「多くの人は、常に接続していたいというニーズがある」とカン氏が述べるクラウドサービスの利用について、次期 Microsoft Officeは、初期設定状態で、クラウドサービスにデータを保存するようになる。利用するクラウドサービスは、個人向けのエディションでSkyDrive、企業向けのエディションでは、SharePointとなる予定だ。クラウドサービスと連携することで、ドキュメントファイルは常にバックアップされ、保存したデータには、どこからでも最新の状態でアクセスできる。また、クラウドサービスにアクセスできない状態でもオフラインでデータを編集でき、アクセス可能になった時点でクラウドサービスと同期を取るという。
ソーシャルネットワークサービスについてカン氏は、「単なるネットワークアクセスサービスではなく、ユーザーとユーザーを結びつけるサービス」と捉える。そのため、高精細ビデオ会議などのコミュニケーションツールを利用し、同じドキュメントデータを共有した作業が行える機能を導入する。このために、Microsoftが買収したYammerが持つテクノロジーの統合も予定しているという(ただし、具体的な機能については確定していないとして明言を避けた)。
さらに、次期 Microsoft Officeでは、ユーザーの管理機能も強化した。情報流出やコンプライアンス違反を防止するために、すべてのe-mailやドキュメントファイルをキーワードで検索して内容を一元的に把握できる機能を導入する。
内田氏は、次世代 Microsoft Officeが用意するソーシャルネットワークサービスを利用する機能として、まずログインアカウントに関連付けられた設定のローミングを紹介した。次期 Microsoft Officeは、ログインして利用するが、同じIDでログインした設定は、ほかのPCやデバイスでログインしても引き継いで、同じ設定で利用できる。作成したデータは、初期設定でオンラインストレージサービスのOffice 365に保存するが、編集作業はオフライン状態でも可能で、オンラインになった時点で最新の状態に同期する。


同じデバイスからビジネス用のアカウント(写真=左)と、プライベート用のアカウント(写真=中央)でアクセスすると、それぞれ異なるドキュメントが並ぶ。このように、次期 Microsoft Officeではログインしたアカウントごとにユーザー情報を関連付けているので、同じアカウントでアクセスすれば、異なるデバイスから同じドキュメントと設定が利用できる。オンラインサービスとの連携も可能で、説明では、Bingで検索した動画をOneNoteに貼り付ける処理を紹介した(写真=右)ソーシャルネットワークサービスとの連携では、組織内ソーシャルにおける活用を取り上げている。公開範囲を設定した情報発信が可能であることや、フォローするユーザーのアクティビティの把握、「Like」「Best Anser」などコミュニティーを盛り上げる機能など、既存の主要なサービスに相当する機能を持つコミュニティーサイトが用意することを示した。
また、連絡先のリストから個人へワンクリックでインスタントメッセージやビデオ会議に呼べる機能では、ビデオ会議に呼んだメンバーとPowerPointでドキュメントを共有しながら作業を進める作業を紹介している。
次期 Microsoft Officeでは、Microsoftのクラウドサービスに接続したサブスクリプションサービスとして提供する「Office 365」、従来のデスクトップアプリケーションと同様に永続ライセンスで提供する「Office 2013」、Windows RTを導入したデバイスで利用でき、Word、Excel、PowerPoint、そして、OneNoteを提供する「Office on Windows RT」、そして、Exchange、SharePoint、Lyncを提供する「Office サーバー」といったエディションの存在が明らかになった。
ただ、次期 Microsoft Officeのリリース時期の予定や、価格、製品版におけるエディションについて、説明をしていない。なお、プレビューを利用するためのシステム用件について、日本マイクロソフトは、Windows 7を導入したPC、または、Windows 8(Release Preview版)をインストールしたPCとしているが、CPUやGPU、システムメモリの容量にデータストレージの容量といったハードウェア構成など、そのほかの条件についても明らかにしていない。
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