ここまで見てきたのは、多少の機能差があるとはいえ法人向けサービスのほとんどに装備されている機能だが、これ以外にも、オンラインストレージの利便性をさらに高めてくれる機能は多数存在する。対応している事業者は限られるとはいえ、使い方によってはオンラインストレージの枠を超え、業務効率をさらにアップしてくれるはず。ここではそんな特徴的な機能を抜粋して紹介しよう。
専用の同期ソフトを用いて、WindowsであればCドライブ下にある特定のフォルダ、例えばドキュメントフォルダを常時オンラインストレージと同期させておき、いつでも外出先から参照できるようにする機能だ。フォルダ内の全てのファイルをアップロードするため相応の容量は必要になるが、外出先から参照したいのにアップロードを忘れていて参照できないというミスを防げる。
個人向けサービスではおなじみの機能だが、法人向けサービスでは必ず用意されているわけではなく、また対応OSや機能などの制限があることも多い。利用にあたって欠かせないということであれば、試用の段階で事細かにチェックしておいたほうがよいだろう。
“WebDAV”に対応していれば、オンラインストレージの領域を一つのドライブ(例えばZドライブ)としてマウントし、エクスプローラ上でファイルをドラッグ&ドロップで移動できるなど、オンラインストレージであることを意識せずにシームレスに利用できるようになる。NTT Comの「Bizストレージ ファイルシェア」、IIJの「IIJドキュメントエクスチェンジサービス」などがこの機能に対応している。
ファイル本体がオンラインストレージ上にあると、ファイルの中身を確認するためにはいったんダウンロードする必要があるため、多数のファイルの中から目的のファイルを探し当てるのは至難の業だ。こうした場合に便利なのが、一つが前述の全文検索機能、もう一つはオンラインでのプレビュー機能だ。ファイルをダウンロードすることなくオンラインで見られれば、あえてファイルをダウンロードすることなく、必要なファイルをすぐに探せるというわけだ。
サービスによっては、テキストや画像のプレビューにとどまらず、ローカルでは対応ソフトがインストールされていなければ表示できないファイル、例えばPhotoshop形式のファイルを表示できるサービスもある。
また動画についても、ダウンロードしなくともブラウザ上で直接再生でき、中身が確認できるサービスもある。ちなみにこれらは検索性を向上させるために実装されている場合もあるが、いたずらにデータをローカルにコピーさせないという、セキュリティ強化の一環で実装されている場合もある。「Box」のほか、富士フイルムの「IMAGE WORKS」などが強みを持つ。
ファイルのプレビュー機能とは別に、元ファイルそのものを本格的に編集する機能を備えたサービスもある。例えばBoxの場合、テキストは「Box Notes」という独自の機能が用意されている他、オフィスのドキュメントファイルはGoogleドキュメントやOffice 365などと連携して編集が行えるといった具合だ。
オンラインでの編集に対応していれば、メンバーでのコラボが可能になる他、PDFに押印するなど、書類の承認フローを構築することも可能になる。
このファイル編集機能や前述のプレビュー機能は、あれば便利なことは間違いないが、技術力なども必要になるため、対応する事業者とそうでない事業者にはっきりと二極分化しつつある。将来的なコラボレーションを視野に入れているのであれば、あらかじめチェックしておきたい部分だ。
少し変わったところでは、オフィスの複合機と連携し、スキャンデータやFAXデータの保存やバックアップが行えるサービスもある。シャープの複合機と連携するスターティアの「セキュアSAMBA」、NTT東日本の「フレッツ・あずけ〜るPROプラン」などが代表例だ。
このほかリコーの「SnapChamber」は、建設業との利用を想定したカメラや電子納品ソフトとの連携機能も備えていたりと、特定業種に強みを持つサービスは多い。各サービスが掲載している導入事例に思わぬヒントが隠れていることもあるので、チェックしてみるとよいだろう。
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