連載
» 2017年08月22日 13時39分 公開

山根康宏の海外モバイル探訪記:Nokiaの2017年復刻版レトロケータイ「3310」は売れている?

2017年に復活したNokiaの「Nokia 3310」は、通話とSMSに対応したシンプルなケータイ。発表当時は話題を集めましたが、SNSを利用できないのがネックで、“見るだけで十分”な存在になっているようです。

[山根康宏,ITmedia]

 夏休みも終盤を迎え、2017年秋冬モデルの話題でネット上はもちきりとなっています。次々と新しいスマートフォンが登場する状況となれば、2017年の初めに発表された製品の中には早くも忘れられた存在になろうとしているものもあります。2017年に復活したNokiaのフィーチャーフォン「Nokia 3310」も、そんな製品かもしれません。

Nokia 3310 2017年に復刻版として登場したNokia 3310(2017)

 Nokiaからライセンスを受けたHMD Globalは2017年になりNokiaブランドのスマートフォンを複数発表しました。Snapdragon 430搭載のミドルレンジ「Nokia 6」を中心に、「Nokia 5」「Nokia 3」を2月のMobile World Congress 2017で発表。2年ぶりに復活したNokiaのスマートフォンはAndroid OSを採用したこともあり、欧州やアジアで大きなニュースになりました。

Nokia 3310 Nokiaのスマートフォンは既に3機種が登場している

 一方、スマートフォンと同時に発表されたNokia 3310は、2000年代頭に世界的にヒットしたNokiaのフィーチャーフォンの代表的な製品のリバイバルモデル。製品が発表されたMWC2017のNokiaブースでは、スマートフォン以上の人気を集め、多くの来場者から注目を浴びていました。通信方式は2Gのみに対応。通話とSMS、そしてレトロな「スネーク」ゲームを搭載する程度の低機能な製品です。しかし来客たちはその懐かしさに目を奪われ「発売したら絶対に買う」と言う声も多く聞かれました。

Nokia 3310 MWC2017のNokiaブース。2Gケータイにこれだけ人が集まるのもNokiaならでは

 しかしその後、Nokia 3310の話題はほとんど聞かれません。現在は主に欧州で販売されているのみで、東南アジアや中国、インドでは未発売。中国では早くもコピー品が出てきているのですが、それに目を向ける消費者もいないようです。

Nokia 3310 香港で売っていたNokia 3310のコピー品。中国マイナー機(山寨機)として小さなショップの片隅で見つけた

 MWC上海2017など中国の展示会では、Nokiaブースに展示してあるNokia 3310に対し「微信(WeChat)はできる?」という質問が必ず聞かれました。恐らく東南アジアの他の新興国でも、消費者の関心は似たところにあるでしょう。つまりもはや通話とSMS(テキストメッセージ)だけでは家族・友人とコミュニケーションを取りにくい時代になっているわけです。

 誰もがSNSを使う時代ですから、たとえ低機能な端末でもSNSへの対応は必須。それすらないNokia 3310は、いくら懐かしくても“見るだけで十分”な存在かと思われます。ちなみにNokia 3310の価格は欧州で59ユーロ(約7500円)。しかし今やこの価格で低スペックなスマートフォンが買えてしまいます。また最近は見た目がフィーチャーフォン、中身のベースはAndroidという簡単端末が増えています。当然SNSアプリも搭載しています。そんな製品がNokia 3310と同じくらいの価格で売られているのです。

Nokia 3310 見た目はフィーチャーフォンな3G端末。中身はAndroidなのでSNSアプリが入っている。台湾で2200台湾ドル(約7900円)だった

 このままでは忘れられた存在になってしまうと考えたのか、この秋にも3G対応のNokia 3310が出るようです。Nokiaのフィーチャーフォンの一部には低機能ながらもFacebookなどのSNSアプリなどが入っています。それがNokia 3310 3Gに搭載されれば、再び注目を集めるかもしれません。

Nokia 3310 現行の2G版Nokia 3310のメニュー。SNSらしきアプリはなし

 とはいえ、この復刻版Nokia 3310は、Nokiaブランドの製品が携帯電話市場に復活することをアピールするための話題作りの製品でもありました。HMD Globalとしては販売数は気にしていないのかもしれません。しかし現状では話題作りに貢献するほどの存在感を示し切れていません。Nokiaには過去にさまざまなヒット端末がありました。それらを復刻版して出すのであれば、技術的に大きな進化がなくとも、現在のユーザーの利用実態に合った機能だけは搭載してほしいものです。

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

この記事が気に入ったら
ITmedia Mobile に「いいね!」しよう