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» 2016年06月11日 06時00分 UPDATE

石野純也のMobile Eye(5月30日〜6月10日):新しい競争軸に?――3キャリアの長期ユーザー向け優遇施策を比較する (1/2)

ドコモ、KDDI、ソフトバンク3社の長期ユーザー向けの優遇施策が出そろった。こうした施策が新たな競争軸になろうとしている。今回の連載では、それぞれの優遇プログラムの違いを比較していきたい。

[石野純也,ITmedia]

 KDDIは5月31日、長期契約ユーザーの優遇プログラムとして、「au STAR」を発表した。au STARは「au STARパスポート」「au STARロイヤル」「au STARギフト」の3つからなり、ショップでのユーザー体験の改善や、ポイントによる割引、プレゼントなどを受けられるサービス。ドコモとソフトバンクは、既に長期利用者向けの優遇施策を発表しており、auの発表によって大手3社の出そろった格好だ。今回の連載では、それぞれの優遇プログラムの違いを比較していきたい。価格は全て税別。

au WALLETを軸に、ポイントでの割引を打ち出したau

 長期利用者への還元は、総務省が政策として各キャリアに求めていたものだ。KDDI 田中孝司社長も質疑応答で、「(総務省の要請には)それなりに回答したことになっているのでは」と語る。優遇プログラムは、8月に開始する。「au経済圏」の拡大戦略の下で進められてきた「au WALLET」と密接にひもづけられ、利用には会員登録が必要となる。

au 夏モデルの発表と同時に、長期契約ユーザーへの還元を打ち出したau
au STAR 「au STAR」は、3つの具体的なサービスに分けられる

 まず、auパスポートとして、ショップの来店予約を8月から始める。その際に、「私はせっかちなので早く対応してほしい、私はできるだけ詳しく聞きたいと登録していただき、できるだけ希望に合うようにしていきたい」(田中氏)と、要望ごとに接客を変えていく。同時に、「時間はかかる」(同)というが、ショップの改革も進めていくという。

au STAR
au STAR
au STAR 長期化するショップでの待ち時間を改善するため、予約システムなどを開始

 2つ目のau STARロイヤルは、長期契約ユーザーに対する割引だ。ドコモが料金からの直接値引きにしたのに対し、auは、ポイントを組み込んだ格好となる。ポイントはデータ定額料に対してつき、もらえるポイントの量は契約年数によって異なる。4〜6年だと2%、7〜9年だと4%、10〜12年だと6%、13〜15年だと8%、16年以上だと10%と、段階的にパーセンテージが上がっていく仕組みだ。

au STAR
au STAR 長期契約ユーザー向けに提供していた「データギフト」に加え、ポイントでの還元を行う「au STARロイヤル」を導入

 会見では、10〜12年目で月5000円の「データ定額5」を契約していた場合、毎月300ポイント、16年以上で月9800円の「データ定額13」を契約していた場合、毎月900ポイントもらえる事例が紹介されていた。ポイントは、au WALLETにチャージして、マスターカード加盟店などで利用できる。通信料に充当することも可能で、これによって実質的な割引を実現した。

au STAR
au STAR データ定額に対してポイントが付く形で、au WALLETを通じて、マスターカード加盟店などで利用できる

 これらに加え、au STARギフトとして、2年契約の更新時に3000円のギフト券を付与する。このギフト券は、「au WALLET Market」での利用が可能だ。ほかにも、新たに始める海外ローミングサービスの「世界データ定額」が24時間分無料になったり、3カ月ごとに映画を1本無料でもらえたりといった特典も付けられる。

au STAR
au STAR
au STAR 3000円のギフト券に加えて、各種サービスや、プレゼントがもらえる「au STARギフト」

 田中氏は「ポイントが、われわれだとほぼどこでも使える」といい、決済にマスターカードの仕組みを使ったau WALLETの強みをアピールいていたが、確かに利用方法を“選べる”のは、auの魅力といえる。料金値下げに使ってもいいし、ためたポイントで買い物をしてもいい。田中氏が「調査ではポイントの方がいいという結果が出ていた」というのも、ある程度うなずける話だ。「ポイントでも料金を下げるのでも、経営に与える影響はそれほど変わらない」という田中氏のコメントからも、KDDIとして、あえてこの方式を選んだことがうかがえる。

au STAR 長期契約ユーザーへの還元方針を説明する田中氏

 一方で、選択するという行動には、わずかだが手間もかかる。仕組みとして、直接値引きより複雑になるため、ユーザーには丁寧に説明してく必要がある。その意味では、田中氏が挙げていたショップを含めた、ユーザー体験の改善が重要になってくるはずだ。

継続契約年数とデータパックの組み合わせで割引額が決まるドコモ

 auの長期契約ユーザー優遇施策との比較という視点で見ると、ドコモのそれは、より直接的な割引といえる。また、“2年縛り”ともいわれる2年間の継続契約とひもづけてきたのも、ドコモの特徴だ。

 ドコモは6月から、「ずっとドコモ割」を「適用時期を4年目からにして、早期化を図る」(ドコモ 取締役常務執行役員 経営企画部長 阿佐美弘恭氏)形でリニューアル。2年契約を結んだときだけこれが適用され、継続利用年数が4年以上のユーザーの場合、データパックの種類に応じて、割引を受けることができる。ずっとドコモ割は、新料金プランと合わせて導入されたものだが、割引額も増額した。

au ずっとドコモ割
au ずっとドコモ割 ドコモは、2年契約のあり/なしでコースを2つに分け、「ずっとドコモ割」を改善。6月から提供を開始している

 新料金プラン導入以降、家族でまとめて契約するとお得になる「シェアパック」を打ち出してきたドコモだが、長期ユーザー優遇にも、この思想は受け継がれている。継続契約年数が4年以上、8年未満の場合、5GBの「データMパック」が月100円の割引なのに対し、シェアパックは、10GBの「シェアパック10」でも月400円の割引を受けられる。仮に夫婦2人でシェアパック10を契約していたとすると、それぞれがデータMパックにするより、もともとの料金も安くなる上に、割引額も増える格好だ。

au ずっとドコモ割 割引の早期化、割引額の増額、適用範囲の拡大を行った

 ただし、月2GBまで利用できる「データSパック」に関しては、契約から15年以上たっているユーザーにしか割引が付かない。au STARロイヤルと比較すると、割引額が一律で決まっているわけではないので、お得になる額がいくらなのかが、少々分かりづらい。また、auは契約年数のステージを5段階と細かく区切ってきたのに対し、ドコモは4段階。きめ細かさも、今後改善すべきポイントといえるだろう。

 一方で、ずっとドコモ割コースを選んで2年契約を更新するときにもらえるのは、1人あたり3000ポイントのdポイントだ。dポイントは、機種変更などに使えるのはもちろん、dポイントカードを通じて提携店舗でも利用できる。この点は、利用先が限定されるauのギフトカードより、お得といえるかもしれない。

au ずっとドコモ割 2年契約満了時には、3000ポイントのdポイントが付与される
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