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“スマホ時代”に適した無線LAN機器、ヤマハが投入──BYOD対応、SMBのスマートデバイス化を積極支援PoE動作対応、iOS/Android対応MDM機能も実装

» 2012年11月01日 21時48分 公開
[ITmedia]
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PoE動作とMDM機能、無線LAN「見える化」機能を搭載するSMB向け無線LANアクセスポイント

photo 同社初のSMB向け無線LANアクセスポイント「WLX302」。2.4G/5GHz帯の同時利用が可能、最大100台(それぞれ50台ずつ)の機器を同時に接続できる。壁掛け、天井設置用マウンタも付属する

 ヤマハは11月1日、SMB(Small and Medium Business:中小規模の企業)向けニーズに沿った無線LANアクセスポイント「WLX302」を発表、2013年3月より順次発売する。価格はオープン、実売価格は5万円程度と予想される。

 SMB・SOHO向けネットワーク・ルータ機器市場で48.2%と高いシェアを獲得する同社、スマートデバイスの普及と高まる企業ニーズに応じてSMB向け無線LAN機器市場にも参入し、今後対応カテゴリも増やす考えだ。「スマートデバイスの業務利用ニーズが高まっているが、利点は多々あるものの、セキュリティに対する不安により──特にSMBでは導入をためらう例が多い。そんなSMB・SOHO層の導入意向を支援するのが今回の新製品」(ヤマハ サウンドネットワーク事業部の長谷川豊執行役員事業部長)

 WLX302はデュアルバンド(2.4GHz帯/5GHz帯 同時利用可能)対応でIEEE802.11a/b/g/n準拠、マルチSSIDや豊富なセキュリティ機能といった無線LANアクセスポイントの基本機能はもちろん、「無線LANの見える化」機能、PoEでの動作、MDM(Mobile Device Management)機能など、SMB市場に強い同社ならではの機能を工夫して盛りこんだ。SMBやSOHOといった中小規模オフィスシーンのほか、小売店、イベント会場、教育・医療現場など幅広い業種への導入を想定する。


photophotophoto 「WLX302およびヤマハのネットワーク製品は、SMBのお客様のニーズに合致する製品群」ヤマハ執行役員 サウンドネットワーク事業部事業部長の長谷川豊氏 1995年のルータ事業参入以来、2012年3月末に累計出荷台数が220万台に達し、SOHOルータ市場で48.2%のシェアを獲得している
photophotophoto 企業、特にSMB層のスマートデバイス対応化は、管理やセキュリティ面で不安があり、導入を踏みとどまっている現状がある。WLX302は、個人向け無線LANルータ・アクセスポイント製品とは異なりこれらの点をしっかり対処できるよう工夫したSMB向けの機能を盛りこんだ

 「無線LANの見える化」機能は、周辺のアクセスポイントやチャンネル使用率、スループット、CRCエラー率、接続端末の情報などをグラフ化して視認できる独自機能。検出した値が一定値を超えるとその状況を自動記録する「スナップショット機能」も備え、IT専任者を置かないSMB環境においても「遅い」「つながらない」といった障害発生時の管理・対応を容易にする。今後メールなどでのアラート通知機能なども実装予定という。「アクセスポイント本体に内蔵した機能としては業界初」(長谷川氏)

photophotophoto まずは無線LANの「見える化」機能。電波状況や電波干渉状態をビジュアル化して示し、IT管理者がいないオフィスでも容易に状態管理やトラブル対処ができるようになっている

 また、LANケーブルより電力を得るPoE(Power over Ethernet)で動作する仕様としたのもSMB向けとしてのポイント。同時に発表したPoE給電対応のスマートL2スイッチ「SWX2200-8PoE」やPoE対応機機と連携した導入を想定し、高所など電源の確保が難しい場所でも容易に設置できるのが特長(別売りオプションにて、ACアダプタも用意する)。設置における電源工事の手間や発生コストをかなり抑えられる点、配線を簡略化できる(LANケーブル1本で済む)点もメリットだ。

 オフィスのスマートデバイス導入推進や従業員のBYOD(Bring Your Own Device:社員が個人所有するスマートデバイスを業務で活用する)ニーズに沿い、スマートデバイスを管理する「MDM機能」も実装する。セキュリティ設定も含めた端末の管理、意図しないアプリケーションや機能の起動制限設定、リモートロックやリモートワイプ(初期化)など各種管理機能を備え、例えばカタログ表示用に用意した機器は「iBooks」のみを起動可能にするといった設定も一括で行えるようにする。発売時点でiOS機器対応の試用版ソフトウエアを無償配布、2013年夏期をめどにAndroid機器への対応とともに有償のオプションとして提供する予定。

photophotophoto ヤマハ製ネットワーク機器同士で集中管理が可能。複数拠点を設ける事業者も、ネットワーク管理担当者は現場に行くことなく自社のネットワーク管理を容易に行える(写真=左)。また、スマートデバイスの業務導入を支援するMDM機能も実装。自分が所持する機器を業務用としても使うBYODシーンも含め、iOS/Android(予定)搭載スマートフォンやタブレットを登録・管理でき、自社ネットワーク環境で安全に使う際の機能制限やリモートロック機能を比較的低価格に追加できるのはポイントが高い

 主な仕様は以下の通り。

製品名 WLX302
無線LAN規格 5GHz帯:IEEE802.11a/n(W52/W53/W56)、2.4GHz帯:IEEE802.11b/g/n デュアルバンド同時利用可能
最大通信速度 300Mbps(802.11n)
認証方式 オープン、PSK、WPA/WPA2パーソナル、WPA/WPA2エンタープライズ、MACアドレス
暗号化方式 AES、TKIP、WEP(64/128ビット)
接続可能台数 最大100台(5GHz帯:50台、2.5GHz帯:50台)
マルチSSID 最大16個(5GHz帯:8個、2.5GHz帯:8個)
セキュリティ機能 プライバシーセパレータ、Any接続拒否、Macアドレスフィルタリング、パスワード設定、接続台数制限、送信出力調整機能、SSIDステルスほか
RADIUSサーバ 内蔵(簡易型 最大100台までのWPA/WPA2エンタープライズ認証に対応)
管理プロトコル SNMP v1
拡張機能 ヤマハ製ルータによる集中管理、無線の見える化ツール、MDM
タグVNAN 対応(IEEE802.1Q)
ストレージ 256MバイトFlash(ファームウェア1組、コンフィグ1組)
メモリ 256Mバイト
最大消費電力 11ワット
本体サイズ 160(幅)×178(奥行き)×40(高さ)ミリ
重量 約670グラム

photo 高出力対応のPoEをサポートするスイッチングハブ「SWX2200-8PoE」も投入。標準はPoE動作となるWLX302と組み合わせて導入するシーンを提案する

 合わせてPoE給電対応のスイッチングハブ「SWX2200-8PoE」も投入する。発売は2013年4月を予定し、価格は7万円程度。SWX2200-8PoEは8ポートのギガビットLANポートを備え、全ポートPoE対応とした。

 このうち4ポートを、1ポートあたり最大30ワット出力できる高出力給電規格「PoE Plus(IEEE802.3af)」をサポートし、消費電力の大きい無線LANアクセスポイントやネットワークカメラ、IP電話なども利用できるようにした。スイッチ制御機能を搭載する同社製ルータや上記WLX302と組み合わせた利用シーンを提案し、各々をWebツールによるGUI画面で一括管理できるようにするのも大きな特長とする。

 「今後もSMBを強く意識した製品を投入する。またソフトウェア、MDM、クラウドサービスとも連携してユーザーに的確なソリューションを提供できるよう努力したい。なお、発売時期が2013年3月よりと少し先なのは、スマートデバイス対応化を踏みとどまっているSMBのお客様の評価期間を考慮したため。弊社のネットワーク機器製品群はそんなニーズに応えられる。お貸し出しして評価していただけるような体制にする予定なので、弊社製機器を使われているお客様はぜひお声をかけてほしい。11月16日より順次、札幌・新潟・仙台・福岡、大阪・東京・名古屋・金沢・長野・広島の各都市で製品説明会も実施する」(長谷川氏)



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