インタビュー
» 2016年09月06日 17時53分 UPDATE

MVNOに聞く:Y!mobile、そして日本通信とも――U-NEXTが複数のMVNEとタッグを組む理由 (1/3)

7月から「U-mobile PREMIUM」を提供、8月には日本通信との提携を発表するなど、U-NEXTの動きが目立っている。ほかにも、同社は「U-mobile SUPER」として、Y!mobileの通信サービスを再販している。このように複数のMVNEと提携する狙いをU-NEXTに聞いた。

[石野純也,ITmedia]

 MVNOシェア第4位(MM総研調べ)のU-NEXTが、矢継ぎ早に大型の発表を行っている。7月1日には、IIJをMVNEとした「U-mobile PREMIUM」をスタート。これまで、同社はフリービットをMVNEとし、「LTE使い放題」プランを提供していたが、使い放題プランの主軸はPREMIUMに移す方針だ。

U-mobile IIJがMVNEとして支援しているLTE使い放題の「U-mobile PREMIUM」

 8月10日には、老舗のMVNOである日本通信から事業を継承すると発表。詳細はまだ協議中だが、今後、徐々にその全貌が明らかになっていく見込みだ。日本通信は裏方に回り、U-mobileのMVNEとして、サービスを支える方針。これによってU-mobileのシェアも、楽天モバイルを抜き、3位に浮上する可能性が出てきた。

 ほかにも、U-NEXTは「U-mobile SUPER」として、Y!mobileの通信サービスを、再販の形で提供している。ベンチャー企業のMVNOであるロケットモバイルにもU-mobile SUPERを提供しており、MVNOとMNOをつなぐ、MVNE的な動きも見せている。

 これらの発表からは、U-NEXTがネットワークに大きく手を入れようとしていることが見えてくる。フリービット1社だったMVNEを増やし、それぞれのMVNEを使い分けるようとしているようだ。一方で、1つのMVNOが、複数のMVNEからネットワークを借り、それらを併存させながらサービスを提供するというのは、珍しいケースともいえる。同社の狙いや戦略を、取締役の通信事業担当役員の二宮康真氏と、コミュニケーションネットワーク事業本部 部長の浅賀生太氏に聞いた。

U-NEXTはマーケティングやコンテンツの投資を優先する

U-mobile U-NEXTの二宮康真氏

――(聞き手:石野純也) IIJに続き、日本通信をMVNEにすることを発表しました。まずは、その狙いを教えてください。

二宮氏 もともと、MVNEはフリービットさんだけでしたが、今後は各MVNEの方向性も変わってくると思っています。1社だけとの取引では、リスクとまでは言わないまでも、最新技術の提供が遅れる可能性もあります。ということもあり、限定することなく、マルチMVNEで複数社からネットワークを借りています。

―― 競争を促し、コストを抑えるような狙いはあるのでしょうか。

二宮氏 単価の交渉などまで、深く考えて提携しているわけではありません。どちらかというと、ユーザーから見たとき、きちんとしたサービスをいかに提供できるかに主軸を置いています。

浅賀氏 大きなきっかけになったのが、電気通信事業法の改正です。(MNOがMVNOに対して)相対の条件を出せるようになってきたのが、今回、MVNEを増やした狙いになります。

―― その点を、もう少しかみ砕いて教えてください。

二宮氏 各社とも、どういう投資をされていくのかが変わってくると思います。場合によっては、このユーザーにはこのMVNEといったような形で提供した方が、優れたサービスになる可能性もります。コンシューマーだけでなく、法人向けも考えたとき、こちらの方が有利になるという考え方もあります。

―― ここまでユーザーが多いMVNOが、自社で直接相互接続していないのも珍しいと思います。将来的に、自社で全てをやる方向に切り替えるという可能性についてはいかがですか。

二宮氏 100%将来やらないというわけではありませんが、MVNOは(二次MVNOまで含め)500社を超えた競合関係が形成されています。一定の投資をどこまでするのかは、考えなければなりません。確かに、このユーザー数なら、本来は相互接続を直接してもいい規模感なのかもしれません。ただ、それが本当に正しいことなのか。今後はもっと莫大な投資が必要になりますからね。

 前々からいろいろなところでお話はしていますが、われわれは、われわれ自身の強みをきちんと分析しています。L2(レイヤー2接続)はしていませんが、一定のマーケティング力はあり、MVNOもうまく立ち上げられたと自負しています。また、映像や音楽を含めたコンテンツも持っています。これらを絡めながら、ユーザーの喜ぶサービスを作っていく。一気通貫でやるのが、U-NEXTの方向感です。

 そうすると、やはりU-NEXTはマーケティングやコンテンツの投資を優先させたいですし、サービスの拡充も考えています。一方でL2の部分は、各企業(MVNE)と連携すれば解決することです。

浅賀氏 HSS/HLRを持った「フルMVNO」を目指すところがありますが、あれを実現しようとしたときに、考えている投資の範囲で収まるのかということもありますね。

―― なるほど。電気通信事業法改正から、フルMVNOの登場を見越しての、マルチMVNE化だったわけですね。日本通信のMVNOを継承する枠組みも、基本的にはその一環ということでしょうか。

二宮氏 日本通信さんをMVNEとして、新規でサービスを作り、ユーザーを獲得していくというのが、基本的な考え方です。既に発表していることですが、コンシューマー向けはMVNEに特化し、法人向けやグローバルをやっていくというのが、日本通信さんの方針です。(コンシューマー向けの部分は)われわれと連携することで、ユーザーを増やしていける。日本通信さんは帯域を持っているので、コストメリットもあります。

―― つまり、U-mobile PREMIUMのような形で、日本通信を使ったプランが増えるということですね。

二宮氏 方向感としては、そちらで考えています。

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