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» 2015年10月19日 20時45分 UPDATE

格安SIM定点観測:価格一辺倒な競争から離れられるか――2015年8・9月データ通信編 (1/4)

8・9月のMVNOサービスでは、価格競争だけではなく、サービス改善の動きも活発だった。さっそく、その動きを見てみよう。

[井上翔,ITmedia]

 7月のデータ通信対応MVNO通信サービス(格安SIM)は、au回線を利用したサービスが新たに登場したこと、DMM mobileがパナソニックのWonderlinkのプラン改定に対抗値下げを行ったことや、ソフトバンクがMVNE(※)事業を推進するための子会社を設立したことが大きなトピックだった。

 8月と9月は、料金面の競争はもちろんだが、新しいMVNOサービスの登場や、既存のMVNOサービスの改善も多く見られた。さっそくチェックしていこう。(記事中の料金は、特記のない限り税別。9月30日までの情報をもとに掲載)

※Mobile Virtual Network Enabler:MVNOの業務を代行する事業者のこと。自らもMVNOとしてサービスを提供している場合もある

「PLAY SIM」と「おかわりSIM」にSMS機能付きプランが登場

 ソネットの「PLAY SIM」は8月10日から、日本通信の「おかわりSIM」は9月10日から、それぞれSMS送受信に対応するSIMカードをラインアップに追加した。PLAY SIMでは、プランリニューアルも同時に実施している。

 NTTドコモ回線を利用するMVNOサービスでは、機能をデータ(パケット)通信に絞ることでより安価なプランを提供しているケースがある。データ通信専用のSIMカードをスマートフォンやタブレットで利用する場合、SMS(ショートメッセージ)が利用できないためにアプリのログイン認証に問題が生じたり、アンテナピクト(電波の強度)を正常に表示できなかったりすることがある。

 PLAY SIMとおかわりSIMは、ある意味でスマホ・タブレットでの利用がしづらい状況にあったが、SMS対応プランの登場によって、それが解消することになる。ただし、既存のSMS非対応のSIMカードをSMS対応のものに交換することはできない(いったん解約して、SMS対応SIMカードに買い換える必要がある)。

おかわりSIMのバナー 日本通信の「おかわりSIM」にSMS対応プランが登場

「ぷららモバイルLTE」がプラン変更に対応

 NTTぷららの「ぷららモバイルLTE」は、8月10日から月単位での料金プラン変更に対応した。プラン変更は、データ通信プラン相互間、音声通話対応プラン相互間で可能で、「マイページ」(Webサイト)から次月のプラン変更を予約する形となる。データ通信プランと音声通話対応プランをまたぐ変更や、データ通信プランにおけるSMS対応・非対応の変更はできない。

 MVNOサービスは、月間の高速データ通信量に応じた料金設定となっていることが多い。実際に使ってみて、データ通信量が想定よりも多い(少ない)場合は、上位(下位)のプランに変更することでより料金面での無駄を少なくできる。しかし、MVNOサービスの中には、プラン変更に対応していないものもある。この場合、プラン変更を希望する場合はいったん解約し、新プランで再度新規契約をする必要がある。そうすると、新規契約手数料(SIMカード代金)と旧契約分の解約金(最低契約期間が設定されている場合)を支払う必要がある。これでは、よりおトクに使うために余計な身銭を切る必要に迫られる“本末転倒”な状態になってしまう。

 今回のぷららモバイルLTEのプラン変更対応は、余計な出費をせずに、より自分の使い方にあったプランを選べるようになる点において、歓迎すべきことだろう。

「FREETEL SIM」が毎月の“増速”を宣言

 プラスワン・マーケティングの「FREETEL SIM」は、8月19日から1カ月に1回以上、通信帯域を増強する「増速マラソン」を少なくとも1年間実施することを発表した。

 MVNOは、MNOから帯域速度単位(10Mbps以上1Mbps単位)で通信回線を借りている。借りた帯域速度は、同じMVNOサービスを利用する全ユーザーで共有することになるため、多く借りておくほど快適なのは言うまでもない。しかし、料金の安さを前面に出すMVNOにとっては、借りた分の料金をユーザーに転嫁することが難しい面もある。MVNO回線が平日の昼間や夜に通信速度が著しく落ち込む傾向にあるのは、速度と料金のバランスを取る難しさを物語っている。

 FREETEL SIMは、「キャリアが提供している最高のスピードそのままに、安価なサービスを提供する」ことをうたいサービスを開始した。増速マラソンは、その方針を分かりやすく示したものである。「格安」ばかりに注目が集まりがちなMVNOサービスにおいて、品質を重視する姿勢を見せたFREETEL SIM。この動きに続くMVNOが登場するかどうか、注目したい。

増速マラソンのイメージ図 FREETELの「増速マラソン」は、8月から少なくとも1年間は実施予定。10月は、臨時増速も行っている

「mineo」のドコモ回線利用サービスを開始

 ケイ・オプティコムのMVNOサービス「mineo」において、9月1日からドコモ回線を利用する「Dプラン」の提供が始まった。これに伴い、従来のau(KDDI)回線を利用するサービスは「Aプラン」に改名の上、料金が一部容量で値下げされた。

 Dプランは、Aプランと同じ通信容量のラインアップで、シングルタイプ(データ通信プラン)では、月額料金も同一だ。ただし、Aプランでは標準付帯されるSMS送受信機能が、Dプランでは有料オプション(月額120円)となる。

 Aプラン・Dプランともに「パケットシェア」「パケットギフト」に対応しており、複数回線利用時の「複数回線割」や家族での利用時の「家族割」を適用することができる。利用するMNO回線の垣根を越えてこれらのサービスに対応するのは、mineoが初となる。

mineoのパケットギフトの模式図 mineoの「パケットギフト」は、利用回線(ドコモ・au)を問わず分け合える。複数回線割や家族割も同様だ

DTIが新MVNOサービス「DTI SIM」を開始 一部容量で業界最安値に

 フリービットグループのドリーム・トレイン・インターネット(DTI)は、9月17日から新しいMVNOサービス「DTI SIM」の提供を開始した。1Gバイト、5Gバイト、10Gバイトの3プランを用意し、150円プラスすると、SMS送受信オプションを付けることができる。同じフリービットグループのフォーイットが運営するポイントサイト「スマイルモール」と連携し、低価格を実現している。特に、5Gバイトプラン(1220円)と10Gバイトプラン(2200円)は業界最安値となった(※)。

※1Gバイトプラン(600円)も固定容量プランとしては業界最安値だが、多段階制料金プランを含めると、FREETEL SIMが499円で最安値となる

 DTIでは、同社のクラウドサービスのブランドを冠したMVNOサービス「ServersMan SIM LTE」を展開してきたが、こちらは10月1日付けでフリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の合弁企業であるトーンモバイルに一部の法人ユーザーを除き移管された。移管後も、トーンモバイルを通して新規申込を受け付けている。

DTI SIMのバナー DTI SIMは、10月31日まで高速通信容量を2Gバイト増量するキャンペーンを実施中
ServersMan SIM LTEはトーンモバイルに移管 従来の「ServersMan SIM LTE」はトーンモバイルに移管の上、新規申込・各種サポートを継続して受け付ける

DMM mobile、DTI SIMに対抗値下げ

 5Gバイトプランと10Gバイトプランで業界最安値となったDTI SIM。当然、「全プラン業界最安値」をウリとするDMM.comの「DMM mobile」はすぐに反応し、9月30日から1Gバイト・5Gバイト・10Gバイトの各プランで値下げを敢行した。いずれも、DTI SIMよりも10円安い“薄氷”の差で業界最安値を奪還した。


 「格安SIM」という代名詞がいつの間にか定着していたMVNOサービス。しかし、本来は価格を含めて「MNOでは実現できない」あるいは「実現が難しいサービス」を提供するという側面も期待されているはずである。ニフティの「NifMo」のように、サービス開始当初から料金面以外での差別化を図ろうとするMVNOもあったが、どちらかというと価格に偏重した競争が展開されてきた。

 ここ数カ月は、料金面での競争よりもサービス面の拡充競争が活発になってきている。回線品質の改善、ユーザーサポートの充実、(端末セット時に)他社にはない端末を用意するなど、その方向性もさまざまである。

 どれだけ「ならでは」を作ることができるかが、今後のMVNOサービスにとって重要であると筆者は考える。本当に料金競争“だけ”でいいのか、各社立ち止まって考える時期に来たのかもしれない。

まとめ(新情報は赤線)

  • DTIが、新MVNOサービス「DTI SIM」をスタート。5Gバイト・10Gバイトプランで一時業界最安値に
  • DTIの「ServersMan SIM LTE」は、「TONE」を手がけるトーンモバイルに10月1日付けで一部を除き移管。サービス内容は以前と同様で、新規申し込みもOK
  • 「PLAY SIM」と「おかわりSIM」にSMS対応プランが追加
  • ケイ・オプティコムの「mineo」がドコモ回線を利用する「Dプラン」を追加。料金はau回線を利用する「Aプラン」と同一だが、SMS利用は月額120円のオプションに
  • 「DMM mobile」は1G・5G・10Gバイトプランを対抗値下げ
  • 「DMM mobile」がLTE通信(225Mbps)を利用できる9プランで最安を記録(1Gバイト:590円/月、2Gバイト:770円、3Gバイト:850円/月、5Gバイト:1210円/月、7Gバイト:1860円/月、8Gバイト:2140円/月、10Gバイト:2190円/月、15Gバイト:4570円/月、20Gバイト:6090円/月)
  • 日本通信の「b-mobile SIM 高速定額」は、月1980円で下り最大225Mbps/上り最大50MbpsのLTE通信が使い放題
  • 低速だけど500円未満で利用できるのは「DMM mobile ライトプラン」(200kbpsで無制限、440円)、「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」(250kbpsで無制限、445円)と「ServersMan SIM LTE」(250kbpsで無制限、467円)

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