子どもとシニアでナンバー1を目指すトーンモバイル 石田社長「iPhoneの市場も狙う」MVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2017年08月21日 11時31分 公開
[石野純也ITmedia]

 フリービットモバイルから体制が変わり、2015年に、CCCグループの一員となったトーンモバイル。同社の運営するTONEは、そこから徐々にターゲットを絞り始め、現在の主なユーザーは子どもとシニア世代となる。1機種、1プランという原則を貫き、シンプルさを売りにする。垂直統合的なビジネスモデルも同社の特徴で、ネットワークやサービスの提供にとどまらず、端末の開発まで手掛けている。

 そのトーンモバイルが新たに送り出すのが、雑誌「VERY」と共同で開発した「TONE m17」だ。このモデルは、製造を富士通が担当。耐衝撃性を備え、ハンドソープで洗えるなどの特徴を備える。一見すると、富士通のスマートフォン「arrows」に近いが、ハード、ソフトともにトーンモバイルの仕様が盛り込まれており、位置情報に基づき、端末にロックをかける「ジオロック」などに対応。親が安心して子どもに持たせられるスマートフォンに仕上がっている。

 サービス面でもVERYとの共同開発を進め、「親子の約束」を展開。これは、専用の用紙に書き出したアプリの制限事項などを端末側に反映させる仕組みで、スマートフォンやIT機器に疎い親が簡単に設定できることを目指したものだ。このように、子どもやシニアに特化したスマートフォンやサービスを展開するトーンモバイルだが、勝算はどこにあるのか。同社で代表取締役社長を務める石田宏樹氏に、話を聞いた。

トーンモバイル トーンモバイルの石田宏樹社長

子どもにターゲットを絞った理由

―― まず、ターゲットを子どもに絞った理由を教えてください。フリービットモバイル時代は、もう少し広いユーザーを対象にしていたと思います。

石田氏 使っている技術はAIやオーバーレイの技術で、昔から変わっていません。その方向性を、安心・安全に寄せたというのが、一番の特徴です。フリービットも中期計画で、モバイル革命、生活革命、生産革命という順で考えていました。そこに、CCCと組み、TONEができることで、データを取れるようになった。TONEの場合は子どものデータが取れるということです。その部分を使えば、もっと安心・安全を打ち出していけます。いったんその部分(技術やデータ)を、初めてコンピュータに触れるお子さんと、まだ触れていないシニアに広げていくという戦略です。もともとフリービットも、インターネットを広げて、社会に貢献するというのが理念でしたから、そこは変わっていません。

―― スマートフォンをまだ持っていない層は、いわゆる格安スマホよりもビジネスとして成立させやすいという事情もあるのでしょうか。

石田氏 マーケティング要素としてはありますね。お子さんやシニアの方々に使っていただくスマホは手間がかかるもので、他の皆さんは最後に残しています。ここを最初から取りにいくのは、マーケティングの観点から言っても、理にかなっています。

―― 一方で、それだけでは広がりもありません。次も考えているということでしょうか。

石田氏 子どもでナンバー1を取り、シニアでナンバー1を取り、その次にiPhoneの2台目を取り、最後にiPhoneを狙っていくという戦略です。ただ、ブランドやマーケティング戦略だけでは、その市場は作れません。実力が伴い、満足度が高まった状態で、それをベースに次の新しい市場を作っていく。真ん中の市場はiPhoneということになりますが、今はiPhoneを使っている方、使っていない方のどちらを対象にするのか、両にらみで戦略を考えているところです。

 TONEになって(CCCの)増田と決めたときも、子どもを検討するグループとシニアを検討するグループが、パラレルで動いていました。今回は子ども向けのものが出てきたので、今度は次ということで、タイミングを見ながらやっています。

 中国のODMとやると一番難しいのが、端末とOSの作り込みです。端末も最新のCPU、最新のOSを使ったとしても、想定パフォーマンスの40%程度しか出ません。その辺のところは富士通さんに勉強させていただきながらやっている感じですが、同時に3機種ぐらい(の開発を)動かしています。

キャリアとはかけているリソースが違う

―― ただ、子ども向けやシニア向けは大手キャリアの領域でもあります。こことの競合は、どうお考えでしょうか。

石田氏 比較軸があるのは逆にいいことで、かけているリソースが違います。あまり好きではありませんが、スペック勝負をしても勝てる。やはり、こういったサービスは、ハードウェアとソフトウェアを1人のアーキテクトが考えないとバランスが取れません。それぞれが持ち寄ったものを組みわせただけだと、ああ(大手キャリアのように)なってしまい、サービスになりません。

―― 子ども向けといっても、TONE m17自体は広い層が使える端末だと思います。この端末は、シニアにも広げていくのでしょうか。

石田氏 子ども向けというのはVERYさんとの発表でキャッチ―でしたが、9月には「TONE m17×シニア」という発表も予定しています。最終的に(製造が)富士通さんになったのも、ハイブリッド(でシニアと子どもの両方)を狙えるからです。

 子ども向けは(富士通なしでも)作れるかもしれませんが、シニアはワンセグなど、ニーズがまったく違うところにあります。電波の取り回しの問題があり、ワンセグ対応の機種は世界的に作っているところが少なく、チップも大量にはありません。狙ったところを作り込むのが難しいという事情もありました。

トーンモバイル 富士通と共同開発した「TONE m17」

―― TONE m15のときも、Band 21(1500MHz帯)に対応するなど、電波にはチャレンジしている印象があります。

石田氏 3GからLTEになったときは、スクラップ&ビルドしているのでかなり苦労しました。電波とGPSについては、常に苦労しています。チップは対応していても、アンテナの取り回しで(利得が)取れないということはよくありますから。

―― そのお話だけを聞いていると、完全にメーカーの人のようです(笑)。

石田氏 もともと(フリービットには)メーカー機能があり、そこでODMの使い方や、QA(品質保証)のノウハウを身に着けました。10万台規模で激安の商品をやったりしていましたから(笑)。

―― そこまで垂直統合でサービスを提供できるMVNOは少ないと思います。

石田氏 これをやらないと、ここまでのコントロールができません。それに、日本のお客さまは3大キャリアのサービスやサポートに慣れていて、スマホまで含めたサポートを求められます。スマホメーカーは自らOSをアップデートしたり、ソフトウェアを変えたりするので、どこかで不具合が起こっても(MVNOを含むキャリアには)分かりません。全責任を持つのであれば、やはり自社で開発までしていかなければなりません。

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