデルにはDVDスーパーマルチドライブ内蔵のドックが付属し、VAIOオーナーメードモデルでは両者から選ぶことができるほか、ドックなしの構成が選択可能だ。前述したように、別売されるドックのカラーはブラックのみなので、本体カラーと同色のドックを利用したければ、本体と同時購入する必要がある。

 ドックのサイズは148(幅)×220(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量は約0.685キロだ。ボディはノートPC本体のヘキサシェルデザインを思わせる六角形で、背面にアルミニウムのパーツをはめ込むなど、PC本体の意匠を積極的に採り入れている。縦置き用スタンドの受け口は、しっかりとホールドしながらも、多少の衝撃を吸収できるようにクッションがある構造になっており、神経質に取り扱う必要がないのはありがたい。

 このドックには、スロットインタイプの光学ドライブのほか、GPUのAMD Radeon HD 6650Mとグラフィックスメモリ1Gバイト、映像出力(HDMI/アナログRGB)、USB 3.0、USB 2.0×2、有線LAN(1000BASE-T)といったインタフェースも備えている。

前面には縦置きでも横置きでも使いやすいよう、スロットインタイプの光学ドライブを備える(写真=左)。背面にはUSB 2.0、USB 3.0、有線LAN、HDMI出力、アナログRGB出力といった端子が並ぶ(写真=中央)。PC本体と接続するケーブルはじか付けだ。縦置きの状態で天面にも1基のUSB 2.0があり、アクセスしやすい(写真=右)

ボディの奥行きは220ミリで、ノートPC本体の210ミリより長い。余計な装飾がないシンプルなデザインはノートPC本体と同じで、側面に吸気口と排気口が用意されている(写真=左/中央)。サイドカバーを開けると、GPUとグラフィックスメモリを冷却するファンが現れる(写真=右)

 グラフィックス機能については、ノートPC本体をドックに接続すると、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000からドックに内蔵したGPUのAMD Radeon HD 6650Mへ、自動的に切り替わる。従来機種のように、グラフィックスの切り替え時は一瞬画面が消えるが、すぐに表示が切り替わるので、待たされる印象はない。

 ドックが備えるHDMI出力とアナログRGB出力を使って外部ディスプレイに接続する場合、PC本体に内蔵した液晶ディスプレイに加えて、PC内蔵の映像出力(HDMIもしくはアナログRGB)も合わせて、合計で最大4画面の表示に対応できるのは目新しい。

GPUと2系統の映像出力端子を備えたドックによって、ノートPC本体内蔵の液晶も含めて、合計4画面までのマルチディスプレイ環境を構築できる。これらの設定画面は、Fn+F7キーの同時押しで表示することが可能だ。ちなみに、ドック接続時にCPU内蔵グラフィックスを使いたい場合、設定画面の「グラフィックスモード」で「外部出力モード」を選択して「適用」すると、外部ディスプレイが接続されていない状態でもCPU内蔵グラフィックスからPC内蔵ディスプレイに出力できる。「本体ディスプレイモード」に変更すると、外部GPUによる描画に切り替わる仕組みだ

ドックのコネクタはDCコネクタとUSB 3.0ポートを一体化した形状になっているが、実際にはUSB 3.0は利用されず、USBコネクタの中に仕込まれた光接続用のフォトダイオードで通信を行なう

 ドックとノートPC本体とは、インテルの「Light Peak」(開発コード名)をベースにした光伝送技術で接続されるという先進的な仕様だ。Light Peakは上りと下りでそれぞれ10Gbpsの高速な帯域を確保し、複数のプロトコルをまとめて取り扱えることが特徴の伝送技術で、ディスプレイ出力やPCI Express、有線LANなどの信号を1本(双方向では2本)の光ファイバーで送信できる。

 ドックのコネクタは、電源のDCコネクタとUSB 3.0ポートを一体化した形状になっているが、実際にはUSB 3.0は利用せず、USBコネクタの中に仕込まれた光接続用のフォトダイオードで通信を行なう。また、Power Media Dock用に本体とは別途ACアダプタ(120ワット)が付属しており、Power Media Dock利用時には電源もドック側から供給されるようになる。

 ちなみに、先だってアップルが同じくLight Peakベースの技術を「Thunderbolt」という名前の汎用インタフェースとして、インテルとともに規格化したが、現状のThunderboltは銅配線が前提であり、ベースとなる技術こそ同じだが、新型VAIO Zのドッグ接続とは別物だ。

 Power Media Dockは本体の電源がオンのままで着脱可能だが、外すときはGPUを利用しているアプリケーションを終了し、ドック接続プラグの上に配置された取り外しボタンを押して、青色LEDの表示が消えたのを確認してから、取り外す必要がある。こう書くと面倒なようだが、取り外しボタンも確認用LEDもプラグのよく見えるところにあるため、操作としては実に自然で、すぐになじめるだろう。

Power Media Dockは本体の電源がオンのまま着脱が可能。装着すると、取り外す場合の注意事項が表示される(画像=左)。ドックが提供する機能/インタフェース、すべての信号は細い光ファイバー1本(片方向、双方向で2本)で伝送され、取り外す際はプラグのボタンを押して接続を解除する(写真=右)。電源が含まれているにもかかわらず、細くて取り回しやすいスマートなケーブル1本で接続できるのは、Light Peakの採用あってこそといえる


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