10月27日、auが2008年秋冬モデルのラインアップを発表した。この日披露したのは、8.1Mカメラを搭載した「EXILIMケータイ」、ワイドVGA有機EL搭載の「Woooケータイ」、3.5インチ液晶搭載のスライド型「AQUOSケータイ」など7機種とExpressCard/34型のEV-DO Rev.A対応データ通信カード。すでに発表済みのW64T、URBANO、フルチェンケータイreのバリエーションモデルを含むラインアップで冬商戦に臨む。
新サービスは、すでに発表済みの「au BOX」のほか、au Smart Sportsの新サービスを提供。2009年1月には、秋冬モデルの「AQUOSケータイ W64SH」と「W65T」向けに対話型のエージェントサービスも開始する予定だ。さらに、「Woooケータイ W63H」「EXILIMケータイ W63CA」「AQUOSケータイ W64SH」の3機種には、定額で音声端末経由のPCデータ接続を可能にする料金プランを適用する。
発表会で、端末ラインアップと新サービスを紹介したKDDI コンシューマ事業統括部長の高橋誠氏は、画質やデザイン、機能などで個性的な端末が揃ったとし、「もう一度auらしく、ということ。現場での評判もいい」と自信を見せた。
また、この冬には番号ポータビリティ(MNP)から2年が経過することから、「ホワイトプラン」でソフトバンクモバイルに移ったユーザーや、ムーバからFOMAに移行したNTTドコモユーザーの“2年縛り”が解ける好機と見ており、「ユーザーの流動性が上がってくるころ。そこを狙っていきたい」と意気込んだ。
なお、auの秋冬モデルは11月20日まで、東京・原宿のKDDIデザイニングスタジオで展示される。
10月28日、ウィルコムが秋冬モデルを発表した。ラインアップは音声端末3機種とデータ端末1機種、スマートフォンの新色1機種。初の音声スライドモデル「WILLCOM LU」や防水対応モデル「WX330J」を投入するなど、ケータイのトレンドを意識した新機種をそろえた。
新サービスとして発表したのは、最大7人で同時に通話できる「ウィルコム ミーティング」、シャープのタッチパネル端末向けサービス「手描きチャット」、端末を一括で管理・保護する法人向けサービス「ビジネス安心サービス」。また、2009年1月からウィルコムメールに「@willcom.com」ドメインを導入することを明らかにした。
データ通信で携帯電話の3Gサービスと競合し、苦戦を強いられているウィルコムだが、網内定額が人気の音声サービスは好調に推移していると同社副社長の土橋匡氏。新端末と新サービスの投入で「11月を境に純増に転じる」(同)と自信を見せた。
10月30日には、ソフトバンクモバイルがタッチパネルケータイ4機種を含む16機種の秋冬モデルを発表した。800万画素カメラ搭載のシャープ端末「930SH」や、初のカシオ計算機製端末「830CA」、イルミ+着せ替えの「funfun.2 830T」、ノキアブランドのE71、N82など、幅広いユーザー層にリーチする端末をそろえた。
新サービスは、待受画面でリアルタイムな情報を確認できる「モバイルウィジェット」や、メールでプレゼントを送れる「ソフトバンクギフト」を提供。ウィジェットは賞金総額1000万円のコンテストを実施し、普及・拡大を目指す。
またiPhone 3G向けにもワンセグチューナー兼バッテリーの発売や、年内の絵文字対応、「BBモバイルポイント」の無料開放などの施策を発表している。
ソフトバンクモバイルの孫正義社長は、秋冬モデルの投入で、同社のインターネットマシン戦略を加速させたい考え。「モバゲータウン」のディー・エヌ・エー(DeNA)、「ニコニコ動画」のドワンゴ、マイスペース、ミクシィ、ヤフーの5社と携帯ネットサービスでの相互連携することも発表し、デバイスとサービスの両面から携帯電話のインターネット化を推進する。
発表会ではまた、2008年1月に開発表明した「823SH Tiffanyモデル」の製品版が披露され、孫社長がタレントの上戸彩さんと女優の樋口可南子さんに贈呈した。
なお、10月29日にはソフトバンクモバイルのMVNOとして携帯電話事業を展開するディズニー・モバイルが、防水機能や3G/GSMの国際ローミング機能を備えた新モデル「DM003SH」を発表。外観デザインは、ミッキーのシルエットや星、ハートマークなどを透明感がある多階層のレイヤーにちりばめた深みのある背面と、カラーごとに異なるキャラクターを廃した裏面が上質感を演出している。
Luxury Blackはミッキーのシルエットを用いた上品で神秘的な黒で、「イブニングドレスのような深い輝き」がポイント。Star Whiteは雪のような白さをイメージしたボディに、妖精のスターダストをモチーフにした星を配した「清楚でゴージャス」なデザイン。Love Pinkはキャンディーのようなビビッドなピンクと深みのある透明感のボディに輝くハートをちりばめている「優しく夢のある」デザインとなっている。
携帯電話関連の通信キャリアやメーカーが、相次いで中間決算を発表した。
ソフトバンクモバイルは、売上高が前年同期比2.6%減の1兆3289億9800万円、営業利益が前年同期比7.3%増の1800億円で減収増益となった。
同社の株価は10月下旬から1000円を大きく割り込むなど大幅に下落しており、時価総額が1兆円を割り込むとともに連結有利子負債が約2兆5000億円に上るという事態に陥っている。これを受けて同社は6年ぶりに業績予想を開示。今期と10年3月期の営業利益、営業キャッシュフロー(CF)、投資CFの予想を公開し、今期は営業利益が3400億円、フリーCF(FCF:営業CF+投資CF)が1400億円、10年3月期は営業益4200億円、FCF2500億円を見込むとした。
NTTドコモの2009年3月期の中間決算は、連結売上高が前年同期比2.5%減の2兆2678億円、営業利益は前年同期比41.2%増の5769億円で減収増益となった。
通期予想については、総合ARPUが当初の予想ほど落ち込んでいないことから携帯電話収入を440億円増と予想。ただ端末総販売数を見直し、端末販売収入が1970億円減ると考えられることから、通期の営業収益は1710億円減の4兆5970億円に下方修正した。
なお、携帯関連メーカーの決算には端末販売不振の影響が現れた。NECは開発費の増加が響いて営業益5割減、シャープは携帯電話の不振や液晶テレビの価格下落で減収減益という結果。富士通もHDD、携帯、PCなど市況悪化を理由に連結業績予想を下方修正した。
NTTドコモの山田隆持社長が中間決算の席上で、持続的成長を目指すための戦略を発表した。
4月の新ドコモ宣言で“顧客満足度重視”の戦略へと舵を切ったドコモの施策は、着実にその成果を上げている。番号ポータビリティ(MNP)の導入以降、低迷していた純増数は復活基調で推移し、解約率も低減。新たな割引プランや販売方法の導入も収益の改善につながっている。
NTTドコモの山田隆持社長は、こうして迎えた2009年3月期中間決算を「ビジネスモデルの転換が進んで数値に表れた順調な決算」と振り返り、新ドコモ宣言を次のフェーズに進める戦略を明らかにした。
収益拡大と持続的成長に向けた戦略は、“コア事業の強化”と“新規事業の創出”の2本柱を軸としており、コア事業の強化ポイントとして挙げるのは(1)動画サービスの普及と定額制の促進によるパケットARPUの向上(2)ムーバからFOMAへの巻き取り強化(3)2台目市場の開拓に向けた、スマートフォンやデータカードの普及・拡大(4)法人事業の拡大(5)クレジット事業の強化。新規事業の創出に向けた取り組みとしては、携帯電話のパーソナル化のさらなる強化とソーシャルサポートサービスの推進、融合サービスの提供を挙げている。
また、11月5日に発表するとみられる同社の秋冬モデルにも言及し、「(同社のエージェントサービスを指すと思われる)iコンシェルやタッチパネルなどの魅力的な端末をそろえる」(山田氏)と自信を見せた。
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