iPhoneのVoLTEは何かおかしい――「みおふぉんダイアル」と併用した場合IIJmio meeting 7

» 2015年04月29日 06時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 IIJ(インターネットイニシアティブ)は、通話料が通常の半額=30秒あたり10円(税別)となる「みおふぉんダイアル」を、IIJmioの音声SIM「みおふぉん」ユーザー向けに提供している。

 通話料半額は、電話番号の先頭に「0037-691」のプレフィックス番号を付けることで実現しており、iOS/Androidアプリ経由で発信をすると、自動でプレフィックス番号を付けて発信してくれる。ドコモの電話回線を経由するため、通話品質は従来の携帯電話と同等だが、フリーダイヤル、ナビダイヤル、110番などには発信できない。

 ネットワーク本部 ネットワークサービス部 ネットワークサービス課の宮本外英氏は、「みおふぉんダイアルは、中継電話サービスの一種。みおふぉんダイアルの設備に電話がルーティンされていき、相手の電話番号を見て、各電話会社の電話網にルーティングしていく」と仕組みを説明する。みおふぉんダイアルの設備を経由する分、発信処理に時間がかかるかと思いがちだが、「実際はほとんど変わらない」(宮本氏)という。

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 このみおふぉんダイアル、VoLTEと併用することはできるのだろうか。

 ここでVoLTEについておさらいしておこう。「VoLTE」とは「Voice over LTE」の略で、音声をデータに変換してLTEネットワーク上で通話ができる方式のこと。3Gよりも発着信の時間が短く、高品質な通話ができる。VoLTEに対応しないLTE端末で電話を発信すると、「CSフォールバック」という3G回線の切り替えを経て電話がつながるが、VoLTEではそうした処理は不要になる。

photo VoLTEに対応しないLTE端末で通話をすると、CSフォールバックで3G回線に切り替わる
photo IIJの宮本氏

 Androidはドコモの一部機種、iPhone 6/6 PlusではiOS 8.3からVoLTEが利用できるが、みおふぉんダイアルを使った場合、VoLTEの「高品質通話」は利用できない。宮本氏はその理由を「みおふぉんダイアルの設備を経由するため」と説明する。VoLTEは現在ドコモ、au、ソフトバンクの対応端末で利用できるが、異なるキャリア間での通話はできない。「事業者間で通信可能になれば、みおふぉんダイアルでも高品質通話ができるようになると思う」と宮本氏が話すように、高品質通話が利用できないのは、事業者間通話の事情が関連しているのかもしれない。なお、発着信が速くなるというVoLTEのもう1つの特徴は、みおふぉんダイアルでも生かされる。

photo みおふぉんダイアルを使うと高品質通話はできない

 一方、iOS 8.3のiPhone 6/6 PlusでVoLTE+みおふぉんダイアルを使うと、さらにおかしな挙動が見られた――と宮本氏は続ける。具体的には、VoLTEをオンにしてみおふぉんダイアルで発信をすると、通話が成立するまでに20秒ほどかかるという。「最初はLTEで発信をするが、途中で3Gに切り替わる。CSフォールバックの動作とは明らかに違う」と宮本氏。ちなみに、VoLTE対応のAndroid端末(Xperia Z2 SO-03F)ではこの事象は発生しなかったという。「iOSでVoLTEを利用するには、電話番号の長さに制限があるのだろうか」と宮本氏は推測するが、正確な原因は不明だ。

 iPhone 6/6 Plusでの「おかしな挙動」を回避するには、VoLTEを無効にするしかない。iPhoneの「設定」→「モバイルデータ通信」→「LTE回線を使用」で「データ通信のみ」を選択すればよい。VoLTEを無効にするとスムーズな発着信はできなくなるが、VoLTEが有効/無効でも高品質通話は利用できないので、大きな影響はなさそうだ。

 MVNOの中の人からは「iPhoneの中身はブラックボックスだ」という話をよく聞くが、今回のVoLTEの件も、iPhoneの謎を感じられるエピソードだった。ちなみに、みおふぉんダイアルを使わない通常の通話なら、IIJmioのSIMカード+iPhone 6/6 PlusでVoLTE通話ができることは確認されている

photo iPhoneのVoLTEでみおふぉんダイアルを使うと、おかしな挙動になる

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