NTTドコモは4月14日、新料金プラン「カケホーダイ&パケあえる」の拡充を発表した。2年間(24カ月間)の定期契約満了後に解約金なしで解約できる「フリーコース」の創設と、「ずっとドコモ割」の拡充が柱で、ともに6月1日から適用する。
同日、同社は今回の取り組みに関する説明会を都内で開催。経営企画部長の阿佐美弘恭氏が説明を行った。
NTTドコモでは、総務省の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」が取りまとめた提言や、それにもとづく総務大臣からの要請(参考記事)を受けて、料金施策の見直しを進めてきた。
見直しでは、大きく「利用が少ない人向けのプラン」「解約金」「長期利用者優遇」の3点に重点を置いているという。これらのうち、「利用が少ない人向けのプラン」については、3月から「シェアパック5」を提供し、「カケホーダイライト」の適用対象シェアパックを拡大した。前者はデータ通信の少ないユーザー、後者は通話の少ないユーザーに配慮した形だ。
今回発表した取り組みは、残りの「解約金」「長期利用者優遇」の課題に対するドコモなりの“答え”となる。
解約金に関しては、ドコモでは2016年2月に期間が満了する定期契約から、解約金のかからない更新期間を2カ月に延長する措置を取っている。
6月以降に満了を迎える個人ユーザーの定期契約では、2カ月の更新期間に「フリーコース」と「ずっとドコモ割コース」のどちらで定期契約を結ぶか選択できるようになる。
フリーコースを選択すると、基本プランの月額料金を「定期契約あり」の場合と同額に据え置いたまま、更新期間以降の解約金がかからなくなる。ただし、このコースを選択すると「ずっとドコモ割」の適用と、「更新ありがとうポイント」の付与の対象外となる。要するに「特典がない代わりに解約金もない」というコースということだ。
ドコモでは、フリーコースは「必要以上に契約に縛られたくない」という人や「解約(あるいはMNP)を常時検討できるようにしたい」という人にお勧めであるとしている。
なお、フリーコースを選択した場合もプランは形式上「定期契約あり」のままとなり、「契約更新期間」も引き続き2年ごとに訪れる。フリーコースをずっとドコモ割コースに“戻す”ことも可能だ。また、フリーコースを選択したことで「月々サポート」が消滅・減額することもない。
(※フリーコースに関する説明を一部改めました【4月15日20時】)
ずっとドコモ割コースを選択すると、その名の通り「ずっとドコモ割」の特典を適用できる。その代わり、契約更新期間以外での解約や「定期契約なし」プランへの変更時には解約金9500円(税別)がかかる。更新期間中にコース選択の手続きを特に行わなかった場合は、自動的にこのコースが適用される。
なお、ずっとドコモ割の割引額は「回線の継続利用年数」で決まるため、フリーコースから切り替えた(戻した)ユーザーが割引面で不利になるようなことはない。
回線の継続契約年数に応じてパケットパック・シェアパックの月額料金を割り引く「ずっとドコモ割」は、ドコモの新料金プランの大きな特徴となっている。しかし、ドコモの継続利用年数が少なくとも5年以上、パックによっては10年、あるいは15年以上経過しないと適用できなかった。
そこで、より長期ユーザーが有利になるように、6月1日から以下の3点を拡充する。
先述の通り、現行のずっとドコモ割は、継続利用年数が最低でも5年以上ないと適用できない。そこで、「5年以上(8年未満)」となっているゾーンを「4年以上(8年未満)」に改める。新規契約と同時に定期契約ありプランに入った人なら、2回目の契約更新を迎えるとすぐに割引対象となるということだ。
シェアパックにおける割引も拡充する。「シェアパック15」以上のシェアパックは全ての継続利用年数で割引額を増額するほか、「シェアパック10」は継続利用年数4年以上のゾーンにおける割引額を増額する(8年以上のゾーンは据え置き)。
従来、「データMパック」「データLパック」と「シェアパック5」では、継続利用年数が10年以上になると初めて割引を適用できた。これを、他のシェアパックと同様に継続利用4年から適用できるように改める。
先述の「ずっとドコモ割コース」を選択(切替)した場合、契約更新期間の終了後に「更新ありがとうポイント」というdポイントが付与される。このポイントは、期間・使途限定扱いとなるため、以下のような制限がある。
通常のdポイントは、獲得した月から48カ月後の月末まで有効だ。それに対し、更新ありがとうポイントは、獲得期限・有効期限ともに契約更新期間が終了した後の6カ月間となっている。
なお、更新ありがとうポイントを含め、期間・使途限定のdポイントは通常のポイントに優先して使われるようになっているため、「獲得はしたけど使い切れなかった」ということは起こりにくくなっている。
更新ありがとうポイントは、以下の用途に限り利用することができる。
一方、以下の用途には利用できない(利用時は通常のdポイントを充当)。
au(KDDI・沖縄セルラー電話)やソフトバンクは、定期契約後に解約金を不要とするオプションとして、月額料金に一律300円(税別)加算する料金プランを6月1日から提供することを表明している。
ドコモでも、通常の「定期契約あり」プランよりも割高にすることで解約金を撤廃するプランも検討したという。しかし、「2年お使いになったお客さまがどうハッピーになるか」(阿佐美氏)を考えた時に、「“選べる自由”は値段が上がるとハードルが上がる」(同)ことから、特典がない代わりに解約金を取らない形に落ち着いたという。
阿佐美氏はフリーコースを選択するユーザーは「(定期プラン契約者の)1〜2割程度」と予測している。「特典はないけれど、解約金もない」契約を、どのくらいのユーザーが受け入れるのか。そして、auとソフトバンクはドコモの取り組みにどう対抗するのか。今後の動向に注目したいところだ。
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