もちろん、次世代SnapdragonのPC向けWindows 10サポートの発表については、直近でMicrosoftがIntelからQualcommへプロセッサの提携先を大きく切り替えていくという話ではない。スマートフォンやタブレットで支配的な地位にあるQualcommのARM系プロセッサのSnapdragonが、Windows 10 Mobileに限らず、PC向けのWindows 10のサポートにも乗り出し、ユーザーとしてはWindows 10デバイス製品の選択肢が増えるという話だ。
WinHECでは、MicrosoftとIntelのパートナーシップも当然語られた。両社の提携で発表されたのが「Project Evo」だ。詳細についてはほとんど不明だが、「先進のセキュリティ、AI(人工知能)、Cortana(音声対応パーソナルアシスタント)、MR(複合現実)、ゲームの分野においてデバイス向けの全く新しい方法を提供する」という。
同社が例として挙げるのは「Cortanaとの対話で検索や音楽の演奏が行える」「手頃なPCとHMD(ヘッドマウントディスプレイ)でMRを利用できる」といったものだ。これだけでは従来のPCと何が違うのか分からないのだが、一つ言えるのは「MicrosoftがVR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR、そしてCortanaに活用されるようなAIに多くのリソースを注いでいる」ということだ。
Windows 10次期大型アップデートのCreators Updateでは3D機能が大幅に強化されるが、Windows Holographicの基本的な機能が既にWindows 10 Insider Previewの中に組み込まれていたり、あるいはMR時代の新しいUIをWindowsに取り込むために「Project NEON」が進んでいたりと、「Windowsを次世代のコンピュータに対応できるプラットフォーム」にすべく活動している様子がうかがえる。
Cortanaのインテリジェント化は、Amazonの「Echo」やGoogleの「Google Home」などに通じるものがあるが、「近い将来のPCは、今までのPCのカタチではなくなる」といった新時代を予感させる。いずれにせよ、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスの次に来る時代をにらんで、かつては「Wintel帝国」とまで呼ばれた時代の覇者であるMicrosoftとIntelも動いているということなのだろう。
この分野におけるデバイス系の話題では、「2017年前半での中国市場へのMicrosoft HoloLens投入」「Windows Holographicの仕様をパートナーと共有」「Microsoft EdgeでのWebVRサポート」といったアップデートが行われている。
RS3が配信され、Windows Holographic対応HMDなどの新デバイスが出そろってくる2017年後半、Windowsエコシステムは非常に盛り上がることが予想される。今から1年後の状況がどうなるか楽しみだ。
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