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» 2014年06月12日 11時00分 UPDATE

2014年4月〜6月:「2014年は価値訴求の年」「HTC“J”新作に乞うご期待」――あのとき社長はこう言った(KDDI編)

「CA」および「WiMAX 2+」対応端末や「au WALLET」の登場など、独自の付加価値で「価値訴求」を狙うKDDI。田中社長の発言を中心に、同社の取り組みを振り返る。

[ITmedia]
photo KDDI田中孝司社長

 2014年4月〜6月における携帯3社の社長コメントを中心に各社の取り組みを振り返る本企画。今回はKDDI編ということで、同社田中孝司社長の発言を見ていきたい。下り最大150Mbpsのキャリアアグリゲーション(CA)とWiMAX 2+に対応する夏モデル端末や、電子マネーサービス「au WALLET」の登場のほか、「HTC“J”シリーズ」の新作を開発中であることを明かしたことなどが主な話題だった。さらに、決算会見や発表会の場で、田中氏は同社の強みであるネットワークエリアの広さを繰り返し強調していたことも印象に残る。

2014年は「価格訴求から価値訴求へ」

 4月4日に行った独占インタビューの際に、2014年度は「ガツンと行く」と語った田中氏。2013年にドコモがiPhoneを発売したこともあり、各社の違いが見えにくい状況が続いていたが、田中氏は2014年を「価値訴求の年」と位置付け、KDDI独自の付加価値でユーザー獲得を狙うことを明言した。「LTE-Advanced」や「VoLTE」などは各社で3つどもえの戦いになることが予想されるが、電子マネーサービス「au WALLET」は同社が夏モデル発表会でも全面的にプッシュした独自サービスとなっている。

「3Gは終えんする。LTEのエリア拡大を優先」

 2014年3月14日時点で「au 4G LTE」エリアである800MHzのプラチナバンドで実人口カバー率99%を国内で達成したKDDIだが、田中氏は「3Gは終えんに近づいてきているという認識なので、LTEを維持できないエリアをいかに減らすかのプライオリティを高めたい」と4月30日の決算会見でコメントしていた。4月4日のインタビューでも、「iPhoneの差分はネットワークが一番大きい。2つ目がauスマートバリュー、3つ目がauスマートパスぐらいな順番じゃないですかね」と語り、同社がネットワークに強みを見い出していることがうかがえる。

 また、移動通信だけでなく固定通信も展開するKDDIは、フィーチャーフォンやスマートフォンだけでなく、タブレットなども含めた「マルチデバイス化」を促進している。田中氏は「個人が複数の端末を持てるように、魅力的なデバイスとマルチデバイスの利用ケースの両方を訴求していきたい」とした。同社はスマートフォンとタブレットでデータ量を分け合う「データシェアプラン」を他社に先がけて提供しているが、ドコモがiPadを発売することで料金プランについても3社の戦いが繰り広げられそうだ。

photo KDDIは「マルチデバイス化」を推進する

 何かと話題の音声通話定額プランについては、NTTドコモに続き、ソフトバンクモバイルも7月1日から新「スマ放題」を開始することを発表している(→・ソフトバンク、“完全定額”の新「スマ放題」を月2700円で提供――通信量の翌月繰り越しも)。ドコモの新料金プランについて「あまり過激なことは言えないですが、そんなにびっくりしたわけではない」と語っていた田中氏。KDDIがいつ定額プランを導入するかに注目が集まる。

ますます重要になる固定通信インフラ

 4月2日には、KDDI、ソフトバンクグループ3社、イー・アクセスら65事業者・団体がNTTグループ禁止行為規制の見直しに反対する要望書を、総務大臣に提出した。これは、NTTグループの携帯電話と固定通信の「セット割」解禁の動きがあるという報道を受けたもので、各社は強い危機感を示していた。

 この問題について田中氏は、「東京オリンピックが始まる2020年に向けて、『元気のある日本を作っていきたい』という思いは(NTTもほかの事業者も)共通だろうと思います。でも、『通信の世界』とそれを使った『利活用の世界』がごっちゃになっているんです。通信の世界で、日本のFTTHはダントツの世界一。料金も安く、カバレッジも広い。

 2020年までに5Gがスタートするときに、モバイルの技術はとんでもないスピードで上がっていきます。お客さんに使ってもらうには、ネットワークに投資しないといけない。その投資のほとんどが固定網になると思っています。

 でも、『ドコモとNTTがなぜセット割できないの?』という目先の議論がある。セット割ができるようになったらどうなるか? (インフラの)コストのほとんどはNTTが負って、固定網を提供するのはNTTさんだけ(になってしまう)。(NTTは)インフラを卸したいんです。KDDIが(固定網の)設備を持っているのは関東地区と中部地区だけ。NTTをもっと巨大にするようなことをしたら、日本の固定網は終わって、次のモバイル世代もNTTが巨大化して、それってNTTがハッピーになるの?」と警鐘を鳴らしていた。

 「複数の事業者が二重三重でネットワークを作れば、災害で壊れても生き残りやすくなる」「設備競争が起きることで、速くて安いネットワークを作れる」というのがKDDIの考えだ。

端末よりも力を入れて発表された「au WALLET」

 2014年夏モデル発表会の中で「本日一番のWOW」(田中氏)として紹介された電子マネーサービス「au WALLET」。「グッバイ・おサイフ」「すんごい貯まる すんごい使える電子マネー」というキャッチフレーズが印象的だ。このサービスはauユーザー向けにプリペイド型の電子マネーを発行するもの。MasterCardと提携したことで、世界中の3810万加盟店で利用できるのが強みだ。あえてプラスチックカードを発行したのは、「カードの方が分かりやすい」(田中氏)ためだという。田中氏が「バリューチェーンを拡大したい」と述べるように、スマートフォンでの残高確認やauのキャリア決済を使ったチャージ、リアルな店舗での決済におけるポイント付与など、ユーザーの利便性を重視している。申込件数は、5月8日の先行申込みから22日後の30日に100万を突破するなど好調のようだ。

photo クレジットカードと同様に、磁気ストライプをスキャンして決済を行う

「HTC“J”シリーズ」新作に「乞うご期待」

 2014年夏モデルでは、「TORQUE G01」と「ASUS MeMO Pad 8」を除く全機種が下り最大150Mbpsのキャリアアグリゲーション(CA)と下り最大110Mbpsの「WiMAX 2+」に対応した。au WALLETが発表されたことで新端末があまり目立たなかった印象の夏モデル発表会だが、「HTC製“J”シリーズ」の新作を開発中であることが明らかになっている。KDDIはこれまでに「HTC J ISW13HT」「HTC J Butterfly HTL21」「HTC J One HTL22」と3機種のHTC JシリーズをHTCと共同開発している。2013年6月発売のHTC J One以降はauのラインアップに登場していなかったため、ファンには待望の新作となる。田中氏は「少し遅れるが、乞うご期待」とコメントした。

photo 上段左から、「isai FL LGL24」「Xperia ZL2 SOL25」「GALAXY S5 SCL23」「AQUOS SERIE SHL25」「URBANO L03」「TORQUE G01」「Xperia Z2 Tablet SOT21」「ASUS MeMO Pad 8」

 端末の売れ行きや今後の展開については、「(auの)タブレットは前年比で倍くらい伸びています。まだまだ少ないけど。大きい端末(ファブレット)もそれなりに、ぐらいかな。大成功というわけではないですが、14年度は両方狙っていこうかと思います」と説明していた。気になるFirefox OS搭載端末については、4月4日の独占インタビューでは「廉価版では売れない」のでとがったものを出していきたい旨を語っていたが、投入時期や端末スペックの詳細はいまだに明らかになっていない。

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