それでは、Nexus 10の性能を実際にテストしていこう。基本スペックをおさらいすると、SoC(System On Chip)には、Samsung Electronics製のExynos 5250(1.7GHz)を採用。ARM系CPUで最新のCortex A15をデュアルコアで搭載し、クアッドコアのGPU(Mali T604 MP4)を統合している。メインメモリは2Gバイト、ストレージは16Gバイトもしくは32Gバイトだ。
今回は16Gバイトモデルをテストした。ベンチマークテストのソフトウェアは、Quadrant Professional Edition 2.1.1とAnTuTuベンチマーク v3.2.1を実施した。比較対象として、7型モデルのNexus 7、Android 4.xベースのAmazon独自タブレット「Kindle Fire HD 8.9」(OMAP4470/デュアルコア/1.5GHz)、富士通の10.1型Androidタブレット「ARROWS Tab Wi-Fi FAR70B」(Tegra 3 AP37/クアッドコア/1.7GHz)もスコアを併記している。
テスト結果は、Kindle Fire HD 8.9やARROWS Tab Wi-Fi FAR70Bを圧倒するハイスコアだ。クアッドコアのTegra 3を搭載したNexus 7に比べると、どちらのテストもCPUスコアでは若干劣っているが、総合スコアでは勝っている。特にQuadrantのMemory、AnTuTuのRAM、GPUでは大きく上回った。
バッテリーの駆動時間については、ディスプレイの輝度50%、Wi-Fiオン、Bluetoothオフ、音量52%の環境下で、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生させてテストしたところ、満充電から残り15%になるまでに約8時間22分動作した。10型タブレットとしては、十分なバッテリー駆動時間だろう。
一方、ボディの発熱は少し高めの印象だ。しばらく使い続けているとじんわり熱を感じることがある。特に電源ボタンの近くのゴム部分は熱くなり、室温23度の環境で表面温度が最大38度まで上昇した。もっとも、この部分以外はさほど温度が上がることもなく、横位置で手に持つ両端部分は最大で32度だった。
プリインストールOSは、Android 4.2(Jelly Bean)を採用する。ソフトウェア環境はNexus 7と同様、OS標準機能とGoogleのサービスだけを搭載したシンプルな内容だ。
OSの機能として、マルチユーザーログインに対応するのは見逃せない。ユーザーは最大8人まで作成でき、3人まで有効にすることが可能だ。それぞれのユーザーは独自のホーム画面、カウント、アプリなど、それぞれ個別のスペースを使うことができ、ロック解除の方法もそれぞれ指定できる。ディスプレイ設定にはスクリーンセーバー機能も用意されている。
アプリの使用感はとてもよく、特に画像処理のパフォーマンスは特筆できる。例えば、4704×3136ドットと高画素の写真データを取り込んで表示する場合、リサイズ/サムネイル表示のパフォーマンス、拡大/縮小表示のレスポンス、いずれもKindle HD Fire 8.9ではかなりのモタつきを感じていたが、Nexus 10は実にサクサクとこなしてしまう。高解像度フォトビュワーとしての快適さは、現行のタブレットでトップクラスだろう。
Google Playでの販売価格は、16Gバイトモデルで3万6800円、32Gバイトモデルで4万4800円となっている。7型のNexus 7ほど圧倒的なコストパフォーマンスではないが、性能と機能はNexus 7よりも強力でぜいたくな仕様だ。特に2560×1600ドットという高解像度の10型ワイド液晶ディスプレイを搭載していることを考えれば、決して高くはない。
最近はAndroidベースのタブレットも魅力的な製品が多く登場しているが、Nexus 10は現時点では業界トップとなる約300ppiの非常に高い画素密度により、1歩抜きん出たエンターテインメント体験ができるモデルといえる。内蔵ステレオスピーカーも高品位だ。
Google PlayでのHD映画鑑賞や高解像度フォトビュワー、雑誌など細かい文字が多い電子書籍のリーダー、地図情報表示といった用途をメインに考えているならば、高画素密度の優位性を発揮できるタブレットとして検討に値する。
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