ここからは、Ryzen 7 5800X3Dのパフォーマンスをベンチマークテストを通し確認していく。今回は、比較対象として実売価格が近くなるであろう「Core i7-12700K」(Pコア8基16スレッド+Eコア4基4スレッド)で構成したシステムも用意した。
Core i9-12900Kを含むデスクトップ向け第12世代Coreプロセッサは、より高速なDDR5メモリも利用できる。しかし、今回はメモリ回りの条件を極力そろえるためにDDR4メモリを利用するマザーボードを使っている。
まず、3Dレンダリングを通してCPUの演算性能を計測する「CINEBENCH R23」を実行してみた。結果は以下の通りだ。
Ryzen 7 5800X3Dのスコアは、Core i7-12700Kのスコアのおおむね約7〜8割ほどとなった。スコア差の要因は、主に「最大稼働クロックの差」と「コアの総数」にあると思われる。
次に、PCの総合的な性能をチェックする「PCMark 10」をチェックしてみよう。スコアは以下の通りとなった。
CINEBENCH R23のテスト結果と同様に、Ryzen 7 5800X3DよりもCore i7-12700Kの方がスコアは高い。しかしスコアの差(比率ベース)は縮まっている。スコア差が縮まった原因は幾つか考えられるが、それに一番貢献しているのはL3キャッシュの容量だ。
それぞれのCPUのL2/L3キャッシュ容量は以下の通りとなっている。
CPUのマルチスレッド性能をチェックするために、PCMark 10ではテストの中にランダムなマルチスレッド処理を多く織り交ぜている。このようなランダム処理では、CPUに送り込む命令をためておくL2/L3キャッシュの容量がスコア(≒パフォーマンス)に少なからず影響を与える。
Ryzen 7 5800X3Dが“善戦”したのは、3D V-CacheでL3キャッシュを大きく増量した効果といえる。
「実際のアプリにおけるパフォーマンスはどうなの?」ということで、実際の2D/3Dコンテンツ制作ツールをベースに開発されたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」も試してみた。結果は以下の通りだ(数値は1分間で作成できたサンプル数を示す)。
レンダリングを通してCPUの性能を確認するという観点において、Blender BenchmarkとCINEBENCH R23には共通するものがある。そのせいか、テストの結果も似た傾向となっている。CPUを使ったレンダリングではRyzen 7 5800X3Dの性能はCore i7-12700Kの7〜8割程度と見るのが正解だろう。
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