・前回記事→最強の座、揺るぎなしか:「VAIO Z」の最新ハイエンド構成をテストする
ソニーの最上位モバイルノートPC「VAIO Z」は、ソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルで「Xi」(クロッシィ)に対応した無線WANモジュールを選択できる。
Xiとは、NTTドコモが展開する新しいデータ通信サービスのブランドだ。LTE(Long Term Evolution)の採用による受信時最大75Mbps、送信時最大25Mbpsという高速な通信速度と、従来のFOMAハイスピード(受信時最大14Mbps/送信時最大5.7Mbps)およびFOMA(送受信時384Kbps)との下位互換性を備えているのが特徴だ。
新しく導入される通信技術とその対応サービスにとっては、エリアの狭さがまず大きな課題となるものだが、XiはFOMAの上位互換とすることで、その課題をクリアしている。
もっとも、最大速度の75Mbps/25Mbpsというのは、限られた施設の屋内のみとされ、屋外エリアでは受信時最大37Mbps、送信時最大12.5Mbpsの速度が公称値となっている点には注意したい。それでも、WiMAXが受信時最大40Mbpsであるように、モバイルデータ通信としては高速には違いなく、ほぼどこでもつながる安心感と、高速データ通信を1つのサービス契約で両立できるのは大きなメリットだといえる。
VAIO Z(LTE搭載モデル)におけるXiの接続方法だが、ハードウェアの準備はNTTドコモと契約ずみのSIMを入れるだけだ。VAIO ZのSIM挿入口は本体底面の液晶ディスプレイヒンジ部にある。細長い針金などを差すとトレイを引き抜けるので、トレイの上にSIMを乗せて押し込めば装着完了だ。
VAIO Zでの通信方法は、まずタスクバーに常駐している「VAIO Smart Network」で「無線WAN」を有効にする。無線LANを含めて各種通信機能のオン/オフはこのVAIO Smart Networkから一括して行えるので便利だ。次に接続ソフトの「AirCard Watcher」というアプリケーションがタスクバーに常駐しているので、そこから「接続」ボタンを押せば、インターネットに接続される。
筆者の自宅は東京都杉並区にあるが、Xiのエリア内ギリギリといったところで、タイミングによって4Gと表示されたり、3Gと表示されたりした。4Gで通信できたときは下り8Mbps前後の数字が出たが、3Gと出るほうが多いという状況だった。
行動範囲内はどうかというと、方南町にある行きつけのファミリーレストランは完全にアウト。エリアマップをなんとなく眺めて、「まぁ、渋谷あたりなら平気だろう」と軽く考え、渋谷区役所の目の前にあるモスバーガーへ行ってみた。渋谷駅からは少し距離があるが、筆者としてはこの辺りの地域が一番居心地がよい。
区役所前で「4G」の表示がスカッと出たので「これはいける」と思ったのだが、実際に中で計測してみると下り約6.3Mbps、上り約5.2Mbpsという結果。公称値の37Mbpsに比べると物足りないが、この場所でのWiMAXの測定値は約6Mbps、上り約4.3Mbpsという結果で、Xiのほうが少し速かった。ちなみに、無線LANでイー・モバイルの「Pocket WiFi」(7.2Mbps)に接続してテストしたところ、下り約1.1Mbps、上り約1.3Mbpsだった。さすがに、XiやWiMAXは高速だ。
特に必要のないストリーミングを流すのも悪いとは思いつつ、動画コンテンツを視聴してみたところ、JRAレーシングビュワーの高画質映像(1.5Mbps)なども途切れることなく見ることができた。
しかし、せっかく渋谷に来たのだから、もう少しくらいXiの接続状況を試してみようと思い、駅に向かう途中のセンター街にあるマクドナルド前や駅前西口バス停などでも軽くテストしてみたが、下り3〜4Mbpsしか出なかった。
薄くて軽いといっても13.1型ワイド液晶を搭載したノートPCである。実際に路上でノートPCを取り出してテストしてみると、計測結果が返ってくるまでの時間がとてつもなく長く感じた……。今の時代、路上でこんなことはノートPCで行うものではない。そのためにスマートフォンというものがあるのだろう、とひしひしと感じた次第だ。
とういうわけで、その日はあきらめたのだが、日を改めて新宿に移動した。
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