Axon Mと同じような構造を持つ「MEDIAS W N-05E」では、2画面表示に大きな制約があった。「Unity Apps」と呼ばれるアプリを除いて、2画面に別々のアプリを表示できなかったのだ。
それに対し、Axon Mでは画面下にある「M」と書かれたソフトキーを押すことで、2つの画面を以下3パターンで切り替えることができる。
多彩な画面モードで2枚の画面を用途に応じて使い分けることができる――これが、Axon Mの最大の特徴だ。
Android 7.0以降のOSでは、OSレベルでマルチウィンドウに対応したため、2枚の画面に別々の表示を行うことも難しくなくなった。「Google Chrome」ではA面とB面に別々のサイトを表示できるが、これはアプリ側で特殊な対応をしているわけではない。OS標準機能としてのマルチウィンドウに対応しているから問題なく表示できているのだ。
Axon Mの成功の鍵は、A面+A面、言い換えると「ミラーリングモード」にある。このモードに対応(最適化)したサードパーティーアプリをどれだけ増やせるかにかかっている。
ZTEでは端末を山折りにして自分と相手が互いに向き合うようにして使えるアプリをAxon Mの“キラーアプリ”として提供したいと考えている。そのために、同社ではミラーリング表示に対応するアプリの開発者に対する支援を予定している。
ニューヨークの発表会会場では、ミラーリングモードに対応するアプリの一例としてチェスゲームが展示されていた。このような「対戦ゲーム」はAxon Mとの相性が良さそうだ。
また、ゲームなどのエンタメ系アプリだけではなく、プレゼンやアンケートなどの業務系アプリもミラーリングモードに対応すればAxon Mの活用範囲を広げるだろう。企業での一括導入事例が複数出てくれば、後継モデルの開発にもはずみが付き、2画面スマホの新モデルが定期的に出てくる未来も描ける。
「Axon Mならではの使い方」をどれだけ提唱できるかが、販売先の拡大や今後の展望に結び付くことになりそうだ。
なおチェンCEOによると、2つの画面を自在に使い分けることを大きな特徴として据えたため、今のところAxon Mのサイズ面におけるバリエーション展開は考えていないという。5.2型以下の画面サイズでは2画面のメリットは薄れるだろうし、6型以上に画面サイズをなど大きくすると「片手で持ち運んで、必要な時だけサッと画面を開く」という機動性にも欠けてしまう。71.6(幅)×150.8(高さ)×12.1(奥行き)mmというサイズ感と、230gという重量は、折り畳み型端末として最も適しているといえるのだ。
もちろん、現在のトレンドであるアスペクト比18:9のディスプレイを使った2画面モデルも次期候補として検討が進んでいるだろう。そんな次期モデルの製品化のためにも、今回のAxon Mは市場で成功を収める必要がある。
2画面モデルは過去に京セラがアメリカで「Echo」を販売し、またソニーからも「Sony Tablet P」が販売されたことがあるものの、どちらの製品も今思えば登場が早すぎた。Android 7.0でマルチウィンドウに対応し、SNSや動画など複数のアプリを使うことが日常的になった今だからこそ、2画面端末であるAxon Mの実力が十二分に発揮できるといえるのだ。
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