レビュー
» 2011年10月13日 10時56分 公開

発売直前レビュー:「iPhone 4S」は進化した“意志の自転車” (2/3)

[林信行,ITmedia]

パソコンやiPadがあれば、さらに快適なiPhone 4S

 それでは、あなたが普段からパソコンを使う人だったらどうだろうか。その場合はこの自転車が“ギア付きの自転車”に早変わりする。

 例えば、仕事関係のメールが送られてきて、どうしても詳細なリポートを作って送り返さなければならないとしよう。もちろん、Webで情報を調べ、それをPagesやNumbersやKeynoteでまとめ、相手にメールするといったことはiPhone単体でも可能だ。

 しかし、iPhoneの3.5インチの画面と親指への負荷が大きいフリック入力では、リポートを作成するのはなかなか大変な作業になる。こんな時は、とりあえずMailで大事なメールという意味でフラグをつけておく。

 そして家に帰ってから、画面が大きく、Webブラウザ/書類作成ソフト/電子メールといった複数のアプリケーションの複数のウィンドウを同時に開いて簡単に切り替えられ、10本の指を使って入力できる物理的なキーボードを備えたMacで、リポートをまとめ返信すればいい。

大事なメールはiPhoneのMailでフラグをつけておき、後から画面が大きなiPadやMacで閲覧する、といったことが簡単にできる

 iPhoneでやっていた作業の続きをパソコンでやる。あるいは、パソコンでやっていた作業の続きをiPhoneでやる。最近ではインターネット上にデータを置くクラウドサービスの利用が広がってきていることもあり、こうしたことが簡単に実現できる。

 特に、iPhone 4Sから標準で搭載されているアップルのクラウドサービス「iCloud」を使えば、ユーザーがいちいちアップロードや登録、投稿ボタンのクリックといった操作をしなくても、iPhoneでしるしを付けたメールや、iPhoneで撮った写真などの情報が、そのままそっくりMacでも再現されるので、この“意志の自転車”のギアチェンジが非常に楽に行える。

iPhoneでチェックしていたプレゼン資料(画面=左)を、時間があるときにより大きな画面のiPadで編集しておく(写真=右)

すると自動的にiOS機器どうしでデータが同期される。移動中はiPhoneで資料をチェックし、リポートをまとめるときはMacやiPadを利用する、といった使い分けがiCloudを通して自然にできる

 Mac側で調査した内容を、クラウド対応のアプリケーション、例えばMailの下書きなどに保存して一段落したら、ソファにゴロっと寝転がりながら、iPadでそれを読み返すこともできる。この時もやはり、Macの側で何も特別な操作をする必要はない。ただ普通に書きかけのメールを下書きフォルダに保存すれば、それがすぐにiPadでも同じフォルダを開いて読めるようになる。

 iPad上のKeynoteにリポートをまとめ、そこに前日にiPhoneで撮った写真を加えようと思ったら、iPhoneの側で一切操作をしなくても、すでに目当ての写真はiPadのフォトストリームに入っており、簡単に取り出しが可能だ。

iPhoneで撮影した写真も自動的にiPadのフォトストリームに格納されている。iCloudによって、どこにどのデータがあるのかを意識しなくてすむようになる

 ずっとパソコン画面に張り付いて、同じテンション、同じ姿勢で作業をするのは決して効率的とはいえない。作業の段階にあわせて緩急をつけ、それほど集中を必要としないときは、よりリラックスできるiPadなどのデバイスを、よりリラックスできる場所で使って作業し、移動中などはiPhoneですましてしまう。どのデバイスでも、どこにいても、写真を撮ったり、加工したり、メールを読んだり、書いたり、リポートを作成したり、データを入力したりといったことが行える。

 そして、それらデータを自分が所有するほかのデバイスで使えるようにするために、ユーザーは一切の汗を流す必要がない。これこそがいかにもアップルらしい、初心者でもすぐに使いこなせる自分専用クラウドサービス、iCloudの真骨頂といえる。

 残念ながら、本稿執筆時点ではMac版のKeynote、Pages、NumbersがiCloudに対応していないため、Mac連携の部分はこれからの課題となりそうだが、iPhoneとiPadの間だけでも、デバイスを切り替えながらKeynoteのスライド作りなどをしてみると、なんとも快適で楽しい。

 実はこのiCloudの快適さこそが、それまでパソコンすらも持っていなかった人に、まずはMacを買わせ、次にiPadも買わせ、さらにはApple TVまで買わせてしまおうという、アップルの究極の囲い込み戦略のような気すらしてくる。

AirPlayミラーリングが夢のプレゼンテーションを可能にする

 ちなみにiPhone 4Sは、iPad 2同様に、画面のミラーリング(画面に映っている内容をそっくりそのまま映し出す。音も出る)にも対応している。Apple VGAアダプタを使ってiPhone 4Sをプロジェクターに接続したところ、無事にホーム画面を含むすべての画面がそのまま投影できた。

 さらに、つい先ほどリリースされたApple TVのアップデートによって、AirPlay機能を使ったワイヤレスでのミラーリング表示も可能になっている。

AirPlayによる無線LAN経由でのミラーリングも試してみた。iOS 5とApple TVで“プレゼンテーション革命”が起きる?

 最近ではiPhoneをリモコン替わりにして、MacやiPadのスライドをめくるプレゼンターも増えてきた。だが、iPhone 4Sなら、MacやiPadすら持ち歩かず、iPhone単体でプレゼンができてしまう。

 しかも、もし今後イベント会場などであらかじめApple TVを接続したプロジェクターを用意する会場が増えてきたら、一切ケーブルをつなぐことなく、ワイヤレスで画面を投影できるようになる。これはプレゼンテーションの革命になるのではなかろうか(イベント会場にはぜひ、講演者専用無線LANとApple TVの導入をお願いしたい)。

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