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» 2017年03月17日 06時00分 UPDATE

SIM通:ドコモの顧客管理システム開放で格安SIMは変わるのか!?

いくつかのMVNOで、NTTドコモの顧客管理システムの活用が始まっているようです。これは、一体何が目的で、ユーザにとってどんなメリットがあるのでしょうか。

[SIM通]
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 MVNO(仮想移動体通信事業者)のいくつかで、MNO(キャリア)であるNTTドコモの顧客管理システムの活用が始まっているようです。これは、一体何が目的で、ユーザにとってどんなメリットがあるのでしょうか。

ドコモの顧客管理システム開放で格安SIMは変わるのか!?

 この動きの発端は、少し前に巻き起こった「HLR/HSSアンバンドル議論」です。現在、MNOがMVNOにネットワークを貸し出すとき、いくつかの機能をアンバンドル(切り離し)し、MVNOが自前で用意して好きな組み合わせでサービスができるようにしています。しかし、加入者認証と移動管理のキモであるHLR/HSS(加入者管理機能)はアンバンドルの対象にはなっていません。ネットワークの挙動を根本的に変えられることになるため、MNOはHLR/HSSの開放に踏み切ることができないのです。しかし、ドコモはその代わりに「顧客管理システムへの接続を開放する」と宣言し、実際に活用が始まっているようです。

 先ほども書いたとおり、HLR/HSSを開放すると加入者ポリシーを好きなように変えられてしまうため、ネットワークに予期しない動作をさせてしまう恐れがあります。未熟なMVNO1社がMNOのネットワークを全断させてしまうことさえあり得るのです。一方、MVNOが求めているのは、大筋では「自分でSIMを発行したい」ということ。HLR/HSS開放とMVNOの要求機能には大きな開きがあり、その中間点に近い答えとしてドコモが用意したのが、「加入者管理システムへの接続」というわけです。

 加入者管理システムというくらいですから、未加入状態のSIMを加入状態に変えることができるようになり、MVNOとしては、希望に近い機能を供給してもらえている状態に近づきます。

加入者管理システムとは

 これで期待できることとは何なのか、簡単に言ってしまえば、MVNOのコスト削減、ひいては格安SIMのさらなる価格引下げ(の可能性)です。新規加入の際にMNOにSIMの発行を頼んだり、オプションの追加や削除のたびにMNOに連絡して事務手続きをしたりといった手間が、システム経由で書き込むだけになり、時間の節約=コストの節約につながるのです。また、申し込み後のSIM渡しの速さがMVNO間でちょっとした競争になっていますが、即時渡しを実現するために「加入手続き済みのSIMを余剰に用意しておく」という無駄なコストが発生していることもあります。これは、接続方式によっては開通済みのSIMについて少額ながら接続料が発生することがあるためです。これが丸々なくなることは、当然コスト削減(=値下げ)に結びつくでしょう。

 また、どこまでインターフェースを開放しているかによりますが、ユーザが実際にどのように使っているのか、たとえばどの端末にSIMを入れているのかという情報などを得られる可能性もあります。ですから、MVNOにとってはサービス提案のきっかけになり、ユーザにとってはよりお得なサービスを知る機会になると言えるでしょう。

 もちろんいいことばかりではありません。HLR/HSS開放の問題と同じく、未熟なMVNOにより障害が引き起こされる可能性はゼロではなく、その対策のためにシステムの改修等が行われています。これにかかるコストは最終的にはMVNOが負担しなければならないので、単純に値下げに向かうとは言い切れません。むしろ、従来はオンラインではできなかった手続きができるようになる、というユーザの利便性の改善に期待したほうがよさそうです。

 実際にドコモとKDDI両方のMVNOを手がけるMVNOの例を見てみましょう。以前から顧客管理システムの接続を開放していたKDDI回線利用タイプのMVNOは、オンラインでオプション手続きができます。一方で、ドコモ回線タイプはこれまではオンラインでのそうした手続きをすることはできませんでした。顧客管理システムのオンライン接続は、こうした不満の解消につながるでしょう。

 現在はデータ回線+型どおりの音声通話サービス、という形での貸し出ししか実現していないため、そこまで需要は大きくありません。しかし、今後もっと独特のネットワークサービスが開放されるようになると、顧客管理システムと直接連携してオプションの操作ができることは重要になると考えられます。特に、さまざまな使い方が想定されるとともに莫大な数の回線の操作が必要になるIoT向けのサービスなどでは、オンライン連携は必須機能と言えます。そうした需要に支えられてMVNOサービスの使い勝手が良くなっていくことも期待できるでしょう。今後は「オンライン連携しているMVNOは?」という観点でのMVNO選びも、重要になりそうです。

(文・記者M)

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