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» 2011年08月09日 13時30分 UPDATE

朝シフト仕事術:周囲の目を気にせず定時退社するコツ

社会全体は「残業撲滅」へと変わりつつあるとはいえ、まだ残業が多い職場もたくさんあります。残業が多い職場で定時退社するには、周囲の目が気になるという人も多いはず。「周囲の目」に対抗するためには何が必要でしょうか。

[永井孝尚,Business Media 誠]

 高度経済成長期の日本は、遅くまで仕事をすることが美風ととらえる企業が多くありました。しかし最近ではそう考えない企業も現れてきています。例えば、全社残業ゼロで19期連続増収増益を達成したトリンプ・インターナショナル・ジャパンや、良品計画(無印良品)のように、会社全体で「残業禁止」をうたっている会社もあります。

 社会全体は「残業撲滅」の方向へと、確実に変わりつつあります。しかしながら、まだ残業が多い職場もたくさんあります。

周囲の目が気になって早く帰れない

 残業が多い職場で定時退社するには、勇気が必要です。周囲の目が気になるという人も多いようです。「周囲の目」に対抗するためには、誰もが認めざるを得ないような成果を上げることが一番です。「あいつはあれだけやっているのだから……」というわけです。

 しかし、それだけでは、必ずしも周囲の目に対抗できない場合があります。それは、あなたが仕事の成果を上げているにも関わらず、他人からその成果が見えていない場合です。

 特に日本人は「不言実行」が美徳とされ、自分の仕事の成果をアピールするのが苦手です。そのため、「成果を上げていないのに早く帰宅するのはいかがなものか」と言われる可能性はあります。

こまめな“ほう・れん・そう”で仕事を「見える化」

 そこで、あなたの仕事を周囲に「見える化」するのです。「見える化」といっても、派手にアピールする必要はありません。「報告・連絡・相談」をまとめて「ほうれんそう」と呼びますが、地道に「ほうれんそう」を繰り返せば、あなたの仕事ぶりは上司や同僚の知るところとなります。

 例えば、仕事の進捗状況を上司に「報告」する。何か進展があれば関係者に「連絡」する。判断に迷ったら上司や仲間に「相談」する。そうやって日頃から「ほうれんそう」を心がけていれば、あなたの仕事ぶりに関する次のような情報が、同じ職場にいる人たちに共有されている状態になるはずです。

  • あなたが今取り組んでいる仕事は何か? その進捗状況は?
  • クリアすべきどんな課題があるのか? その解決策は?
  • どれくらい熱心に取り組んでいるのか?
  • どんな創意工夫をしているのか?
  • その結果、どんな成果が出たのか?(出そうなのか?)
  • 朝は何時に出社して、何時に退社しているのか?
  • 勤務態度は真面目か? 集中力は? 能率は? コミュニケーション能力は?

 あなたの仕事ぶりが「見える化」されると、単純に「成果」だけの問題ではなく、「あいつは誰よりも早く出社してきているから、早く帰るのは当然だ」といった空気を醸成することができます。

 職場に理解者が一人でもいれば、周囲のプレッシャーもきつくなくなりますし、そのうち「じゃあ、私も朝早く出社してみようかな」という同調者が出てきてくれるかもしれません。そうなればしめたものです。朝の効用を思いきりアピールして、職場全体で「ムダな残業ゼロ」を目指せばいいのです。

アウトプットの質と量は「集中できる時間の量」で決まる

 実は、会社を早く出ることが問題なのではありません。むしろ「遅くまで残って仕事をした気になっている」としたら、そっちのほうがよほど問題の根は深いということを理解しておきましょう。

 8時間ぶっ続けで仕事に集中すれば、誰でも疲労が蓄積します。その状態で残業しても、生産性は下がる一方です。こんなに遅くまで頑張っているのに、できあがったアウトプットの質・量ともに満足のいくものではなかったという経験はありませんか。そういう人は、今すぐ仕事の時間を朝型にシフトしたほうがいいと思います。

 1日の終わりに残業する場合と比べると、朝の仕事の生産性は6倍に高めることが可能です。翌朝、リフレッシュした頭と身体で、前日に残した仕事に取り組んだほうが、ずっと生産的で質の高い仕事ができます。

 朝シフトした人は、朝7時に出社して仕事をしています。9時出社の人と比べて2時間も多く、最も集中力の高まる時間を自分のためだけに使えているのです。

 同じ2時間でも、朝9時に全員が出社してからの2時間と、まだ誰も出社していないときの2時間では、密度がまったく異なります。誰にも邪魔されず、自分の仕事に集中できる時間をどれだけ確保できるかで、アウトプットの質と量が決まるのです。

 自分のやるべき仕事をすべて完了し、かつ仕事の「見える化」をしたうえで、自信を持って、堂々と帰宅したいものです。

連載「朝シフト仕事術」について

 本連載は7月16日発売の書籍『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』から抜粋したもの。“朝活”が大ブームの今、医者、起業家、脳科学者が書く朝活の本も売れているが、本書は日本IBMに勤務する現役ビジネスパーソンが現在進行形で朝時間を有効活用していることが特徴だ。その成果・効果を大公開。実体験を元に、朝は夜の6倍生産性があがる理由を分析した。

 著者自身も20代30代のころは、仕事の忙しさが残業に反映されていると思い込み、“残業自慢者”でもあった。しかし、残業 → ストレス → 飲む → 寝坊 → 満員電車 → ぎりぎり出社 → 仕事の山という負のサイクルにどっぷりとはまっていたことに気づく。それをきっかけに、時間の使い方、仕事のやり方を研究しはじめ、朝時間にシフト。家族と過ごす時間、自分のための時間が増え、ライフワークをしっかりと楽しんでいる。そんな朝時間の有効性を共有する「朝カフェ次世代研究会」を主宰し、朝時間仲間をどんどん増やし、仕事とプライベートを充実させる啓蒙書。生活を見直したいと考えるビジネスパーソンにおすすめの1冊だ。



著者紹介 永井孝尚(ながい・たかひさ)

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 日本IBMソフトウエア事業部マーケティング・マネージャー。1984年3月、慶應義塾大学工学部卒業後、日本IBM入社。製品開発マネージャーを担当した後、現在、同社ソフトウエア事業部で事業戦略を担当。2002 年には社会人大学院の多摩大学大学院経営情報研究科を修了。朝時間を活用することで、多忙な事業戦略マーケティング・マネージャーとして大きな成果を挙げる。一方で、ビジネス書籍の執筆や出版、早朝勉強会「朝カフェ次世代研究会」の主宰、毎日のブログ執筆でさまざまな情報を発信。さらに写真の個展開催、合唱団の事務局長として演奏会を開催するなど、アート分野でも幅広いライフワークを実現している。主な著書に『バリュープロポジション戦略50の作法 - 顧客中心主義を徹底し、本当のご満足を提供するために』などがある。


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