インタビュー
» 2015年08月06日 15時24分 UPDATE

MVNOに聞く:「料金合戦はもう終わりだと思っている」――U-NEXTが仕掛ける次の一手 (1/2)

LTE通信の定額サービスをいち早く始め、6月末時点で「U-mobile」の契約数が38万を突破するなど好調のU-NEXT。今回は取締役 通信事業担当役員の二宮康真氏に、これまでの歩みと今後の戦略を聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 2段階で金額が変わる「ダブルフィックス」や、容量が無制限になる「LTE 使い放題」など、特徴的な料金プランを打ち出す「U-mobile」。映像サービスを手掛けるU-NEXTが運営するだけに、サービスとの連携も魅力だ。同社は、ショップ展開にも積極的で、自社ブランドの店舗をオープンさせているほか、ヤマダ電機などでもSIMカードを取り扱っている。

 こうしたさまざまな施策が功を奏し、6月末時点で契約数は38万回線を突破。MM総研の発表している3月末時点での事業者シェアには名前が挙げられていなかったが、単純に比較すると3位前後であることが分かる。また、同社は訪日外国人向けに、プリペイドSIMの販売にも力を入れており、販売は好調だという。

 U-NEXTは、ほかのMVNOを支援するMVNE事業にも力を入れており、7月13日にはこの分野を強化していくことも発表している。これに伴い、新たにダイワボウ情報システムにサービスを提供。「DIS mobile」という名称の新サービスも立ち上げた。

※初出時に「U-NEXTは、ドコモと直接相互接続している1社でもある」と記述していましたが、誤りでした。おわびして訂正いたします(8/7 12:23)。

 そんなU-NEXTの取締役 通信事業担当役員の二宮康真氏に、これまでの歩みと今後の戦略を聞いた。なお、U-NEXTには完全定額開始前の14年10月にもインタビューを行っている。戦略の変化を追う意味でも、あわせてご覧いただきたい。

「LTE 使い放題」を始めた当初から通信速度は改善

photo U-NEXTの二宮康真氏

―― 完全定額の「LTE 使い放題」を始めてから、ユーザーの獲得やトラフィックなど、御社を取り巻く状況がガラッと変わったと思います。まずは、定額プランを導入した後の変化からお話ください。

二宮氏 始めた当初は、かなりトラフィックが多かったですね。増速も追いついていませんでした。こちらが想定していたよりも加入者が増えてしまいご迷惑をおかけしてしまいましたが、昨年(2014年)12月に大幅増強をして状況は改善しています。加入者が増えたのも、ご支持をいただけたからだと思います。

―― 定額と聞くと、大量のデータ通信をするユーザーが集まりそうなイメージを持ってしまいますが、実際にはいかがでしたか。

二宮氏 平均すると、そこまでひどい状態になっているわけではありません。確かにスタート当初は、ものすごく使われる方が多く、トラフィックが集中する傾向にありましたが、今はどちらかというと、一般的なユーザーの方が容量制限を気にせず使いたいというニーズが大きくなっています。

―― では、今はそこまでトラフィックが集中して困っているわけではないということですね。

二宮氏 そうですね。ユーザー様にいいサービスであるという認識を持っていただきたいので、大幅な増強は続けていますし、事前の告知もしっかりしています。

―― ちなみに、その指標のようなものはあるのでしょうか。増強は増強でも、どの程度やったのかが分かりづらいと思います。

二宮氏 帯域ごとに何人のユーザーを収容しているのかという見方がありますが、弊社の場合、収容人数を比較的少なくしています。

―― どのくらいの速度が出ればいいという、目安のようなものはありますか。

二宮氏 数字で言うのは難しいのですが、少なくとも、動画が止まってしまうのは困るという感覚は持っています。ただ、始めた当初はMVNOに対する期待がそこまで高くなったときで、納得いただけるユーザーの方が大半でしたが、それを続けてしまうとなかなか満足度は上がっていきません。考え方は変えていかなければと思っています。

―― 他社を見ると、お昼休みの時間帯にピークが来て、速度が遅くなってしまう傾向もあります。こうした点には、どう対応しているのでしょうか。

二宮氏 ユーザーの増加見込みを立て、早め、早めに対策を打つことですね。根本的なところでは、やはりコストをかけるしか(対策は)ありません。やろうと思えば、時間によってトップスピードを落とすといったことも可能ですが、企業努力として、そういう方向には持っていかないようにしたいですね。

―― それでも、PCをつないで常時データを流しっぱなしにするユーザーは、どうしてもいると思います。何か、制約はあったりするのでしょうか。

二宮氏 使い放題をうたっている以上、基本的には制限はかけない方針です。ただし、これは規約にも書いてありますが、異常値になる方はピックアップして、制限はかけるようにしています。一般のユーザーの方の迷惑になってしまうので、そこは抑止したいという思いがあります。

―― メインの料金プランとして打ち出していますが、やはり「LTE 使い放題」に移る方は多いのでしょうか。

二宮氏 多いですね。ユーザー数がここまで伸びた一番の理由は、やはり使い放題を出したことです。今では、新規獲得の4割ぐらいが、このプランを選んでいます。

―― 逆に言うと、6割はそれ以外のプランを選んでいるということですね。予想していたよりも、多い印象を受けました。

二宮氏 チャネルによっては、「ダブルフィックス」を売っているところもあるからです。インバウンドで、Webから契約される方だけだと、割合はもう少し高くなります。

―― 音声通話付きの方では、「LTE 使い放題2」という1年縛りのあるプランも出されました。この意図はどのようなものでしょうか。

二宮氏 特に解約率が高かったというわけではなく、長期間使う方にディスカウントしたいという思いがありました。使い放題のうち、「2」を選ばれる方も半分程度います。これは、2台持ちではなく、MVNOを1台目の回線として使うケースも増えているということ。私たちとしても、もう少し伝え方の努力をしないといけないと思っています。通常の「LTE 使い放題」に入って使い続けている方もいるので、「2」の方がおトクですというような見せ方はもっとしていきたいですね。

量販店でMNP転入するユーザーも増加

―― 次に、端末について伺えればと思います。店舗も出し、セット販売も積極的に行っていますが、比率は以前より高くなっているのでしょうか。

photo セットで販売している端末

二宮氏 数は出ていますが、全体の数が伸びている影響もあって比率自体は下がっています。何か特定の端末に執着しているわけではなく、インセンティブのベースにするという発想も持っていません。分かりやすくするために、代理店に(セット販売的なことを)やってもらうケースはありますが、積極的に何かを推奨するのは違うと思っています。

―― 端末はフラットに扱っていくということですね。

二宮氏 今のところはフラットですね。一方で、それによって(ユーザーを)限定することになってしまうのは、MVNOの本質とは違うとも思っています。また、セットという意味では、ほかのサービスとのセット売りもでき始めたところです。

―― 光コラボとセットにした「スーパーファミリーバリュー」ですね。料金プランは非常に分かりやすかったと思います。これはモバイルを軸に、固定のユーザーを増やすという思惑があるのでしょうか。

二宮氏 家電量販店などでは、U-mobileがキーになって固定回線を獲得できるということも増えています。今、ALADIN端末(ドコモの顧客情報管理システム)を量販店に順次設置しているところで、ヤマダ電機さんのLABIや、ヨドバシカメラさんなどに置いています。これによって、MNPで移ってこられるケースが増えました。1台目の回線を弊社に乗り換えていただく際に、合わせて固定回線も持たれるという方も多くなっています。

―― メイン回線であれば、固定とセットにしてしまった方がいいと考えているわけですね。やはりALADINを増やしたことはMNPに効いているのでしょうか。

二宮氏 はい。今、数で言うとIIJさんが一番多いとは思いますが、うちは二番目ぐらいですね。置くことによってフェイス・トゥ・フェイスで説明もできますし、(MNPは)堅調に推移しています。8月で、おそらく30カ所になると思います。

FVNEとして光コラボの支援事業も展開

―― 光コラボという点では、2月に行政指導を受けていました。その後、体制は改善されたのでしょうか。

二宮氏 代理店さんの一部が不適切な活動をしてしまいました。そのため一定期間営業は止め、管理体制とバックオフィスの体制を改めました。認識やオペレーション、開通作業にどういう作業があって、どういうヒアリングをして予定を組まなければいけないのかというところを、再構築しています。そういったことを踏まえて、FVNEとして光コラボの支援事業をすることができるようになりました。

―― MVNEと合わせて、固定回線でも支援事業を行っていくということですね。ところで、ショップという点では、自社のお店も持たれています。こちらを拡大する計画があれば、教えてください。

二宮氏 もちろん、増やしていくつもりです。モール内出店になりますが、近日2店舗目をオープンする予定です。

―― もう少し、急速に増やしていくものだと思っていたのですが……。

二宮氏 割と景気がよくなっているため、立地のいい路面店がなかなか見つからないんです(苦笑)。場所は引き続き探しつつも、モール内の方が見つけやすかったのが、2店舗目をモール内にした理由です。目標と指定はALADIN設定店舗を、50店舗まで増やしていきたいですし、ストアも主要都市には置いていきたいと考えています。

―― ちなみに、神宮前の交差点にあるショップの効果は、大きかったのでしょうか。

二宮氏 はい。すごく順調です。オープンして時間もたっていますが、契約数は落ちずに推移しています。即日MNPしたいという方が、比較的遠方から来ていただくケースも多くなっています。

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