―― 次に料金プランについて伺いますが、ワンキュッパを始めてから、あと3カ月で1年になります。徐々に割引がなくなるユーザーが増えてくると思いますが、ここはどうされるのでしょうか。
寺尾氏 既存のお客さまのことを考えると、獲得に傾注するのはどうか……というのは理解しつつも、裾野が広がらないことには、既存のお客さまにも還元が難しくなります。(料金ではなく)イーコマース関連の施策は、新規、既存に関わらずやっているので、どんどん使っていただければと思います。
ワンキュッパはもともと、インセンティブが出せなくなり、初めて加入されるときに一定のご負担がかかるようになってしまったため、それを横に倒して料金にそのまま還元したものです。
料金については、もともと3年目で値上げになる体系でしたが、さすがにそれはないということで、2980円、3980円、4980円を標準にしました。このように、企業の論理をできるだけお客さまに近づけるよう、直してはいます。保証についても、もともと修理しかやっていなかったものを、すぐに交換して帰っていただけるようにしました。これは、ほそぼそとですが、iPhoneでも始めています。
そういう既存のお客さまが困られているところ――ペインポイントをちょっとずつではありますが、できる範囲で直しています。
―― 容量に関してはいかがでしょうか。新規加入だと倍増する一方で、キャンペーンが始まる前に加入したユーザーは、容量がそのままです。実は自分もすぐに契約してしまったため、悔しい思いをしました(笑)。これは標準で倍増させたりはしないのでしょうか。
寺尾氏 悩んでいます。ただ、なかなかいろいろな縛りが多くて……。歯切れが悪くて申し訳ありませんが。
―― 2980円の1GBは、アプリなどの容量も大きくなってきた中で、そろそろ厳しいのではないでしょうか。
寺尾氏 全体として情報量が増えているのは、事実です。発信も増えていて、流れるデータ量そのものが増えています。一方で、全体がきっちり増えていればデフォルトにするのもありですが、今の段階ではまだまだです。数(ユーザー数)がバーンと増えて、左うちわでいいですよと言いたいところではありますが、これはなかなか……。
ただし、(キャンペーンが非適用でも)「データ容量2倍オプション」を買っていただければ、プラス500円でデータ容量は2倍になります。私自身も「スマホプランM」ですが、ここにデータ容量2倍オプションを入れて6GBにして、4480円で使っています。ここに3枚のSIMカードを追加し、自分と嫁と娘に加えて、義理の父のiPadまで賄っています(笑)。
―― 娘さんも入れて6GBで足りますか。
寺尾氏 お子さんたちは、割とクレバーに使っています。むしろ、節度がないのは、ここにいる人たち(筆者、ITmedia Mobile編集長、ソフトバンク広報)ですね(笑)。どんどん容量を増やすのは簡単ですが、全体として賢く使っていただいた方が、家計にとってもいい。発表会でも大容量プランは作らないのかと聞かれましたが、作るのは簡単なんです。6000円で20GBなどはやろうと思えば作れますが、これはお客さまが求めるものとちょっと違う。あまり選択肢を増やさず、できるだけ安くできるようにした方が、お客さまのためにもなるのだと思います。
―― 分かりやすい料金プランは、一部のMVNOも後追いしています。その影響は何か出ていますか。
寺尾氏 今は全体としてこの市場が伸びているので、数字としての影響は分からないですね。でも、nuroモバイルさんの5時間プランや、LINEモバイルさんの(コミュニケーションフリーなどの)プランも、1つ1つ見て、裏にあるものは何かを考えています。
―― 無料通話の回数制限をなくしましたが、あの意図はどこにありますか。
寺尾氏 あんまり深い意図はありません。UQ(mobile)さんも、回数無制限と言われたので(笑)。制限を設けたのは、最初のリスクテイクのためでした。まだたまにいますけどね。アポイントメント業者のような方が使うと300回を超えてしまうことがある。そういうのは若干怖いところはありますが、(通話定額は)大手さんもみんなやっているので。回数は相当練りに練って決めたのですが、あっという間にまねされてしまいますね(笑)。
―― オプションで「スーパーだれとでも定額」を提供されていますが、これを利用する人は少なかったりするのでしょうか。
寺尾氏 それでも何割かはいます。半分まで行くような高さではありませんが、やはり安心感を買われる方もいます。われわれの料金は、いわゆるガラホでも使えるようになっているので、そちらの方はかなり入られることが多いですね。ここはお客さまのご判断で、店頭でも無理には勧めていません。結局、無理付けしたものは全部ダメになるんです。どうやって価値を理解していただけるかが大切で、そのためには、スタッフが説明する数を減らさなければなりません。
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