「Tegra 4」と「SHIELD」で舵を切るNVIDIAの狙い:2013 International CES(2/3 ページ)

» 2013年01月08日 01時01分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

強力なグラフィックスコアの意義をHDR処理で理解する

 グラフィックスコアの強化によるメリットとして、ゲーム以外で挙げるのは難しいが、NVIDIAでは「HDR」のデモを紹介している。HDR(High Dynamic Range)は写真撮影などで、暗い被写体に絞りを合わせると明るい背景などが白飛びし、背景に絞りを合わせると暗い被写体が黒くつぶれてしまうような状況で、それぞれ露出を変更した2枚の写真を合成してどちらの被写体や背景も適切に見えるよう合成する技術をいう。最近のデジタルカメラのほとんどがこの機能をサポートするが、一方で、2枚の画像を連続撮影する関係上、被写体が動くと正しい画像合成が行えない。

逆光や露出過多の映像を補正する「HDR」技術は携帯電話のカメラで欠かせないが(写真=左)、異なる露出の画像を2枚連続で撮影する必要があるため、被写体が動いていると合成後の画像が乱れてしまう(写真=右)

 そこで、NVIDIAはイメージセンサとプロセッサの間で発生するデータフローを変更し、Tegra 4において写真の2枚同時撮影を多数のグラフィックスコアによる高速画像処理で実現している。この技術では、カメラから取り込んだ画像をそのままリアルタイムでHDR変換することが可能になる。動く被写体にも有効で、動画撮影でHDR画像を記録することも可能だ。

NVIDIAでは写真撮影とHDRのアルゴリズムを見直し、Tegra 4を使ってHDRの有用性を極限まで高めた

具体的にはカメラセンサで必要な画像を同時に2枚撮影し、低速なメモリアクセスを行わずに内蔵する多数のグラフィックスコアとCPUで高速にHDR処理を行うことで、iPhone 5などで2秒かかっていたHDR画像の生成が、Tegra 4では撮影から0.2秒で完成してしまうという(写真=左)。カメラで得た画像からほぼリアルタイムでHDR画像を生成できるようになることで、指のスワイプでHDR領域を画像をリアルタイムで表示しながら変更可能になる(写真=右)

こうした技術の応用により、撮影動画にそのままHDR効果をかけたり、フラッシュを組み合わせたHDR写真、高速に動く被写体の各コマやワンショットにHDRを施したりと、非力なモバイルデバイスでも従来にはない画像処理が可能になる

 Tegra 4の特徴として、NVIDIAは、チップセットで実現する3Gモデムの存在も強調している。通常、モデムチップは各機能ブロックごとにIPを組み合わせる形でハードウェアを実装するが、これを汎用コアに置き換えてソフトウェア的に処理するのがソフトモデムだ。4G LTEに対応したモデムチップでは、ソフトウェア的に機能を実装している。NVIDIAによると、作業に余裕のあるコアに処理を振り分けることで効率が改善し、従来比40パーセントのコアサイズ縮小が可能になったという。これは、NVIDIAが2011年に買収した英Iceraの技術を応用したもので、パフォーマンスや消費電力の面でどの程度効果があるのか、実際の評価報告に期待したい。

 なお、プラスカンファレンスでは、Tegra 4のラインアップや出荷時期、価格については明らかにしていない。詳細は、おそらく2月にバルセロナで開催するMobile World Congress(MWC)になるだろう。

グラフィックスの強化はゲームにも有効だ。NVIDIAのTegrazoneで配信するゲームも快適に動作する(写真=左)。Tegra 4では、従来のTegraチップセットで弱点だった3Gモデムも強化した。これは、NVIDIAが2011年に買収した英Iceraの半導体技術を用い、4G LTEのサポートが可能なソフトモデムを実現している(写真=右)

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