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» 2017年05月28日 06時00分 UPDATE

石野純也のMobile Eye:総務省のガイドラインもクリア 半永続割り引き「docomo with」の狙いを読み解く (1/3)

ドコモが2017年夏商戦向けモデルを発表した。端末以上に話題を呼んだのが、割り引き込みの料金プラン「docomo with」だ。docomo withにはどのような狙いがあるのだろうか。

[石野純也,ITmedia]

 夏商戦の布陣として、スマートフォン7機種、タブレット1機種をそろえたドコモ。未来感のあるデザインで前評判の高い「Galaxy S8」「Galaxy S8+」に加え、ハイエンドモデルではシャープの「AQUOS R」も用意。ユーザーからの支持が厚いXperiaは、3キャリア共通の「Xperia XZs」だけでなく、最上位モデルで4Kディスプレイを搭載した「Xperia XZ Premium」を取りそろえるなど、他社との差別化を意識したラインアップになっている。タブレットでは新技術としてeSIMを採用した「dtab Compact」を用意した。

ドコモ 夏モデル計8機種を発表したドコモ
ドコモ
ドコモ 前評判の高い「Galaxy S8」「Galaxy S8+」や、国内ではドコモ限定の「Xperia XZ Premium」などをそろえた

 一方で、フラグシップモデル以上に大きな話題を呼んだのが、2機種のミッドレンジモデルだ。1つがグローバルメーカーのサムスン電子がドコモの専用モデルとして開発した「Galaxy Feel」、もう1つが耐衝撃性を備える「arrows Be」となる。この2機種は、いちスマートフォンとして発売されるだけでなく、料金プランまで合わせて作り込まれている。「docomo with」と呼ばれるプランが、それだ。

ドコモ 「docomo with」の対象となる「Galaxy Feel」(右)と「arrows Be」(左)

月々サポートと違い、半永続の“割り引き”を提供

 docomo withは、Galaxy Feelやarrows Beを購入すると受けられる“割り引き”で、その金額は1500円になる。対象となる料金プランは、カケホーダイ、カケホーダイライトに加え、4月の決算に合わせて発表されたシンプルプランも対象となる。データパックも必須だが、シェアプランの子回線でも利用可能。あくまで2回線目以降の話になるが、シンプルプラン(月額900円)を選び、シェアパックの子回線でdocomo withを適用させれば、シェアオプションの月額500円+ISPの月額300円を払っても、1500円を引けば、料金はわずか280円になる。

ドコモ サムスンがドコモのために開発した「Galaxy Feel」。ベースモデルはあるが、原型が残っていないほどカスタマイズされている
ドコモ 耐衝撃性能を備えた富士通のミッドレンジモデル「arrows Be」

 代わりに端末は定価での購入が必要となる。とはいえ、割賦は通常と同様に利用できる上に、対象となるGalaxy Feelやarrows Beは、ミッドレンジのため、価格も抑えられている。前者は一括購入時の価格が3万6288円、後者が2万8512円(いずれも税込)と、8〜10万円に迫るハイエンドモデルよりも負担は軽い。もともとのスペックがハイエンドより低いことに加え、ドコモ側も「粗利は他の端末に比べ、少し小さくしている」(ドコモの吉澤和弘社長)と意図的に価格を下げたようだ。

ドコモ 「docomo with」の仕組みを解説する、ドコモの吉澤社長

 ご存じのように、ドコモは通常、端末を購入すると、その金額とある程度相殺する形で、毎月の利用料に割り引きを受けられる。これを「月々サポート」と呼ぶ。この月々サポートとdocomo withとの大きな違いは、適用期間にある。月々サポートが通常24回なのに対し、docomo withは「端末をずっと使っていただける方がメリットを享受してもらえる」(吉澤氏)もので、機種変更するまで割り引きは継続する。つまり、Galaxy Feelなりarrows Beなりを3年使えば3年間、4年使えば4年間割り引きの対象になるということだ。

ドコモ 機種変更するまで、割り引きが無期限で続くのが月々サポートとの大きな違い

 これまでと同様、料金プランへの割り引き分を端末割り引きと見なし、実質価格を計算してみると、Galaxy Feelは約2年間、arrows Beは1年半でほぼ「実質0円」になる。ただし、割り引きはその後も継続するため、使えば使うほど、実質価格のマイナス分は拡大。仮にそれぞれ3年ずつ使ったと仮定すると、Galaxy Feelは実質マイナス1万7712円、arrows Beはマイナス2万5488円になり、ユーザーにとってのお得度は高い。

 大手キャリアの端末は、月々サポートのような端末購入補助が適用されるため、ハイエンドモデルとミッドレンジモデルの価格差がつきづらかった。結果として、売れ筋はハイエンドモデルに偏りがちだったが、docomo withのような形であれば、あえてミッドレンジを選ぶ意義も出てくるだろう。ドコモは2016年、冬春モデルとして端末購入サポートを使い、一括648円を実現した「MONO」を投入したが、docomo withは、その事実上の後継と考えてよさそうだ。吉澤氏も、今後は「docomo withの方に寄せていきたいというのが今の思い」と語っている。

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