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» 2012年09月10日 11時22分 UPDATE

小寺信良「ケータイの力学」:「LINE」で何が起こっているのか(3)

1対1の会話だけでなくSNSとしてのサービスも提供を始めた「LINE」。今回はLINEのコミュニケーション機能について掘り下げていくが、ここでもLINE特有の“友だち”のあり方に注意が必要になる。

[小寺信良,ITmedia]

 コミュニケーションプラットフォーム「LINE」について、1回目は急速に普及した現状と理由、2回目は表示される名前の仕組みについて考察した。3回目の今回は、LINEの本機能とも言える、内部で行なわれるコミュニケーションについて考えてみる。

 LINEのコミュニケーションは、1対1で行なう部分と、SNS的な部分に分かれている。1対1の機能では、特定の相手と文字で会話できる「トーク」、音声で通話できる「無料通話」がある。また、数人の特定の相手を招待して、グループチャットできる機能も用意されている。音声通話の方がむしろ“トーク”だと思うが、このあたりの言葉選びも子どもたちにはしっくり来るのだろう。ここまではまだ特定の相手との閉じた機能であり、Skypeと同じような構造だ。

 一方SNS的な機能、すなわちメッセージが広く公開される部分としては、かつてはプロフィール欄に入力する、「ひとことメッセージ」という機能があった。ここで不自由ながら、SNS的なコミュニケーションが発生していた。

 このSNS機能を拡張する形で、新たに今年の8月6日からAndroid版先行で、「タイムライン」機能が実装された。これは、友だち関係にある人同士で自由に見ることができるTwitter的な機能で、テキストメッセージのほか、写真や動画、GPS情報などが添付できる。少し遅れて8月13日より、LINEのiPhone版でもタイムラインが導入された。

 タイムラインの実装により、過去の「ひとことメッセージ」は、各個人のステータスを表わす「ステータスメッセージ」に名称変更となった。従来のひとことメッセージは、過去のメッセージをさかのぼって参照できる機能を持っていたが、現在は使い捨て的なメッセージとなった。Skypeのムードメッセージと同じような機能になったと言える。従来ひとことメッセージで行なってきたやりとりは、タイムラインでやってくれ、ということであろう。

 LINEでのテキストコミュニケーションを整理すると、「トーク」「タイムライン」「ステータスメッセージ」の3タイプがあり、この順で段階的に公開範囲が広くなるというイメージだ。トークは友だち関係にある個人に対して、タイムラインは友だち関係にある全員に対して、ステータスメッセージは相手が自分を友だちと認定している範囲に対して、公開されることになる。

photo LINEにおけるテキストメッセージの公開範囲

 自分がタイムラインで発言したものは、「ホーム」にまとめられる。ユーザーそれぞれが自分の「ホーム」を持っているというイメージだ。

 ホームでは、あるの発言に対して付けられた他の人のコメントも見ることができる。したがって、あなたの友だちがあなたの「ホーム」をのぞくと、あなたが別の友だちとやり取りしているところが丸見えになる。友だち間は全くの他人でも、あなたの発言を通してコメントが読めるのだ。

 うっかりタイムラインでやり取りしていると、あなたが元カレ・元カノとヨリを戻そうとしているところを現行のカレ・カノに突き止められるかもしれない。

photo ホームの中身は、友だちからは丸見え

 タイムラインとホームは、誰に見せるか相手を限定することができる。そうは言っても、新しく友だちになった人はデフォルトで公開になっているので、原則的には友だちには公開するものという前提で設計されているのだろう。

複雑な「片思い」状態

 3つのパターンのうち、最後の「相手が友だちと認定している」という状況をもう少し詳しく説明しよう。1つは、こちら側が友だち認定していないにもかかわらず、相手方がこちらを友だち認定している場合である。これは相手がこちらの電話番号を知っている場合、あるいはLINE IDを知っている場合には、こちら側の意志とは関係なく、友だちとして認定できるために発生する。

 一方的に友だち認定されている相手は、こちらのLINE上では、「友だち追加」のところにある、「知り合いかも?」という一覧に表示される。ここには、相手もこちらを友だち認定していないが、LINEのサーバ上にアップされた電話帳データを付き合わせて、相互に電話番号を知っている相手もリストアップされるようである。

 もう1つのパターンは、いったん相互に友だち関係になったが、こちら側が相手をブロックした場合である。ブロックした場合の動作は、多少複雑だ。

 まずブロックした相手は、こちらのLINEでは友だち一覧や知り合いかも?一覧には出てこないので、こちらから相手に1対1でトークや無料通話を行なうことができない。

 一方ブロック相手からは、こちらは友だちとして見え続ける。トークを送った場合、問題なく送信されたように見えるが、こちら側には届いていない。届いていないことが、相手には分からないようになっている。

 これはいかにも日本人的な配慮だが、ブロックしたことがばれるのは、相手がこちらに無料通話を行なおうとしたときだ。このとき、相手は最新バージョンを利用していないか、通話機能に対応していないため応答することができない旨のメッセージが出る。

 額面通り受け止めれば、バージョンが古いか、通話機能がない端末でLINEを使っているということであるが、実際にそういうケースはほとんど存在しない。Androidでは、いちいち手動でアップデートするのは面倒というので、大半のユーザーは自動アップデート機能を使うだろう。

photo ブロックされた相手に通話しようとしたときのメッセージ

 iOSは手動アップデートしかないが、App Storeからの通知で他のアプリと一緒に一括アップデートするだろう。そもそもApp Storeからアプリを探してインストールまでできる人間が、アップデートの仕方が分からないとは考えられない。

 通話機能の有無に関しては、そもそも電話番号をベースに友だち認証した相手端末に、通話機能がないとは考えられない。また同一アカウントでは、別の端末、例えば通話機能のないiPad上などでLINEを起動することができないので、今たまたま通話機能がない端末を使っている、ということも考えられない。

 よく考えてみると配慮になっていない実装ではあるが、この程度でもブロックされたことに気づかないユーザーが現実には多いのかもしれない。

小寺信良

映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作は、ITmedia Mobileでの連載「ケータイの力学」と、「もっとグッドタイムス」掲載のインタビュー記事を再構成して加筆・修正を行ない、注釈・資料を追加した「子供がケータイを持ってはいけないか?」(ポット出版)(amazon.co.jpで購入)。


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