Quick Chargeはどんな仕組みで、USB端子からの急速充電を実現しているのだろうか。製品のパッケージや同社Webサイトの製品説明ページには、
USB2.0規格、500mAのUSBポートにこのアダプターを挟んでiPadやAndroid携帯を繋ぐだけ。パソコンからの出力を1.65Aまで引き上げるので急速な充電が可能になります。
と記述されており、USB端子から出力する電流を増やしてスマホを充電すると説明している。とはいえQuick Chargeは補助電源ではないので、それ自体に電流を増やす働きはない。“電圧”であれば昇圧用のDC-DCコンバーターを使う手もあるが、どうやって電流を増やしているのだろうか。
この点をラディウスに確認してみると、「仕様にもよりますが、PCはシステム全体のUSB用として、最大で数Aくらいの電流を流すことができます。Quick Chargeはそれを利用しています」と、意外な回答があった。
「USBの仕様上、出力電流は500mAまでと決まっていますが、仮に1台のPCに4つのUSB端子があった場合、PCは500mA×4で2A(2000mA)までの電流を用意できるわけです。そこでQuick Chargeは、1つのUSB端子にほかの端子の電流も回すような信号をPC側に返して、電流を最大で1.65Aまで引き上げています」(担当者)
“みんな、オラに元気を分けてくれ!”ではないが、Quick ChargeはPCがUSB全体に用意している電流を1カ所に集めることができる――らしい。こうした仕組みのため、1台のPCでいくつものUSB充電をしているとQuick Chargeでも急速充電はできない。しかし仮に2Aまで流せるなら、なぜQuick Chargeの最大電流は1.65Aなのだろうか。
「例えばそのPCがUSB全体で最大2Aまでを用意できるとして、Quick Chargeがすべての電流を使うと、ほかのUSB端子が使えなくなってしまいます。また充電する端末も受け入れられる最大の電流量が決まっていますから、1.65Aにしています。Quick Chargeの側面にはAndroidとAppleのiOS端末を切り替えるスイッチがあり、充電するスマホやタブレットによって最大電流を切り替えるようになっています」(担当者)
説明の中にあった、1つのUSB端子に全体の電流を集める信号。というのも気になったが、「その点は企業秘密なので……」(担当者)ということだった。
最後に誤解がないように補足しておくが、Quick Chargeの急速充電とは、PCからUSB充電した場合の時間が2〜3倍速くなるということ。AC電源からUSB充電するアダプターに装着しても急速充電できるわけではない。またデータ通信には非対応なので、PCと端末で同期しながら充電することもできないことに注意して欲しい。
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