最後にW8CPで追加した便利なTipsを紹介しておこう。W8CPでは、W8DPで要望が多かった「スクリーンショットの自動取得」機能を導入した。これまでも「PrtScr」キーを押してスクリーンショットを取得し、ペイントなどのレタッチソフトにデータを貼り付けて保存という操作が可能だったが、W8CPでは、ショートカットを押した時点のスクリーンショットを取得し、そのまま画像ファイルとして自動で保存する機能を用意した。「Windows」+「PrtScr」キーを押した瞬間に画面が一瞬暗くなってシャッター音が鳴り、その瞬間のスクリーンショットを画像保存用フォルダにPNG形式で保存する。なお、画像保存用フォルダはデフォルトで「ピクチャ」となっている。Macなどでは以前からある機能だが(こちらは「Command」+「Shift」+「3」キーの同時押し)、Windowsでもついに搭載されたことになる。
ただし、この機能にはいくつか制限がある。まず、すべての画面のスクリーンショットを取得できるわけではない(この場合、ショートカットキーを押してもシャッター機能が反応しない)。そして、シャッターを押しても取得できない画像があることにも注意したい(システム関連の特殊な処理画像などがこれに当てはまる)。また、従来のWindowsにあった「Alt」+「PrtScr」のようなアクティブウィンドウのみを指定したスクリーンショットも取得できない。「PrtScr」自体が無効化されているようで、このキーを押してもスクリーンショットはクリップボードに貼り付けられない。
なお、「ピクチャ」フォルダに作成するファイル名は「スクリーンショット(番号).png」となる。スクリーンショットを取得するごとに番号が増えていく。
2つ目のTipsは「スタートメニュー」の存在だ。W8CPでデスクトップ画面から「スタートボタン」を廃止したが、その代わり「マウスカーソルを従来のスタートボタンの位置に合わせると、スタート画面のサムネイルを表示する」といった、それに近い機能を用意している。W8CPではそれに加えて、「スタートメニュー」なるものも存在する。この呼び出しは簡単で、スタート画面のサムネイルを表示している状態で、「右クリック」するだけだ。スタートメニューで比較的使用回数が高い機能をメニューとして実装しており、「ファイル名を指定して実行」「コマンドプロンプト」「コントロールパネル」といった機能をワンアクションで起動できる。
もっとも、ここではアプリケーションのショートカットを呼び出すより、「エクスプローラ」などの“よく使うアプリケーション”はタスクバーの部分に「Pin」で登録しておけばいいわけで、あくまで補助的なものだ。ただし、普段は階層の深い位置にあって呼び出すのが面倒な「管理ツール」も一覧に登録してあるため、このような設定関連ユーティリティをよく使うユーザーには適した仕組みだろう。
もともと、W8DPにおけるスタートボタンの存在は「デスクトップ画面からスタート画面へ戻る」機能を実装するためにだけあるもので、かえって操作上の混乱を引き起こす要因だった。これを廃止したのは英断だと考えているが、「Windows 8も従来のWindowsのように使いたい」と考えているユーザーには複雑な思いかもしれない。
以上、W8DPからW8CPへの移行で変更したUIに着目して紹介した。W8DPで不完全と評価されていた各種機能もほぼ実装されつつあり、Windows Storeのほか、メールやカレンダーといった基本的なアプリもW8CPでは標準実装している。次回はこれらアプリに着目しつつ、Windows Storeの基本機能をチェックしていく。
このコラムでは、「Building Windows 8 Blog」などで明らかになるWindows 8の最新動向を取り上げていく。今回は“変わるサービス名称に混乱しない方法”だ。
Windows 8で新たにサポートされた機能の中で、最も典型的なのが「Webサービスとの連携」だ。SkyDriveをオンラインで共有だけでなく、ローカルストレージのように扱ったり、「共有(Share)」機能を使って写真やWebページをメールやSNSでほかのユーザーと共有したりと、最近のモバイルデバイスでは当たり前となりつつある機能が、Windows 8ではOSレベルで導入している。W8CPだけを見ても、FacebookやGmailといった外部サービスへの対応を標準で組み込んでいるが、「OSの標準機能はマイクロソフトのサービスで固める」といった雰囲気ではなく、そこに時代の流れを感じたりもする。
ところで、マイクロソフトでは、当時のCTOだったレイ・オッジー氏の指揮で、2005年に「Windows Live」の名称でオンラインサービスの統合と再ブランディングを行っているが、これがWindows 8の世代で、新たな形で再ブランディングすると発表している。詳細はBuilding Windows BlogでのSteven Sinofsky氏の投稿にあるが、「Windows Live〜」「Windows〜」といった言葉をなくして、よりシンプルな名称になっている。例えば「Windows Live Mail」が「Mail app」に、「Windows Live ID」が「Microsoft account」といった具合だ。
名称の変更自体は、ユーザーに影響を与えるものではないが、どこかの説明を見て「あれ? これはなんだっけ?」といったことがないように、記憶に留めておくといいだろう。
Windows 8で変更する主なサービスの名称 | ||||
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サービス | Windows 8 | Windows Phone | Web/HTML5 | 従来の名称 |
アカウント | Microsoft account | Microsoft account | Account.live.com | Windows Live ID/Passport |
ストレージ/文書 | SkyDrive app/SkyDrive Desktop | SkyDrive app/Office app | SkyDrive.com | FolderShare/Live Mesh/Windows Live Mesh |
電子メール | Mail app | Mail app | Hotmail.com | Windows Live Mail/Outlook Express |
カレンダー | Calendar app | Calendar app | Calendar.live.com | Windows Live Mail/Windows Calendar |
連絡先 | People app | People app | People.live.com | Windows Contacts |
メッセージング | Messaging app | Messaging app | HotmailとSkyDriveに包含 | MSN Messenger |
写真/動画 | Photos app/Photo Gallery/Movie Maker | Photos app/Camera Roll | Photos.live.com | Windows Live Photo Gallery/Windows Live Movie Maker |
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