大型デジタル印刷機で大きなシェアを誇るHPは、Indigoのほかにも、それぞれ用途や特性の異なる大型プリンタを用意している。その中でも、大きなメリットがある製品としてアピールしたのが「Latex」シリーズだ。
Latexシリーズは、カーラッピング、広告の垂れ幕、壁紙などさまざまな印刷に対応。採用するLatexインクは、幅広いメディアに印刷できる汎用(はんよう)性の高さ、屋外耐候性の高さ(天候変化などにさらされても色が変質せず持続すること)を併せ持つ。
さらにLatexインクは、水ベースで有害性大気汚染物質(HAP)やニッケルを含まず、UL(製品の安全性を検査する機関)のECOLOGO、GREENGUARDロゴのほか、日本でもエコマーク認定を受けるなど、環境性能にも優れる。
無臭である点も大きな特徴で、病院や教育施設などデリケートな環境をはじめ、カーラッピング、ウォールアートなどの屋内ディスプレイにも最適だという。
この説明会のオープニングセッションで登壇したレオ・ハン・コン氏は、Latexインクの特徴をアピールしつつ、活用例として、上海の美術館(Shanghai Natural History Museum)を改修する際に作成された合計1万平方メートルにも及ぶ広大なウォールアートや、シンガポール川の地下通路内に作成されたウォールアート(距離約32メートル)などを紹介した。
後者は重要な公共の通路であることから長い間閉鎖することができないため、耐候性とともにスピードも要求されたが、Latexの導入により、作業のための閉鎖期間はわずか2日で済んだ。残留化学臭がないため、すぐに利用を再開できたという。このように、Latexソリューションはこれまでにない機会を提供できるとアピールした。
商業印刷、産業印刷におけるデジタル印刷のシェアはまだ少ないというが、多品種少量生産が可能で、パーソナライズにも対応でき、オンデマンド印刷が可能といった特徴は実に魅力的で、ロイ氏が言うように、今後飛躍的な成長の可能性を秘めていることは疑いがないところだろう。そのことを十分感じさせられるイベントだった。
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