家電量販店というと、近年はインターネット通販などに押されて苦戦しているイメージがあるかもしれないが、ヨドバシカメラはむしろ積極的にネットとリアルの店舗の融合を進めて業績を伸ばしている。オンラインのヨドバシ・ドット・コム(www.yodobashi.com)と実店舗での価格をそろえ、提供するサービスもほぼ一本化。買い物客はヨドバシ・ドット・コムでも店舗でも、自分が好きな方で買い物ができる。
これの何がすごいかというと、例えばヨドバシカメラに買い物に来て、レジが混んでいたらヨドバシ・ドット・コムで注文するといったことが容易に行える。店頭にはわざわざ専用アプリ「ヨドバシ」で読み取れるよう、バーコードを棚に用意してある。またヨドバシ・ドット・コム会員なら、ヨドバシカメラ店頭で買い物をして、自宅への配送を依頼しても、追加料金が発生しないなど、使い勝手にも差がない。もちろん、ヨドバシ・ドット・コムで商品を注文しておき、ヨドバシカメラの店舗で受け取ることもできる。
こうした融合を進める中でヨドバシカメラは9月16日、全店舗で「ヨドバシ フリーWi-Fi」の提供を開始した。手持ちのスマートフォンやタブレットを「Yodobashi_Free_Wi-Fi」というアクセスポイント(SSID)に接続し、Webブラウザで利用規約に同意すればインターネットが利用できる。
さらに、店内でのスマートフォン利用を公認し、これまでは許可がない場合原則禁止としていた写真撮影や、店内の写真のSNSでの共有なども解禁。当然ながら、法律・マナー・公序良俗に反する使用、他に迷惑のかかる利用方法、個人利用目的以外での店舗内撮影は引き続き禁止。また店舗側の判断により利用を制限する場合もあるというが、原則は自由だという。
売り場のスタッフも、「どんどん写真を共有してください!」と積極的だ。
ヨドバシ フリーWi-Fiへの接続方法はとても簡単だ。スマートフォンでWi-Fiをオンにし、「Yodobashi_Free_Wi-Fi」を選択して、Webブラウザが立ち上がったら、画面内の「Yodobashi Free Wi-Fiに接続する」と書かれたボタンを押すだけでOK。するとほどなく接続手続きが完了し、「ようこそ、ヨドバシカメラ(店名)へ」と書かれた画面に遷移する。
この画面でヨドバシカメラの公式アプリがダウンロードできるほか、ヨドバシ・ドット・コムへの新規会員登録、ゴールドポイントカード会員向けのポイント共通化手続きなどが簡単に行える。もちろん他のWebサイトへも制限なく接続できる。
前述のとおりSNSへの投稿もむしろ積極的にやってもらいたいとのことで、Twitterなどでは早速店内の様子などをツイートする人たちが見られた。
今回取材したのは、都内でも有数の床面積を誇るヨドバシカメラ マルチメディアAkibaだったが、ヨドバシカメラの店頭にはとにかくデモ機が多い。ネットショッピングでは分からない、実機の質感や動作音なども自分で確かめられるという点だけでも、足を運ぶだけの価値があるのに加え、いろいろと面白い、写真の撮りがいがあるものも多いのだ。
例えばスマホアクセサリーの売り場には、実際に装着してみることもできるケースが所狭しと並べられている。すでに発売間近の「iPhone 6s」や「iPhone 6s Plus」に対応したケースも大量に在庫している。カメラ売り場にはボディに取り付けられる状態で交換レンズを用意。100万円を超える大口径望遠レンズなども試せる場所はそうそうない。
店頭のPOPには、ヨドバシカメラオリジナルのユニークなものもある。双眼鏡売り場には、有名なホールの座席図があり、場所に応じてステージを見るのに最適な倍率などを案内していたりする。このほかゴジラやアイアンマンとツーショット写真が撮れたり、iRobotの「ルンバ」とパナソニックの「ルーロ」がガチ対決している場面が見られたりするエリアもある。
一般的に、店舗内で写真を撮ったり、その内容をSNSに投稿したりするのは禁止されていることも多いが、ヨドバシカメラが積極的に推奨するようになったことで、おもしろグッズやすごい家電の情報が、ネット上にさらに増えることになりそうだ。
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